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尿検査に引っかかったら注意!IgA腎症ってどんな病気なの?

子どもから大人まで、学校や会社の健康診断で必ず行われる尿検査。それだけ広い世代に毎年きっちりと施行されるのは、やはり尿は健康のバロメーターであり、その状態からいろんな身体の異常が見つかるからです。

検尿で発見される病気は、腎臓に関するものが多いですが、その中のひとつに「IgA腎症(アイジーエーじんしょう)」というものがあります。あまり聞き慣れない病名ですが、適切に治療しないと進行していってしまう困った病気です。

そのため、IgA腎症に対する知識を深めておけば、万が一この病気にかかったときに素早く対応ができます。ぜひ、このIgA腎症について知っておきましょう。

尿検査で発見されがちなIgA腎症ってどんな病気?概要をご説明!

IgA腎症は、尿検査によって初めて見つかることが多い病気です。これだけでも、尿検査がとても大切なのは何となく分かりますが、もう少し詳しく尿検査のことを知っておきましょう。

そして、なぜIgA腎症が検尿で発見されるのか、また、そもそもIgA腎症とはどんな病気なのかを、まずは見ていきましょう。

尿検査とは

保育園や幼稚園、学校や会社、病院での簡単な健康診断などで必ず実施されるのが、尿検査です。なので、誰もが尿検査の経験があるはずです。その尿検査には、

  • ph
  • 尿たんぱく
  • 尿糖
  • 尿潜血
  • 尿ウロビリノーゲン
  • 尿ケトン体
  • 白血球
  • 尿ビルビリン

など多くの項目がありますが、精密検査ではない一般的な検尿では、上から4つまでの項目をチェックすることが多いです。いずれの項目も陰性(尿中にそれぞれの項目のものが認められないこと)が正常な状態で、もしも陽性反応が認められると、さらに詳しい尿検査をすることになります。

腎臓病の多くは自覚症状がないため、腎臓病の発見のためには定期的な尿検査が必要不可欠なのです。このように尿検査は、身体的な負担が無いのに非常に多くのことが分かる有用な検査なのです。

腎臓の仕組み

尿検査では、感染症の有無や一部の肝疾患も調べられますが、主には腎臓の働きを見るものです。今回のテーマでもあるIgA腎症について知る前に、まずは腎臓の働きを学んでおきましょう。

腎臓とは、背中側に近い下腹部に、左右ひとつずつあるそら豆のような形をした臓器です。腎臓の役割には、

  • 血中の塩分や老廃物をろ過して尿中に排出する
  • 血圧を調節する
  • 体内の水分やイオンのバランスを整える
  • 骨を強化する

などがあり、全身の健康を保つために大きな働きをしてくれています。

これらの役割の中でも、IgA腎症に関するのは「糸球体」という器官による、ろ過機能で、本来は腎臓から出ないはずのたんぱくなどが、腎臓をすり抜けて尿中に出てしまう状態となります。

そのため、検尿でたんぱくや血尿が陽性となり、そこで初めてIgA腎症が見つかることになるのです。

IgA腎症とは

さて、いよいよIgA腎症についてお話します。IgA腎症は、慢性腎炎、特に慢性糸球体腎炎の一種です。近年、日本人の間で慢性糸球体腎炎が増加していますが、中でもIgA腎症は最も多い疾患です。

IgA腎症の人は、腎臓の糸球体にIgAが付着しており、同時に糸球体の毛細血管に炎症が起きていることが分かっています。このせいで、腎臓の糸球体はだんだん壊れていってしまい、一旦壊れた糸球体が復活することはありません。

すると、残った糸球体への負担が大きくなってしまい、そのためますます糸球体が壊れるスピードが加速してしまいます。糸球体が全滅してしまえば、腎臓の機能は失われてしまいます。このようにIgA腎炎は、ゆっくりと進行していく病気なのです。

腎臓って、おしっこに関することだけでなく全身の調子を整える働きもしていて、生命維持にも重要な臓器なんだね!

腎臓のフィルターである糸球体が壊れていくために、尿中にたんぱくや血尿が出てしまうのがIgA腎症というわけだね。

どうしてなるの?遺伝も関係ある!?IgA腎症の原因とは?

