科別の看護師さんの仕事をご紹介

勉強熱心なナースにお薦め!?心臓血管外科の看護師のお仕事

勉強熱心なナースにお薦め!?心臓血管外科の看護師のお仕事

心臓血管外科を希望する看護師には、勉強熱心な方が多いんだとか。それもそのはず。心臓血管外科は、幅広い知識が要求される先鋭の医療現場です。

どの診療科のナースにも知識や経験は必要ですが、心臓血管外科にはちょっと他とは違う特徴があります。

心臓血管外科の仕事場の雰囲気ってどんな感じなのでしょう?また更なるキャリアアップの道はあるのでしょうか?気になるお給料についても併せてご紹介します!

心臓血管外科には先鋭が集まる?ナースのスキルアップに最適!

心臓血管外科の医師には、脳神経外科と並んで非常に高度なテクニックが必要とされます。そしてオペ室でそれをサポートする看護師にも、それ相応の知識やスキルが求められるのです。

心電図の異常波形の読み取りもそのひとつ。一秒を争う対応を求められることの多い現場だけに、心臓血管外科のナースには勉強しなければならないことが一杯あります。

手術介助は心臓血管外科の看護師の大切な仕事

夕方の16時過ぎのこと。突然手術室のナースステーションに、看護師が駆け込んできた。「上行解離です。縫った針穴から解離を起しているみたいです。」「今晩帰れそうにありません!」それだけ言うと、ダッシュでまた心臓外科手術の行われている手術室に戻っていった。
引用元:神奈川県立循環器呼吸器病センター「心臓血管外科のちょっといい話」

これはある日の心臓血管外科病棟のワンシーンです。手術現場の緊迫感と共に、ナースの仕事の厳しさも伝わってきますね。

心臓血管外科の看護師に要求されるのは、知識だけではありません。

手術という緊迫した状況の中でも、適切な介助を続けることのできるスキルや体力が欠かせないのです。

繊細な手技に集中しなければならないドクターとの相性も大切で、阿吽の呼吸で動いてくれる有能なオペスタッフは重宝されます。

循環器や内科的知識も必要

手術介助だけでなく、術後のICU看護やリハビリも心臓血管外科の看護師の重要な役割です。

患者さんは合併症を患っていることも多く、心臓血管外科のみの知識では対処できません。

循環器など幅広い知識も要求されますし、他の診療科のスタッフとのコミュニケーションも重要です。

心臓血管外科では、このような他分野のスタッフと一緒に治療に当たります。

  • 一般内科
  • 循環器内科
  • 麻酔科
  • リハビリテーション科

また病棟だけでなく、手術室や集中治療室での勤務時間が多いのが特徴です。夜勤や長時間勤務もあり、決して楽な職場ではありません。

心臓血管外科のナースの仕事というと、やっぱり手術室の介助ですよね。手術は長時間になることも多いので、体力勝負の現場です。

でも術後の看護や指導、リハビリも、ナースの大切なお仕事。麻酔科や循環器など、他の診療科との連携も欠かせません。

心臓血管外科ってどんなとこ?看護師のお給料も気になる!

次に、心臓血管外科が扱うのはどのような疾病なのかをご紹介しましょう。心臓血管外科というと心臓の大手術ばかり目立つのですが、四肢の血管の疾患にも対応しています。

またお給料のことも気になりますよね。心臓血管外科のナースの収入は、平均と比べるとどうなのでしょうか?

心臓血管外科が治療する疾病

心臓血管外科が対応するのは以下の病気です。

【心臓疾患】
冠動脈疾患・ 弁膜疾患
【大血管疾患】
大動脈瘤・大動脈解離
【末梢血管疾患】
慢性動脈閉塞症(閉塞性動脈硬化症)
【静脈疾患】
下肢静脈瘤

心臓血管外科には救急搬送が多いのも特徴です。以下は大阪府立病院の心臓血管センターの緊急入室患者の内訳です。なお心臓血管外科は疾病の性質上、夏場より冬場が忙しくなります。
ICUなど緊急入室患者疾患の内訳

心臓血管外科ではどんな手術をするのか

心臓血管外科では、これらの対応疾患に対してどんな手術を執り行うのでしょうか。

心臓の手術は、心筋保護液や人工心肺装置を使う大掛かりなもので、以下のように最先端の医療機器を使っての術式が多いのが特徴です。下肢静脈の手術には、日帰りが可能な軽いものもあります。

  • 人工心肺使用冠動脈バイパス術
  • 弁形成術、人工弁置換術
  • ペースメーカー植込み手術
  • ステントグラフト術
  • カテーテル治療
  • 超末梢下肢動脈バイパス術
  • 下肢静脈瘤手術

大手術には執刀医にも高度で繊細な技術が要求されますから、介助するナースにとっても非常に勉強になるでしょう。なお勤務する病院によって、対応する手術や得意とする分野は異なります。

手術室のナースのお仕事とは?

