> > 国保加入者必見!特定健康診査(メタボ健診)で将来の医療費を節約

国保加入者必見!特定健康診査(メタボ健診)で将来の医療費を節約

自治体実施の健診などを活用しよう

国民健康保険って、企業の健康保険組合に比べて、「保険料が高い割に充実していない」という印象がありませんか。

でも、メタボ健診を受けた国保加入者向けにいろんな特典を用意している自治体や、国保加入者はがん検診、プールや温泉の施設利用料がお得になる自治体もあるんですよ。

しかも、メタボ健診(特定健康診査)と特定保健指導を受けると、将来の医療費が節約できるというデータもあるんです。

ここでは、国保加入者向けに自治体が行っている、健康づくりに役立つ事業を紹介します。せっかく保険料を払っているなら、国民健康保険と自治体をとことん活用しないと損ですよ!

メタボ健診(特定健康診査)に熱心な自治体が増加!受診すれば特典も

最近、国保加入者向けのメタボ健診(特定健康診査)と特定保健指導に力を入れる自治体が増えています。

医療費の増加が自治体の財政を圧迫しているので、生活習慣病予備軍を早期に発見して、将来の医療費を抑えるためです。

実際、特定健康診査と特定保健指導を受けた人は、医療費が減ったという調査があります。

医療費が減るということは、健診を受ける私たち自身も医療費を節約できるということですから、ぜひとも受けるべきですね。

生活習慣病の予防を目指す特定健康診査(メタボ健診)

メタボ健診の内容は血圧や血糖など

メタボ健診(特定健康診査)と特定保健指導とはどんなものなんでしょうか。

メタボ健診は生活習慣病の予防や改善を目的に行われている、40歳以上74歳未満が対象となる健診です。共済組合、健康保険組合でも実施されていて、国保加入者向けには、各市区町村が健診を実施しています。

費用については無料の自治体もあれば1,000~2,000円程度の費用がかかる自治体もあります。

基本的な検査項目はこのようになっています。

  • 身体計測(身長、体重、BMI、腹囲)
  • 血圧測定、理化学検査(身体診察)、検尿(尿糖、尿蛋白)
  • 血液検査-脂質(中性脂肪、HDLコレステロール、LDLコレステロール)
  • 血液検査-血糖(空腹時血糖など)
  • 血液検査-肝機能(GOT、GPT、γ-GTP)

メタボ健診で生活習慣病や予備軍だと判断された人は、特定保健指導の対象になります。

特定保健指導は、保健師などの専門家が、生活習慣改善のためのサポートをしてくれるものです。専門家のアドバイスをもとに食生活や運動などの行動目標を立て、それに沿って生活習慣の改善に取り組みます。

基本的には、専門家と面談したあとの半年間は自分で生活改善を実践しますが、より生活習慣病のリスクが高いと判断された人は、進捗状況に合わせた指導も受けることができます。

メタボ健診と保健指導を受けた人は、医療費節約に成功

自治体がメタボ健診と保健指導に力を入れる理由は、医療費の抑制のためだとご説明しました。

生活習慣病になる可能性が高いメタボの人を早期に発見して、生活習慣の改善に取り組んでもらえれば、将来的には医療費が安くなると言われているからです。

実際、尼崎市(兵庫県)が行った調査では、連続でメタボ健診と指導を受けた人は、健診を受けなかった人に比べて、988,938円も医療費が安かったことがわかりました。

メタボ健診・保健指導の状況 平成20~23年(4年間)の医療費/人
未受診
(平成20~23年まで一度も受けていない)
4,012,429円
4年間連続でメタボ健診を受けた 3,692,073円
4年間連続でメタボ健診を受け、
保健指導も受けた
3,023,491円

これは驚きの差ですよね。メタボ健診と保健指導を受けるメリットを感じられる数字ではないでしょうか。

知らない?行けない?国保加入者のメタボ健診受診率は低い

病気を予防し、医療費節約につながるメタボ健診。しかし、国保加入者の皆さんの中には「そもそも、自治体がメタボ健診をやっていることを知らない」とか「役所から健診の案内が来たので知っていたけど、忙しくて行けない」という人も多いようです。

平成24年の調査では、市町村国保加入者でメタボ健診を受診した人は、対象者のうちたった33.7%でした。これは健康保険組合や共済組合に比べてかなり低い数字です。

市町村国保 健康保険組合 共済組合
33.7% 70.1% 72.7%

この状況を打破しようと、各自治体は必死になってメタボ健診と保健指導を受ける人を増やす対策をしているのです。

受診すればインフルエンザ予防接種が無料になる自治体も

メタボ健診受診で予防接種が無料になる

受診者を増やすために、メタボ健診に特典をつける自治体があらわれて話題になっています。

最も話題になったのは総社市(岡山県)で、平成25~26年度にかけて、1年間医療機関で保険診療をまったく受けなかった家庭に、1万円をキャッシュバックしました。この際、40歳以上のメタボ健診対象者がいる世帯は、メタボ健診の受診が条件でした。

また、横須賀市(神奈川県)は、地元の信用金庫と協力して、平成27年4月~H28年3月まで、メタボ健診を受けた人には、1年もの定期預金の金利を0.1%上乗せするという取り組みを始めています。

