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会社員なら知っておくべき、医療保険が必要な理由・不要な理由

医療保険の必要性

「会社員には、医療保険は必要ない!」

最近、雑誌やWEBでそんな記事を読んだことはありませんか。「医療保険が必要ないなら、月々の保険料の支払いがなくなるし、いいよなぁ」と思う人も多いでしょう。

確かに、健康に不安がない若い世代の会社員は、民間の医療保険ではなく、貯金と公的な制度を使って病気やケガに備えた方が、無駄がなく合理的です。

しかし、公的な制度ではカバーできない費用もありますし、公的制度が今のまま続くとも限りません。

医療保険に入らないことのメリットばかり見るのではなく、メリットとデメリットの両方を知ったうえで、自分に医療保険が必要かどうかを判断するべきだと思いませんか。

今回は、民間の医療保険が必要でないといわれる理由、必要だといわれる理由をどちらもご紹介します。この記事を読めば、あなたにとって医療保険が本当に必要かどうかがわかります。

「貯蓄があれば会社員に医療保険は必要ない」といわれる理由

多くの人が「大きな病気やけがをした時にはお金が必要だから、保険に入っておかないと」と思って医療保険を契約しているのに、どうして「会社員に民間の医療保険は必要ない」といわれるのでしょうか。

実は、医療保険に入っていればどんな病気やケガでも保障してもらえるというわけではありませんし、医療保険に入っていなくても高額な治療費の払い戻しを受けられる制度もあるのです。

さらに、会社員には、入院中の生活費を保障してくれる制度もあります。

これらが「会社員に医療保険は必要ない」といわれる理由です。その内容について、詳しくご説明します。

医療保険にはいっていても、給付金がもらえない場合がある

病院の受付

医療保険に入っていれば、どんな病気やケガでも安心というわけではありません。

給付金をもらうためにはさまざまな条件があり、その条件を満たしていないと、給付金がもらえないからです。

保険によって条件は違いますが、保険金がもらえないケースにはこんなものがあります。

  • 契約開始以前から患っていた持病によって入院した場合は、入院給付金が下りない
  • 入院日数が所定の日数(連続して2日など)を満たしていないと、入院給付金が下りない

あなたが入っている医療保険でも、給付金をもらえる入院・手術と、給付金をもらえない入院・手術があるはずです。

契約内容は「約款」や「契約のしおり」などに記載されています。きちんと確認したことがない方や、内容を忘れてしまった人は、必ず目を通してください。

医療保険は元が取れない可能性が高い

医療保険不要派は、医療保険は元が取れない可能性が高い保険だということも主張しています。

例えば、毎月4,000円の保険料だと、1年間で48,000円、20年間で960,000円払います。入院給付金が1日10,000円とすると、入院給付金だけで元をとれるのは96日間入院した場合となりますね。

でも、入院が長引きそうなイメージがある胃がんの場合でも、入院日数は平均20日程度。20年のうちに何回も大病や大けがに見舞われない限り、96日間も入院する可能性は低いことがわかります。

20年間病気もケガもせずに過ごすことができ、まったく給付金を受け取らないまま、契約期間が終わるかもしれません。

そのため、無駄になるかもしれない保険料を払うよりも、貯金で病気やケガに備えようと考える人も多いのです。

「高額療養費制度」で、払った医療費が返ってくる

さらに、医療保険に入っていなくても、国の「高額療養費制度」を使えば医療費の自己負担を減らすことができます。

この高額療養費制度は、保険証を持っていれば誰でも利用することができる制度で、一定金額を超えた治療費の払い戻しを受けることができます。

例えば、70歳未満で年収約370~約770万円の人が、病院の窓口で30万円を払った場合には、212,750円の払い戻しを受けることができるので、自己負担限度額はなんと87,430円になります。

