看護師さんの辛い勤務環境

看護師給料の実態は!?年齢別・就職先別・年収ランキングを紹介

看護師給料の実態は!?年齢別・就職先別・年収ランキングを紹介

看護師として、今の給料に満足していますか?人手不足による激務やサービス残業に追われて、月に数回は夜勤もこなしていると、仕事量の割に給料が安いと感じることもあるのではないでしょうか。

他の看護師はどれぐらい給料をもらっているのか気になりますよね。

同じ看護師でも、勤務先によって給料は大きく変わってきます。

また「看護師の給料は高い」と言われていますが、実際どうなのでしょうか。職業別の年収ランキングを通して、看護師の年収高給説を見ていきましょう。

今の給料に不満がある人だけじゃなく、転職を考えている人も必見!看護師の給料にまつわる疑問を、データをもとに解説していきます。

看護師っていくら貰っているの?年齢別給与額、公開します!

看護師の悩みっていろいろありますよね。その中でも“給与”の悩みを抱えている人は多いのではないでしょうか。看護師の転職理由としても、給料の不満はいつも上位にランクインしています。

そもそも看護師の給料額はどのように決められているのでしょうか。

例えば、国立病院機構の病院に勤めた場合、医療職の国家公務員に適用される「医療職俸給表(三)」に基いています。そのため、地方自治体や民間の病院でもこれに準じて基本額を決めているところが多いです。

人事院の調査によると、看護師の給与の月額平均は、20~23歳は293,161円、32~35歳は345,624円、40~43歳は366,407円、52~55歳は378,909円というデータが出ています。

看護職員の給与

年齢 給与月額(円)
20~23 293,161
24~27 318,167
28~31 333,213
32~35 345,624
36~39 352,523
40~43 366,407
44~47 376,506
48~51 389,087
52~55 378,909
56~ 389,871

引用元:人事院「平成27年民間給与の実態」

この給与額には、勤務日以外に仕事をしたり、勤務終了後に残業をした時に発生する時間外手当や、夜勤手当も含まれています。

月々の給与は「基本給」と「夜勤などの諸手当」で決まるため、手当の額と夜勤の回数によって変わってきます。

つまり同じ年代でも、務めている病院や労働環境によって、給与額は違ってくるのです。よって夜勤のある職場のほうが、そうでない職場より収入が高い傾向にあります。

夜勤手当の一回当たりの平均額

夜勤体制 夜勤手当(円)
3交代制準夜勤 4,399
3交代制深夜勤 5,490
2交代制夜勤 11,276

夜勤手当の額も夜勤の回数も病院によって異なります。

今の給料に不満で転職を考えている場合は、転職先の給与の総額だけではなく、内訳と勤務条件を総合的に見て判断することが大切になってきます。

キャリアアップや資格って必要?役職別給与額の紹介

では夜勤手当以外に、看護師の給料がアップする方法はあるのでしょうか。ここではキャリアアップと資格取得の場合を見ていきます。

まず役職別の給与額については次の通りです。

看護師・役職(職種)別の給与

職種 平均年齢(歳) 平均給与月額(円)
総師長 55.5 535,052
看護師長 47.0 430,669
看護師 37.7 350,669
准看護師 45.1 298,911

注)時間外手当は給与月額に含む
引用元:人事院「平成27年民間給与の実態」

この表からもわかるように、キャリアアップすれば着実に給与額も増えます。昇格条件は、病院ごとに「経験何年以上で師長になれる」などの規則があります。この規則と個人の能力によって昇進が決まります。

管理職はたくさんの部下を持ち、看護師として優秀なだけでなく、人望も求められます。役職につくことは責任や負担も増えますが、役職手当がつくなど、給与面での待遇は良くなります。

では認定看護師や専門看護師の資格を取得した場合も、給与アップは見込めるのでしょうか。病院によっては資格を持っていることで、基本給の評価につながったり、手当があるところもあります。

しかし実際は、基本給の評価につながらない病院や、手当がない病院がほとんどという調査結果が出ています。

日本看護協会の調査によると、 認定看護師の基本給の評価は、 76.8%の病院が「賃金表では特別な評価をしていない」と回答しています。手当の有無は、

  • 「ある」と回答した病院:30.1%
  • 「ない」と回答した病院:69.9%

専門看護師の基本給の評価も、「賃金表では特別な評価をしていない」と回答した病院が 79.1%に上ります。手当の有無は、

  • 「ある」と回答した病院: 23.4%
  • 「ない」と回答した病院: 76.6%

ちなみに、認定看護師手当の平均は11,006 円、専門看護師手当の平均は12,926 円になります。

つまり資格に関しては、必ずしも給与アップにつながるわけではありません。

認定看護師や専門看護師を必要としていない病院や施設の場合、資格を取得しても一般の看護師と給料が同じこともあります。

しかも認定看護師や専門看護師は、他の看護師への指導や外来患者の相談、専門知識を活かした高い水準の看護の実践など、仕事量が増えることになります。その負担を軽くするために、病院側が夜勤を減らす措置をとる場合があります。