前章では、IgA腎症は進行性の慢性腎臓病であることをご説明しました。次に、どんなことが原因になってこのような困った病気になってしまうのか、その辺りについてお話していきます。

IgA腎症の原因

IgA腎症のはっきりとした原因は、実はいまだ不明となっています。しかし、前の章でも少し触れましたが、発症のきっかけになるのは何らかの感染症であるということははっきりしてきています。

よくあるのは、扁桃腺炎にかかって喉から抗原が体内に入ってしまい、その結果、抗体(IgA)が作られて腎臓に取り付いてしまうケースです。

でも、扁桃腺炎になってもIgA腎症にはならない人もたくさんいますから、一部の人だけが免疫抗体が暴走して発症するという意味で、IgA腎症は自己免疫疾患とも言えます。

遺伝も関係ある?

IgA腎症は、基本的には遺伝による病気ではありません。しかし、血縁家族内で複数の人がIgA腎症にかかるケースがあるので、遺伝や体質が関係しているのではないかという指摘もあります。

また、そのような遺伝要因が関係していると思われるIgA腎症は「家族性IgA腎症」と呼び、IgA腎症全体の中の10%程度が家族性だと言われています。

しかし、家族内のIgA腎症に関する研究はまだまだ不十分であり、確認されていないだけで実際にはもっと多くなるかもしれないとも考えられています。

扁桃腺炎を起こした数日後に発症するケースも多いから、扁桃腺炎が治ったら尿検査を受けるといいね。

でも、IgA腎症の原因やメカニズムには、まだまだ分かっていないことが多くて、国の難病にも指定されているんだよ。

初期には自覚症状がないことも!進行するとどんな症状が出るの?

IgA腎症を始めとする腎臓の病気全般には、自覚症状がないことが多いということは、既に少しお話しました。初期は特に症状が出にくいですが、進行してくると何らかの所見が出てくることもあります。

ここでは、IgA腎症の症状や診断、予後についてご説明します。

IgA腎症の症状

お伝えしているように、IgA腎症は何の自覚症状も無いケースがほとんどです。したがって、自分から体調不良を感じて病院へ行くということはなく、学校や会社などでの尿検査にひっかかって精密検査を受けてみて、初めてIgA腎症だったことが分かったというパターンが圧倒的多数です。

自覚症状がなくても、検尿では尿潜血やたんぱくが陽性となります。尿潜血といっても、試験紙や顕微鏡で検査をすると血液反応が見られるというだけであって、トイレでおしっこをしたときに尿の色を見ても普通の薄黄色であることも多いんです。

尿検査で見る尿潜血は、ほんの少しの血液でも反応してしまうため、女性は生理前後だと潜血反応が陽性になることはよくあります。そのため、女性がIgA腎症の疑いがあって再び尿検査を受ける時は、生理から最も遠い排卵日前後に行う必要があります。

このように無症状なIgA腎症ですが、進行すると、

  • 目で見て分かるレベルの血尿
  • むくみ
  • 高血圧

これらの症状が現れることがあります。

確定診断のための腎生検

はっきりとした自覚症状がないこともあって、問診や内科的検査だけでは診断がつかないこともあります。確定診断のためには腎生検を行う必要があります。

腎生検には、病室のベッドで鉛筆の芯くらいの太さの注射針を刺して、腎臓の組織を吸い出して生検を行う方法と、開腹手術をして腎臓の組織を一部切り取る方法とがあります。

採った組織を顕微鏡で調べ、糸球体にIgAが沈着しているのが認められれば、IgA腎症という確定診断がなされます。

しかし、腎生検を実施しないままに慢性腎炎として治療を続けているケースも少なくないことから、IgA腎症と診断は受けていなくても実はそうだったという人が、意外と多いのかもしれないとも考えられています。

IgA腎症の予後

以前はIgA腎症の予後は良いものとされていましたが、今では予後不良というのが定説となっています。IgA腎症においての予後不良とは、5年~20年以内に人工透析が必要となってしまうことを言います。

自然治癒するケースも少数ながらあることは認められていますが、適切な治療をしなければ、徐々に進行していくケースが大半です。すなわち、腎臓の機能がだんだん低下していって人工透析が必要となったり、最終的には腎不全を起こして命を失うことにもつながってしまうということです。

できるだけ早く治療を始めることで、腎臓の機能を多く保つことが可能となります。というわけで、IgA腎症の予後は発症から治療開始までのスピードに罹っていると言えます。

血尿はIgA腎症に普通に見られる症状だけど、見た目では分からない血尿も多いから油断は禁物!

