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不眠症に悩む人が急増中!現在社会が抱える夜眠れない理由

不眠症で悩む人が急増中

最近、眠りが浅くすぐ起きてしまったり、横になってもなかなか眠れないことはありませんか?
なんと現在の日本では5人に1人が不眠症と言われ、その割合は年々増え続けています。

日本睡眠医学協会の調査によると2020年には、不眠症に悩む人の数は3000万人を超えるとの報告もあり、もはや現代を代表する病気とも言えます。 

しかし睡眠時間は人それぞれで、7時間以上寝ても眠たいと感じる人がいれば、4時間寝れば十分という人もいますよね。

このような個人差があるため、不眠症はなかなか病気として一般に認知されにくく、本当は不眠症でも自覚症状がない「隠れ不眠」の人がたくさんいるんです。

不眠症を相談しても「やる気がないだけ!」と冷たくあしらわれてしまったり、またそれが原因となってストレスが溜まり、さらに不眠になるという悪循環さえ発生してしまいます。

不眠症は睡眠障害の1つで立派な病気ですので、悩んでいる人は我慢せず病院で診断を受け、医者から適切な治療を受けましょう。

不眠症は種類もさまざま!あなたはどのタイプ?

「旅行先で枕が変わって眠れない」や、「明日のプレゼンが心配で眠れない」など、一時的な環境の変化やストレスなどが原因で眠れないものを一過性不眠と呼び、1週間以上継続するものを短期不眠と呼びます。

一過性不眠や短期不眠は原因がわかりやすく、その原因が解決すれば自然と不眠症も解消されるため、専門的な治療は必要ありません。

しかし、1ヶ月以上続くようになると長期不眠と呼び、うつ病などの精神疾患が原因で起こる不眠症の場合もあるため、病院での診断や治療が必要になります。

また、不眠症にはその症状から4つに分類ができます。

入眠障害 寝ようとしてもなかなか眠れず、寝付くまでに30分以上時間がかかってしまいます。この症状が続くと、「眠らなきゃ」という意識が強くなり、余計眠れなくなる人が多いようです。
中途覚醒 眠りが浅いため夜中に何度も起きてしまいます。一度目が覚めるとなかなか根付けなくなります。
熟眠障害 十分な睡眠をとったにも関わらず、眠りが浅いため熟睡できない状態で、起きても疲れを感じます。
早朝覚醒 朝早くに目が覚めてしまい、そのまま眠れなくなります。

このうち1つだけが症状として現れる場合もあれば、2つ3つと複数現れる場合もあります。自分が不眠症であるか不安な場合は、まずは次のセルフチェックで確認しましょう。

夜なかなか眠れない人だけじゃなく、途中で起きてしまう人、朝早くに起きてしまう人も不眠症の部類に入ります。自覚がないまま症状が重くなることもあるため、軽いうちから意識して改善するよう対策していきましょう。

セルフチェックで不眠症の疑いを確認してみよう!

次のセルフチェックはWHO(世界保健機関)が中心となって設立した「睡眠と健康に関する世界プロジェクト」が作成したものです。

質問に対しての回答を選択肢から選び、先頭に付いている点数の合計で結果が診断されます。
なお、回答には過去1カ月間に少なくとも週3回以上経験したものに当てはまる回答を選んでください。

A 布団に入ってから眠るまでの寝つきは?
0 問題ない
1 いつもより少し時間がかかった 
2 いつもよりだいぶ時間がかかった
3 全く眠れなかった

B 睡眠中に目が覚めることは?
0 問題ない
1 少し困ることがある 
2 かなり困っている 
3 深刻な状態、または全く眠れなかった

C 予定の起きる時間より早く起き、それ以上眠れなかったか?
0 そのようなことはない 
1 少し早く起きた 
2 かなり早く起きた 
3 非常に早く起きた、または全く眠れなかった