夜勤が減ることで心身への負担が減る一方、給料に関しては夜勤手当が減ります。よって資格取得前よりも総支給額が減ってしまう可能性も考えられます。

資格はキャリアアップや転職に有利な場合が多いです。しかし資格取得のためには勉強時間の確保やモチベーションの維持が必要になってきます。自分のキャリアプランや待遇面も考慮して、資格取得を検討してみましょう。

看護師の給料は「夜勤手当」の存在が大きいことがわかりました。看護師は、栄養士、作業療法士、臨床検査技師など他の医療関係の仕事よりも給料が高い場合が多いです。それは夜勤手当が基本給に上乗せされるからなんですよ。

同じ看護師でも職場によって給料は違う!職場選びは慎重に

看護師の職場は病院だけではありません。同じ看護師免許を持っていても、勤務先や業務内容は多岐にわたります。

ではどういう勤務先があるのか、病院以外で働く人がどのくらいの給料をもらっているか、気になりますよね。

看護職員のおもな就職先別待遇

就職先 平均給与月額(円)
病院 352,690
診療所 332,200
保健所・市区町村保健センター 376,085
訪問看護ステーション 346,300
介護老人福祉施設 344,840

働く場所によって、給与額にも違いがあります。

場所によっては、保健師や養護教諭、ケアマネージャーなど看護師の資格を使って、さらに資格を取得して働いている人もいます。

看護師免許があれば上記の勤務先以外にも、企業の健康管理室、空港検疫官、シップナースなど活躍の場はたくさんあります。病院以外の転職先を考えている場合、仕事内容だけでなく給与などの待遇面もふまえて検討してみましょう。

年収ランキングから見る看護師高給説!でも不満足度も高かった

看護師の給料は年齢や経験年数、役職だけでなく、働く場所によっても大きく違うことがわかりました。では看護師は、他の職種に比べて給料はいいのでしょうか。

一般的に「看護師は高給」と言われています。事実、看護師の年収は労働者全体の平均に比べて高い傾向にあります。

転職サイトのDODAによると、2015年の正社員の平均年収は440万円で、看護師の平均年収の478万円はこの平均を超えています。 

職種別・平均年収ランキング

職種 平均年齢(歳) 平均年収(円)
医師 40.0 10,982,400
弁護士 35.6 10,953,500
記者 38.8 8,243,700
高等学校教員 42.8 6,720,200
システムエンジニア 38.0 5,923,300
看護師 38.2 4,783,100
航空機客室乗務員 32.4 4,713,400
デザイナー 36.5 4,331,100
保険外交員 47.2 4,200,600
歯科衛生士 33.2 3,534,300
百貨店店員 41.8 3,500,600
幼稚園教諭 32.3 3,401,600
調理士 43.0 3,313,400
販売店員 38.3 3,255,700
保育士 35.0 3,233,400
パン・洋生菓子製造工 39.8 3,051,400
理容・美容師 30.2 2,855,100

引用元:厚生労働省「平成27年賃金構造基本統計調査」

上記の表からもわかるように、看護師は他の職種と比較しても平均年収が高いことがわかります。

また年収だけでなく、看護師は新卒の平均月給が高いことも特徴です。

労働者全体と看護師の初任給

高専・短大卒の初任給
/高卒+3年過程卒(円)
大卒の初任給(円)
労働者全体 175,600 202,000
看護師 262,565 270,806

看護師は初任給も、年収も労働者全体から見て“高い”というデータが出ています。看護師も経験や年齢による昇給があります。

しかし「昇給幅は他の職種より穏やか」というデメリットもあります。

よって勤続年数が増えるに連れて、「仕事内容と割が合っていない」「満足していない」という不満の声も多くなります。

日本看護協会の調査によると、給与月額に「満足」「やや満足」と答えたのは約26%。約67%が「やや不満」「不満」と回答しています。仕事内容が過酷なため、給与額が仕事と割に合わないと感じている人が多い状況です。

看護師の昇給幅は小さい!夜勤手当に頼らない働き方を目指そう

看護師は日々、人の命と関わる大事な仕事をしています。他の職種と比べて給料が高い分、仕事はハードで責任も重く、看護師は9Kとも言われています。

今の職場環境や給料に不満があって、看護師を辞めたいと思っている人もちょっと待ってください!

せっかく努力して取得した看護師免許です。看護師免許があれば、活躍の場はたくさんあります。仕事内容もいろいろあり、やりがいを持って働くこともできます。そして看護師の給料は、働く場所によって大きく変わってきます。

病院勤務の場合でも夜勤が多い職場は手当がつく分、給与も高くなります。逆に夜勤が少なかったり、サービス残業が多い環境だと、そこまで高い額は見込めません。

しかし夜勤は身体への負担も大きく、いくら給料のためとは言っても無理は禁物です。また看護師は昇給幅も小さく、ワークバランスを考えていく必要もあります。

看護師として働くのなら、自分はどのようなキャリアプランを考えているのか明確にしましょう。転職する際は、目指している看護内容を実現できる職場選びが大切です。

そして給料に関しては総額だけではなく、内訳と勤務条件をふまえて判断することをオススメします。