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体重が減って動悸を感じたらバセドウ病?症状や原因、治療法を紹介

「最近なんだか疲れやすい」「脈拍が早くて、少し動くだけで動悸を感じる」などの症状に心当たりはありませんか?

症状がなかなか回復しない場合、それは「バセドウ病」かもしれません。

バセドウ病は、体内の自己免疫機能の異常による病気です。体重が減少し、目が大きく見開いた状態になることもあります。

この記事ではバセドウ病の症状や原因、治療法について見ていきましょう。

体重減少や動悸を感じる!バセドウ病の症状をチェック

バセドウ病は、甲状腺※の働きが過剰になることで引き起こされる病気です。

甲状腺とは

体の新陳代謝を促すための「甲状腺ホルモン」を作り出す臓器のこと。首の前側、のどぼとけのすぐ下にあります。

甲状腺の働きが過剰になり甲状腺ホルモンが出されることで、さまざまな症状が現れるんですよ。バセドウ病の症状をチェックしてみましょう。

バセドウ病の症状
  • 食欲はあるが体重が減少する
  • 脈拍が早く、安静な状態でも動悸を感じることがある
  • 暑さに弱く、汗をかく
  • 手指などが震える
  • 筋肉の力が落ち、疲れやすくなる
  • 下痢をしやすくなる
  • 甲状腺が腫れている
  • 目が少し大きくなる
  • 精神的に落ち着かない
  • 筋肉の麻痺を起こすことがある

甲状腺ホルモンは、体のさまざまな組織に作用します。

脈拍が早くなったり大量の汗をかいたりと、運動した後のような症状があるのが特徴です。

バセドウ病にかかっても、すべての症状が出るわけではありません。症状には個人差もありますので、当てはまる症状が多い人は病院で診察を受けるようにしましょう。

バセドウ病の病院での検査については「バセドウ病を診断するには「血液検査」と「超音波検査」が必要」の章で紹介していますので、参考にしてください。

バセドウ病は、200~400人に1人程度の割合で発症する、比較的よく見られる病気です。主に20代~40代の女性に多いとされています。甲状腺ホルモンの働きを正常にすれば、一般の人と変わらない生活を送ることができますよ。

バセドウ病の原因は免疫反応の異常!その診断方法は?

バセドウ病は甲状腺の働きが過剰になることで、さまざまな症状をもたらすことを説明しました。では具体的に、何が原因でバセドウ病を発症するのでしょうか。

バセドウ病の原因として、体内の自己免疫反応の異常が挙げられます。その異常を調べるため、血液検査や超音波検査を行うんですよ。

ここではバセドウ病の原因と、診断方法についても解説します。

体内にあるリンパ球が甲状腺を攻撃!バセドウ病の原因とは

バセドウ病の原因は、体内の自己免疫反応の異常です。

人間の体内には、体に侵入した風邪のウイルスや細菌などを攻撃する「リンパ球」があります。この自己免疫反応を持つ「リンパ球」は本来、体内の組織を攻撃することはありません。

しかし体の免疫系に異常が起きると、このリンパ球が体内の組織を異物とみなして攻撃することがあります。

「バセドウ病」発症の仕組み

バセドウ病も、このリンパ球の異常によって引き起こされる病気の1つ。リンパ球は、甲状腺の細胞に対する抗体※を産生します。

抗体とは

特定の異物を、体内から除去する分子のこと。体にとって異物であると判断されたものに対して産生され、異物から体内の細胞を守るために働きます。

リンパ球が作り出した抗体が、甲状腺の細胞を刺激することで甲状腺ホルモンが過剰に分泌され、さまざまな症状を引き起こすのです。

バセドウ病を発症するきっかけは、不明なことが多いとされています。ただし次のようなことが引き金となり、バセドウ病を発症することも。

バセドウ病を発症するきっかけ
  • 過労
  • ストレス
  • 出産
  • 体質の遺伝

病気自体が遺伝するものではありませんが、自己免疫反応が異常になりやすい体質を遺伝的に持っている人もいます。バセドウ病になりやすい体質を持っている人に、環境的な要因が加わることで発症すると考えられているんです。

バセドウ病を診断するには「血液検査」と「超音波検査」が必要

バセドウ病は、血液検査と超音波検査によって診断することができます。

血液検査の項目と、バセドウ病と診断される数値の基準は次のとおり。

バセドウ病を診断するための血液検査項目
検査項目 数値の基準
freeT4(甲状腺ホルモン) 高値
TSH(甲状腺刺激ホルモン) 測定不可能なほど低値
TRAb(TSH受容体抗体) 陽性