実際に支払う医療費がそれほど高額にならないため、貯金で十分に備えることができるというのも、医療保険が不要だといわれる理由です。

高額療養費制度については、「払いすぎた医療費は返ってくる!高額療養費の計算方法と使い方」で詳しく説明しています。

会社員は「傷病手当金」で生活費が保障される

傷病手当をもらえる会社員

会社員が病気やケガの療養のために仕事に就くことができない場合、加入している健康保険組合や共済組合から傷病手当金を受け取ることができます。

「傷病手当金」は、療養中の生活費を保障してくれるもので、1日につき、「標準報酬日額」の2/3の額が、最長1年6カ月間支給されます。給料の約2/3(67%)に相当する金額がもらえると考えてください。

健康保険組合によっては、支給金額の増額や、支給期間の延長など独自の制度を設けているところもあります。

会社員の場合、「働けなくなったらすぐに収入が断たれてしまうのでは?だから保険に入っておかないと」という心配はあまり必要ないということです。

傷病手当金について詳しく説明しているのは「傷病手当金の申請を徹底解説!よくわかる申請方法と注意点」です。あわせてご覧ください。

傷病手当金を受け取れるのは会社員や公務員の人だけなんです。自営業の方が加入している国民健康保険には、傷病手当金の制度はありませんので注意してくださいね。

本当に不要か?「医療保険が必要だ」といわれる理由

まずは「会社員には医療保険が必要ない」といわれる理由を見てきましたが、医療保険に入らないことのデメリットも紹介します。

実は、病院に支払う費用のうち、先進医療などの保険外の診療費、食事代、差額ベッド代は「高額療養費制度」ではカバーできません。

また、年を取って健康に不安を感じてから「医療保険に入りたい」と切実に考えても、健康状態によっては保険が契約できない場合もあります。

ここでは、医療保険に入らないことのデメリット、つまり「医療保険が必要だ」といわれる理由についてご説明します。

先進医療は高額療養費制度の対象外

先進医療とは、厚生労働省に認められた、保険の対象にするかどうかの評価段階にある「ある程度実績を積んだ、新しい治療方法」のことです。

この先進医療は高額療養費制度の対象外になり、全額自己負担となります。

すべての先進医療が高額なわけではありませんが、がん治療に用いられる「重粒子線治療」は300万円程度、「陽子線治療」は260万円程度が自己負担となります。

先進医療を行う病院は限られていて、治療を受けることができる人も限られています。また、先進医療を受ければ必ず病気が治るというものでもありません。医療保険不要派はこの点を指摘し、「実際に先進医療を受ける人は少ないから、保険で備える必要はない」と主張しています。

しかし、いざ自分や家族が病気になった時には「チャンスがあれば先進医療を受けたい、受けさせたい」と思うのではないでしょうか。

民間の医療保険の先進医療特約なら、この先進医療の費用を支給してくれます。先進医療特約だけを単体で契約することはできませんが、月々100円程度で医療保険に追加できます。

入院時の大きな負担「差額ベッド代」も対象外

入院時の食事代

食事代と差額ベッド代(差額室料)も高額療養費制度の対象外です。

食事代は、ケガや急な病気で入院した場合は、1食260円と決められていますが、2016年に360円、2018年には460円に値上げされることになっています。ただし、住民税非課税世帯の方には、負担軽減制度があります。

さらに大きな負担になるのが差額ベッド代です。これは、患者本人が「希望」または「同意書にサイン」したうえで、1~4人用の部屋に入院した時にかかる必要です。

病院によって異なりますが、一人部屋の場合には平均で約7,500円がかかります。10日間入院した場合、約75,000円かかる計算です。

高額療養費制度がいつまでも続くとは限らない

医療保険が必要ない理由でご紹介した高額療養費制度ですが、今後、このままの制度が続くとは限りません。

実際、2015年1月に行われた高額療養費制度の変更では、年収約370万円までの層への支援が手厚くなった代わりに、年収約770万円以上の層は負担増となりました。

日本の財政は厳しいですから、今後、制度の変更が行われて、患者本人の負担が増える可能性があります。

年をとってからでは、保険に入りにくい

医療保険を契約する際、保険会社は、申し込みをした人の健康状態をもとに、保険に加入できるかを判断します。

年を取ると、病気になりやすかったり、ケガをしやすかったりするので、健康状態は若いときよりも悪くなります。そのため、病歴によっては保険の契約を断られてしまいますし、入れても保険料が高くなります。