ここで、心臓血管外科の現場とも言える、手術室の看護師の仕事内容をご紹介しておきましょう。

■器械出し・・・直接介助
執刀医への器具の手渡しと介助。
必要とされる器具の判断が要求される。
■外回り・・・間接介助
記録、指示出し、申し送りなど。
手術全体のサポートと、患者や家族への声かけも行う。

心臓血管外科では先ほどご紹介したように特殊な器具を使いますので、正確な知識が要求されます。

ちょっと高い目?心臓血管外科ナースの給与目安

憶えるべきことも多く、決して楽とは言えない仕事場ですが、そのお給料は平均よりやや高い目といったところです。

一般的には民間の専門病院で勤める方が高収入ですが、その分夜勤や残業が多くなるケースも。昇給だけを目当てに就職すると、割に合わない気分になってしまうかもしれません。転職前には、実際の勤務内容まで確認しておきたいものです。

また心臓血管外科の看護師には、キャリアを積んで行くことや看護のクオリティを高める等、自分なりの目標意識がはっきりしている人が多いのが特徴です。

他より給与が高いからといった動機だけで入ると、周囲とのズレが気になってくる可能性も。どの診療科もそうですが、給与の条件だけで勤務先を決めることはお薦めできません。

「心臓血管外科ナースの給料は極端に高くはない」
・400万円から500万円以上まで、平均より若干高い目くらい
・民間病院の方が給料は高い傾向(但し夜勤や残業が多い場合も)

各種資格を取ったり、より大きな病院へ転職するなど、更なる高収入への道も考えられます。これについては次でご紹介しましょう。

心臓血管外科はオペ室での仕事が多くなります。独特な器械や器具を使いますから、これらの名称や用途が頭に入っていないと仕事ができません。

夜勤や残業も多く、なかなか大変な現場です。お給料は平均よりやや上。はっきりした目的意識を持ったナースも多い職場です。

知識と経験でキャリアアップ!心臓血管外科の看護師の将来性

心臓血管外科の看護師には、専門知識以外にも幅広い知識が要求され、最先端の医療機器の扱いにも慣れなくてはいけません。

勉強することの多い仕事場ですから、蓄積した知識を無駄にしないためには、畑違いの職場ではなく、病院の同じ診療科でキャリアを積むべきでしょう。

大病院でキャリアを磨く

ところで心臓血管外科のある病院には、どんなものがあるのでしょう?下表のように、運営や規模の種類は様々です。診療科としての設置のほか、心臓血管外科だけの専門病院もあります。

心臓血管外科のある病院 運営
医学部付属病院 民間、国/自治体
市民病院 自治体
医療センター 民間、独立行政法人など
成人病センター 独立行政法人
ハートセンター、心臓血管クリニックなど 民間

厚生労働省の調べ(平成18年)によると、施設総数に対して心臓血管外科の占める割合はおよそ1割。施設数は現在全国に1000カ所以上あります。

より専門的な経験を積みたいのなら、その中でもやはり設備やスタッフも先鋭が揃った大きな病院を選ぶべきでしょう。

またその方が高収入も望めます。

心臓血管外科ナースの求人状況はまずまず

心臓血管外科ナースの求人状況はまずまずというところ。勤務先を探すのにそう苦労はしません。

でも外からはわからないことも。心臓血管外科では執刀医がスタッフを引き抜く例もあり、現場の人間関係が難しいということもあるようです。バリバリ働きたい人が多いので、それなりの覚悟も必要です。

心臓血管外科の看護師としての専門性を望むなら、総合病院や専門のセンターが一番です。求人もそこそこあり、給与も多い目です。

でも医学の最先端分野として、バリバリ働きたい人が多いというのも事実。給与につられて入ると、ついていけないなんてこともあるかもしれません。

心臓血管外科で更なるキャリアアップ!認定看護師の資格

特定の分野でのキャリアは、認定看護師の資格を取得することでより確実なものになります。

でも資格をとったからといって、すぐに収入アップに繋がる訳ではありません。手当がついたものの、その分夜勤が減って年収ダウンするケースすらあります。

しかし専門知識を身につければ看護のクオリティは確実に高くなりますし、将来の転職の際にも有利です。そこで、心臓血管外科のナースに向く資格をご紹介しましょう。

認定看護師の数は増加中!

現在認定看護の分野は20余り。認定開始がもっとも古い分野は1995年の救急看護で、以後認定分野は増え続け、認定看護師になる人も年々増加しています。

この中で心臓血管外科に関わるものは慢性心不全看護認定と手術看護認定で、どちらも認定されるようになってからまだ日が浅く、認定看護師の数はまだ少ない分野です。

慢性心不全の看護に求められる専門知識

心臓血管外科ナースの仕事に勉強は欠かせません。術後の管理やリハビリの他、糖尿病のコントロールなど、循環器内科の専門知識も要求されます。

それが資格取得にもつながるなら、きっと励みになるでしょう。この資格があれば、他ナースの指導や相談という役割も担えます。

このようにまだ認定ナースの数は少ないので、これからの分野として期待大です。

【慢性心不全看護認定看護師数の推移】(※日本看護協会 認定部データより)

2012年 2013年 2014年 2015年
60人 132人 184人 184人

オペナース・手術室看護の求人は多い!?

どの病院でも手術室看護師の確保には苦労していると言われており、オペナースの資格があれば転職に非常に有利になります。

心臓血管外科ナースにとって、手術室は日常の仕事場。資格取得にはもってこいです。手術看護認定看護師数は年々増えているといってもこの程度。需要は高いと言えるでしょう。

【手術看護認定看護師数の推移】(※日本看護協会 認定部データより)

2012年 2013年 2014年 2015年
235人 254人 316人 314人
心臓血管外科の看護師には、様々な専門知識が要求されます。そこで仕事のかたわら勉強して、どうせなら看護認定看護師の資格をとってはいかがでしょう。

転職を考えるなら、資格があると何かと心強いのでは?キャリアアップだけでなく、指導や相談といった新たな仕事も見えてきますよ。

心臓血管外科ナースはキャリアアップで高収入も期待!

心臓血管外科には手術介助という重要な仕事があり、幅広い知識とスキルが要求されます。キャリアアップを目指す方にとっては、非常にやり甲斐のある仕事場だと言えるでしょう。

さらに収入を増やしたい場合には、認定看護師になったり専門病院への転職という道も。でも勉強することも多いですから、やはり目標を持って働くことが大切です。

心臓血管外科は、ベテランの専門ナースを目指したい方にはピッタリの診療科です。