超音波検査で確認するのは次の3つです。

バセドウ病を診断するための超音波検査項目
  • 甲状腺の大きさ
  • 甲状腺内の血流
  • 甲状腺内部のしこり

バセドウ病は症状だけでも判断することが可能ですが、確定診断の実施や病状の程度を把握するためには検査が必要になります。

バセドウ病による甲状腺ホルモンの過剰な分泌は、体内のコレステロールの代謝にも影響。コレステロールが低いことが健康診断で分かり、そこから甲状腺の病気が見つかることもあります。

バセドウ病の治療法は3つ!内服薬治療・放射線治療・手術療法

バセドウ病の治療法は次の3つです。

バセドウ病の治療法

それぞれ詳しく見ていきましょう。

薬を飲んで甲状腺ホルモンを作りにくくする!バセドウ病の薬物療法

バセドウ病の治療法の1つとして、甲状腺ホルモンを作りにくくする薬を飲んで治療する方法があります。服用する薬は次の2種類のどちらかです。

バセドウ病治療のために服用する薬
  • メルカゾール(成分名:チアマゾール)
  • チウラジール(成分名:プロピルチオウラシル)
基本的には、メルカゾールから飲み始めます。理由は、メルカゾールのほうが薬の量が少ないため副作用を回避しやすく、1日1回の服用で効果を得られるためです。

服用期間は少なくとも2年。甲状腺ホルモンの数値が正常であれば、服薬を中止します。

ただし薬の服用により、副作用が起きる可能性も捨てきれません。

メルカゾールやチウラジールの副作用として見られる可能性がある症状は、次のとおりです。

内服薬療法の副作用(一例)
  • 貧血
  • 蕁麻疹
  • 筋肉痛
  • 頭痛
  • 肝炎
  • 無顆粒球症

副作用の症状が軽い場合は、副作用を抑える薬を一緒に飲んで治療を続けますが、症状が重い場合は服用する薬の変更や、放射線治療・手術療法へ切り替え。

発熱やのどの痛みなどの症状が出た場合は、副作用の1つである「無顆粒球症」の可能性があります。「無顆粒球症」については「いつもと違う症状が出た場合はすぐに受診!生命の危機に陥ることも」で説明していますので、参考にしてください。

甲状腺にだけ影響を与える放射線で治療する!バセドウ病の放射線治療

薬の副作用が重く薬物療法が実施できない場合、放射性ヨード※を服用して治療します。

放射性ヨードとは

甲状腺が甲状腺ホルモンを作り出すための素材となる、元素のこと。甲状腺だけに影響を与える放射線を発生させ、甲状腺の細胞を壊します。

「バセドウ病」放射線治療の仕組み

体内に入った放射性ヨードは、甲状腺の細胞を部分的に破壊。さまざまな組織に影響を与える甲状腺ホルモンが作られにくくなり、甲状腺ホルモンの量は減少します。

治療手順は、放射性ヨードを閉じ込めたカプセルを1回内服するだけ。

服用から半年後に効果の有無を確認し、効果が不十分であった場合には繰り返して治療することもできるんですよ。ただし注意点が3つあります。

放射線治療の注意点
  • 治療中に甲状腺ホルモン値が悪化する場合がある
  • 治療終了後に甲状腺機能低下となる可能性が高い
  • 重症のバセドウ病眼症※の人や妊娠中、授乳中の人は服用できない
バセドウ病眼症とは

バセドウ病によって、眼球が突出したり失明したりする症状のこと。眼に悪性の症状がある場合、内科治療だけでなく眼科専門医による治療が必要となります。

放射線治療は入院の必要もなく、副作用もありません。ただし放射線治療により甲状腺の機能が低下した場合は、甲状腺ホルモン剤を一生服用し続けることになるというデメリットがあります。

しかし甲状腺ホルモン剤にも、副作用はほとんどありません。

服用中は病院での検査も年に2回と、内服薬治療よりも楽になることが多いようです。

甲状腺に腫瘍がある場合は手術で治療する!バセドウ病の手術療法

バセドウ病により甲状腺の腫れが非常に大きい場合や、甲状腺に腫瘍が合併している場合は「手術療法」が選択されます。

手術では甲状腺を一部だけ残して取り除くことで、「内服薬治療」や「放射線治療」よりも早くて確実な結果が期待されているのです。

ただし、手術後に合併症を引き起こす危険性もあります。手術によって引き起こされる合併症は、次のとおりです。

バセドウ病の手術療法による合併症
病名 症状
甲状腺機能低下症 甲状腺の働きが悪くなる
副甲状腺機能低下症 体内のカルシウムのバランスが崩れる
反回神経麻痺 声がかすれる