腎生検はちょっと怖い検査だけど、適切な治療をするには確定診断が必要だから、IgA腎症の疑いがあったら受けることも検討しよう。

適切な治療で少しでも進行を遅くしよう!IgA腎炎の治療法とは

IgA腎症の治療は出来る限り早く始めることが重要であることをお伝えしましたが、ここでそれについてもう少し詳しくお話します。それとともに、具体的な治療法についてもご説明します。

2つのポイント

IgA腎症の治療には、2つのポイントがあると言われています。

ひとつめのポイントを過ぎると、どんなに効果が高いと言われている治療法を試みても治癒はしなくなります。そして、さらにふたつ目のポイントを過ぎると、治癒はもちろんのこと、進行を遅らせることも難しくなってしまいます。

したがって、ふたつ目のポイントを過ぎると、近い将来、人工透析をしないと生きられなくなってしまいます。

腎機能が正常の70%以下になると、寛解率は低下すると言えます。寛解を目指すためには、繰り返しになりますが、ひとつめのポイントを過ぎる前に、できる限り早く治療を始める必要があります。

扁桃パルス治療

IgA腎症の治療法として代表的なものに、扁桃パルス治療というものがあります。これは、扁桃腺を摘出する手術とステロイド治療を組み合わせたものです。

具体的には、扁桃腺を摘出し、大量のステロイドを2~3時間点滴するのを3日間続けるパルス治療と自宅でステロイドの内服薬を飲む治療とを、交互に3回繰り返します。扁桃腺の摘出術は、パルスの後にすることもできます。

この扁桃パルスによって、慢性疾患であるIgA腎症の寛解を目指せるということで、近年注目を集めている治療法です。しかし、扁桃腺摘出をせずステロイドパルスだけでも、扁桃腺摘出をした場合とそれほど効果に差はないというデータもあります。

特に、扁桃腺炎を起こしたことがないIgA腎症の人は、ステロイドパルスだけでもいいのかどうか、主治医とよく相談してみてください。

その他の治療法

扁桃パルス以外の治療法としては、

  • 薬物治療
  • 生活指導
  • 食事療法

があります。

薬物治療では、IgA腎症に見られがちな合併症である、高血圧をコントロールするための降圧剤や、状態によっては免疫抑制剤、抗血小板薬などが用いられます。

生活指導としては、喫煙している人には禁煙をすすめられます。また、肥満傾向のある人は適正体重に戻すための指導がなされます。

食事に気を配ることもIgA腎症とうまくつきあっていくためには重要で、たんぱく質や脂質の取り過ぎはNGです。

人工透析

これらの治療法を行っても効果が無い場合は、最終的には人工透析が欠かせなくなります。人工透析が必要となる基準としては、腎臓の機能が正常の10~15%以下になったときです。

しかし、15%以上あってもむくみなどの症状や日常生活での制限が重度であれば、人工透析が適用になることもあります。

人工透析を始めるにあたって、まず通常は手首に「内シャント」という手術をして、静脈と動脈をつなぎます。そして、日々の透析では、ダイアライザーと呼ばれる機械をつなぎ、血液をろ過してきれいにしたものを体内に戻します。これを週に3回、毎回4時間かけて行います。

人工透析は週に3回も行わなければならず、日常生活が大きく変わってしまうから、できることなら避けたいよね。

IgA腎症の治療は、何はなくとも早く始めることがとっても重要!生活習慣に気を付けることも大切だね。

早期治療で人工透析のリスクを軽減!IgA腎症と上手に付き合おう

IgA腎症という、あまり耳になじみのない病気についてお話してきました。早期に治療しないと人工透析などのリスクが高まるにもかかわらず、自覚症状がなくて発見や対策が遅れがちという、なかなか厄介な病気でした。

子どもから大人まで、誰もがかかり得るうえに、近年日本で増えてきている病気のひとつでもあります。予防は難しいですが、もしもIgA腎症になってしまっても早く適切な治療をすれば寛解に持っていくことも可能です。

そのためには、やはり検尿は毎年しっかり受けて、結果に応じて受診することがとっても大切です。尿検査をあなどらず、腎臓を大切にしてあげましょうね!

女性は、生理が近いと尿検査で潜血反応が出ることはよくあるから、血尿と言われてもそれほど深刻に受け止めない人も多いかもしれない。でも、検尿の結果は重視すべきことをもう一度強調しておくよ。特に、たんぱくが出ていたら要注意!

定期的に健康診断を受けて、ちょっとした変化にも敏感になれば、いつまでも健康で美しくいられるね!