他にも、抽選でホテル宿泊券が当たったり、地元商店の割引券を配布する自治体も多いです。府中市(広島県)の取り組みがユニークなので紹介しますね。

府中市は、3年連続でメタボ健診を受けた人には国民健康保険証のゴールド証を交付しています。これは単にスペシャル感があるだけではなく、持っていることでこんなメリットがあるのです。

  • メタボ健診が無料になる(40~70歳で前年度受診していない場合は1,500円)
  • インフルエンザの予防接種が無料になる(保険証記号・番号が同じ家族も無料)
  • 公共施設を割引料金で利用できる券がもらえる

特に子育て中の方にとっては、インフルエンザの予防接種が無料になるのは嬉しいのではないでしょうか。

大阪市などは基本の特定健康診査に加えて、独自の診査項目を追加しています。かなり充実した項目を無料あるいは低額で受けられるのですから、対象者は受けないと損ですよ。

国保加入者向けに、人間ドックの費用を助成してくれるところも

特定健康診査(メタボ健診)は国から義務付けられた事業ですが、他にも住民の健康づくりのための事業を行っている市区町村があります。

国民健康保険加入者向けに人間ドックの費用を助成してくれたり、プールなどの健康関連施設を安く利用できる事業などを行っているところもありますのでご紹介しますね。

自治体が人間ドックの費用を補助してくれる

国保加入者向けに人間ドッグの費用を補助してくれる自治体があります。

例えば松戸市(千葉県)では、40歳以上の国保加入者でメタボ健診を受けていない人向けに、人間ドックの費用として15,000円を助成してくれます。沼津市(静岡)でも、条件を満たせば上限3万円(または2.5万円)まで助成してくれます。

人間ドックの費用は病院や検査内容によって異なりますが、自分で病院を予約して受けると、30,000~100,000円くらいかかることもあります。

健康のためとはいえ、けっこうお金がかかるので、全額自己負担だと受けようか少しためらいますね。しかし自治体が助成してくれるなら受けてみようかという気にもなります。

国保加入者なら健康づくり施設がお得に利用できる自治体

国保ならプール利用が無料になる川崎市

国保加入者だと、市区町村内のプールやジムの施設利用料が安くなったり、温泉施設が割引で使えたりと、健康増進のための施設をお得に使えるところもあります。

川崎市(神奈川県)では、国民健康保険加入者は、市内5つの温水プール、7つのトレーニングルームを無料で使える利用券が半年ごとに1人8枚(世帯上限20枚)ももらえます。他にも葉山・長者ヶ崎海岸にある海の家の無料利用券がもらえたり、温泉施設の利用料金が割引になったりします。

東京でも、温泉施設の割引券がもらえたりと、お得になる額は少なくても国保加入者向けのサービスを行っています自治体は多いですよ。せっかく保険料を払っているのですから、利用してみませんか。

人間ドッグ費用の助成については、甲州市(山梨県)などのように、助成してもらえる人の数が決まっていて先着順という自治体もあります。そのような自治体にお住まいの方は、申込が開始されたら早めに申し込みをしましょう。

がんを早期に発見するために、自治体実施のがん検診も受けよう

各自治体では、がん検診も行っています。

がんは日本人の死因第1位ですが、初期の段階で発見できれば、高い確率で治るようになってきました。ですから、できるだけ早期にがんを発見して治療を行うためには、がん検診はとても重要です。

会社員などは職場でがん検診を受けることもありますが、そういった機会がない国民健康保険加入者のため、市町村でもがん検診をおこなっているのです。

自治体実施のがん検診はクーポンなしでも費用は安い

自治体のがん検診にかかる費用は決して高くありません。

自己負担を求めない自治体もありますし、自己負担がある場合も、胃がん・肺がん・大腸がんの検査はそれぞれ1,000円以内に収まるところがほとんどです。

女性の乳がんや子宮頸がんの検診はもう少し費用がかかる場合がありますが、それでもそれぞれ2,000円程度のところが多いです。

特定の年齢の人にはクーポンを配って、無料でがん検診を受けられるようにしている自治体もありますよ。

このがん検診についても、国保加入者向けの助成を行っている自治体があります。

士別市(北海道)はがん検診や骨粗しょう症検査について、国保加入者の自己負担額を低く設定して受診を促していますし、久喜市(埼玉)では、国保加入者はがん検診が無料になります。

自治体ががん検診のクーポンを配布していることを知っている人は多いと思いますが、国保加入者向けに割引や無料といった優遇策を用意していることは知らない人も多いかもしれません。住んでいる自治体の特典を調べて、ぜひ利用してみましょう。

自治体による国保加入者向け事業を使いこなして健康に

自治体が国保加入者向けに行っている事業についてご紹介してきました。

特定健康診査(メタボ健診)と特定保険指導、人間ドックの費用助成、プールやトレーニングルームの無料利用券・割引券の配布、がん検診の費用助成など、意外に充実していると思いませんか。

活用すれば、健康づくりに役立ち、医療費も節約できますよね。

病気やケガをした場合でも、会社員のように健康保険組合からもらえる傷病手当金などがない自営業やフリーランスのみなさんは、会社員以上に健康に気をつかわないといけません。使える制度はとことん使いましょう。

自治体独自の特典や助成内容は、自治体によって大きく違っている上に、よく変更になります。やっていた特典や事業がなくなったり、反対に新しいものができたりしますから、住んでいる自治体のWEBサイトや広報誌をこまめにチェックするのがおすすめです。