手術を受けるためには、1週間程度の入院が必要になります。手術後はすぐに甲状腺機能が正常化しますが、時間が経ってから再発したり、甲状腺機能が低下したりする場合も。

そのため術後は、定期的に診察を受ける必要があります。

バセドウ病をどう治療するかは、患者さんの希望や年齢、甲状腺機能の程度、医療設備、専門医の有無などから総合的に判断して、医師が治療法を決定します。患者さんにとって、最も適した治療法を選択することが重要です。

バセドウ病の治療中は定期的な通院が大切!日常生活上の注意点

バセドウ病の治療によって甲状腺ホルモンの数値が正常に戻れば、普通の人と変わらない日常生活を送ることができます。

ただしバセドウ病の症状が再発する可能性もあるため、定期的に診察を受けなければなりません。

また甲状腺ホルモンの数値が正常になるまでの間に、注意しておくべき点もあります。治療中のバセドウ病患者が、日常生活を送るための注意点は次のとおりです。

「バセドウ病」日常生活での注意点

飲み忘れると症状が悪化!薬の内服を忘れないように

内服薬治療を実施中は、薬を飲むことが直接バセドウ病の治療に繋がります。

そのため薬を飲み忘れてしまうことで、バセドウ病の症状が悪化する恐れも。

医師が指定した服用時間で飲み忘れが多い場合は、起床時や食後など、飲み忘れの少ない時間帯に変更できるか医師に相談してみるのもいいでしょう。

重労働や激しい運動は控える!できるだけ安静にして過ごす

甲状腺ホルモンの数値が正常になるまで心臓への負担は大きく、頻脈や不整脈などの症状を発症しやすい状態が続いています。重労働や激しい運動は、できるだけ控えるようにしてください。

また、過度なストレスも治療に悪影響を与えます。できるだけ安静にして過ごすことが大切です。

喫煙は治療に悪影響を与える!過度な飲酒も控えましょう

バセドウ病眼症の症状がある人は禁煙。飲酒もできるだけ控えたほうが望ましいと言われています。

とくに喫煙は、バセドウ病の症状の1つである「眼球の突出」が悪化する原因に。

飲酒が直接治療に影響を与えることはありませんが、アルコールの服用は動悸が激しくなりやすいため、過度な飲酒は避けたほうが良いですね。

いつもと違う症状が出た場合はすぐに受診!生命の危機に陥ることも

薬の副作用や突然の再発などによって、いつもと違う症状が体に現れた場合は、すぐにかかりつけの病院を受診してください。

特に気をつけたいのは、急にのどが痛くなり高熱が出た場合。この症状は薬の副作用である「無顆粒球症」の可能性があります。

無顆粒球症になると肺炎や敗血症などの重症感染症を起こし、生命の危機にさらされることもあるのです。

バセドウ病を治療する上で最も大切なのは「定期的な通院」

内服薬治療や放射線治療、手術療法など、どの治療法であっても、バセドウ病を治療するうえで最も大切なのは「定期的に通院する」こと。

通院間隔は治療法や患者さんによってさまざまですが、治療の経過や症状の把握のためにも通院する必要があります。

また甲状腺ホルモンの数値が正常になった人でも、再発や甲状腺機能低下をいち早く発見して治療を行うために、年に1~2回の通院は欠かせません。

甲状腺ホルモンの数値が正常になるまでは、ゆとりのある行動をとることも大切です。10分早く家を出る、重いものを持って歩かないなど、できるだけストレスを感じない生活を送ることが必要なんですよ。

定期的な通院で「バセドウ病」と上手に付き合いましょう

この記事ではバセドウ病の症状やその原因、治療法などを説明しました。

バセドウ病は、自己免疫反応の異常によって引き起こされる病気です。

体重の減少や動悸など、運動した後のような症状が出ます。

診断するためには血液検査・超音波検査が必要です。治療法は「内服薬治療」「放射線治療」「手術療法」の3つから、適切なものが選ばれます。

治療中で最も大切なのは「定期的に通院する」こと。

病院で適切な治療を受けて、バセドウ病と上手に付き合っていきましょう。