「年を取って、健康に不安を感じてから医療保険に入ればいいや」と思っていると、入れる保険がなくなってしまうことにもなりかねません。

一方、若くて健康なうちに終身型の医療保険に入ると、安い保険料のまま保険料が一生上がらないというメリットがあります。

差額ベッド代は、大部屋に入院する場合や、治療上の必要で個室に入る場合などは払う必要がありません。

しかし、人目が気になるような病気やケガをしてしまったとき、あるいは妊婦さんがたくさんいる産婦人科に婦人科系の病気で入院するといったデリケートな場合は、お金を払ってでも個室に入りたいと考えるかもしれません。そんな時に医療保険で入院給付金が出れば助かりますね。

医療保険が必要な理由、必要じゃない理由まとめ

医療保険の必要性の検討

医療保険が不要な理由と必要な理由を紹介してきました。ここまで説明してきた内容をまとめて比較してみましょう。

医療保険が必要ではない理由
・医療保険に入っていても、給付条件にあわなければお金がもらえない
・無駄になるかもしれない保険料を払うなら、貯蓄に回したほうがいい
・高額療養費制度などを使えば、医療費はそれほど高額にならないので、貯蓄でも十分対応できる
・会社員なら療養中に傷病手当金が支給されるので、生活費の保障もある
医療保険が必要な理由
・高額療養費制度では、食事代、差額ベッド代や先進医療はカバーできない
・高額療養費制度が変更されて、医療費の負担が増えるかもしれない
・年を取ってからだと医療保険に入りにくくなるが、若くて健康なうちに入っておけば、
月々の保険料を安く抑えて契約できる

高額療養費制度を利用すれば、治療費はそれほど高額になりませんし、会社員は傷病手当金によって1年6か月間の生活費も保障されています。

それならば、保険料が給付金として返ってこないかもしれない医療保険に入るよりも、その分の保険料を貯蓄に回して備えるという考え方は、無駄がなく合理的ですよね。

病気にならなければ、貯蓄は老後の資金などにまわせますから、「無駄を省きたい」「節約したい」という人にとっては、魅力的です。

一方で、高額療養費制度や傷病手当金の制度がこのまま続くかは不透明ですし、年を取ってから真剣に医療保険に入りたいと思っても、加入できないリスクがあります。

医療保険不要派と必要派の主張をまとめてみましたがいかがですか?将来のことは誰にもわかりませんし、健康状態には個人差もありますから正解はありません。

ただ「家計を切り詰めたいから保険加入をやめる」と単純に考えてしまうと、将来後悔することにもなりねません。

医療保険が必要な人、必要じゃない人の違い

ここまで説明してきた内容を踏まえると、「自分はずっと健康でいられるだろうか」「病気になった時、個室に入りたいと思わないだろうか」などと将来のことを想像して心配になる人は、医療保険に入っておいたほうがよいでしょう。

さらに、国民健康保険に加入している自営業の人には傷病手当金は支給されないので、将来独立を考えている会社員ならば医療保険に入っておくことによるメリットは大きくなります。

今は「医療保険はいらない」と思っても、転職したり家族ができたりしてライフスタイルや人生設計が変われば、医療保険の必要性も変わってくる可能性があります。

医療保険の必要性の有無を考えるときには、メリット・デメリットのどちらか一方だけを見て判断するのではなくて、自分にとってはメリットとデメリットのどちらが大きいかを比較して考えてみるべきです。

その際には、この記事を参考にしていただければ幸いです。