D 合計睡眠時間は?
0 十分
1 少し足りない 
2 かなり足りない
3 全く足りないか、全く眠れなかった

E 全体的な睡眠の質は?
0 満足している 
1 少し不満
2 かなり不満 
3 非常に不満、または全く眠れなかった

F 日中の気分は?
0 問題ない
1 少し落ち込んでいた 
2 かなり落ち込んでいた 
3 非常に落ち込んでいた

G 日中の活動は?
0 問題ない 
1 少しだるい 
2 かなりだるい 
3 非常にだるい

H 日中に感じる眠気は?
0 全くない
1 少しある 
2 かなりある 
3 ずっと眠たい

セルフチェックの結果
  • 合計得点が4点未満の場合:不眠症の心配はありません。
  • 合計得点が4~5点の場合:不眠症の疑いが少しあります。
  • 合計得点が6点以上の場合:不眠症の疑いがあります。

日本人には、不眠症の自覚症状がない「隠れ不眠」の人が多くいますので、不眠症の疑いがあると結果が出て驚いた人も多いのではないでしょうか?

冒頭で5人に1人が不眠症とお伝えしましたが、「隠れ不眠」の人はカウントされていないので、実際にはもっと多いと言われています。

しかし、不眠症とひと言でいっても原因はさまざまです。特に隠れ不眠の人は原因も自覚していないと思うので、ここで不眠症になる原因を5つ説明したいと思います。

このセルフチェックシートで不眠症の疑いがあるかどうか確認してください。隠れ不眠の人は結構いると思いますが、どうでしょう?重要なのは睡眠の質なので、質を高めれるよう日頃の生活スタイルから改善してみてください。

不眠症の原因は大きく分けて5つ!「5つのP」とは

不眠症の原因には大きく分けて5つあり、医学的には「5つのP」と呼ばれています。c

不眠の原因 (5つのP)
・身体の病気や症状が原因で起こる不眠(Physical)
中枢神経疾患、循環器疾患、呼吸器疾患など

・生活環境など生理学的原因で起こる不眠(Physiologic)
時差ボケ、交代勤務、短期間の入院など

・心理学的原因から起こる不眠(Psychologic)
精神的ストレス、不安、恐怖体験など

・精神的原因から起こる不眠(Psychiatric)
うつ病、統合失調症など

・薬理学的原因から起こる不眠(Pharmacologic)
アルコール、カフェイン、ニコチンなど

身体の病気や症状が原因で起こる不眠(Physical)

アトピー性皮膚炎

喘息で咳がとまらない、アトピー性皮膚炎で肌が痒い、関節リウマチで痛みを感じる場合は、寝ようと思ってもなかなか眠りにつくことができません。

また、眠りにつくことができても痛みで起きてしまったなど、眠りも浅く不眠症の原因となります。

その他に、糖尿病、高血圧、前立腺肥大、慢性閉塞性肺疾患、狭心症、心不全、逆流性食道炎、胃潰瘍、脳血管障害、パーキンソン病などの疾患がある場合は不眠症になりやすいと言われています。

さらにこれの症状を治療する際に使用する薬の副作用で、不眠症になるケースもあります。

不眠症を解消するためには、まずはこれらの病気や症状を治療することが優先となります。

不眠症がつらい場合は、まず治療を担当している医師にご相談ください。

生活環境など生理学的原因で起こる不眠(Physiologic)

生活環境は睡眠にとってとても重要な要素になります。

旅行で枕が変わっただけで寝付きが悪くなったり、熟睡できなかった経験はないでしょうか?
このように旅行で寝具が変わる以外にも、生活環境が睡眠に及ぼす要因は他にもあります。

人間の体には生活リズムがあり、朝起きて夜寝ることを規則的に繰り返します。しかし、時差ボケや昼間と夜間の交代勤務など、生活リズムが崩れた場合、寝たい時間に眠れない不眠の原因となります。

仕事の場合だと生活リズムを整えることは難しいですが、少しでも良い睡眠が得られるよう寝る環境を整えることは可能です。

寝るときはできるだけ音や光をシャットアウトするよう、窓を2重にしたり厚めのカーテンを使用します。

部屋の温度や湿度にも気をつけましょう。

夏は26~28℃、冬は16~19℃とエアコンで調整し、湿度は50~60%が睡眠に関して理想的な環境と言われています。

生活リズムが崩れたとしても、このように寝る環境を整えれば不眠症への対策として効果があります。質の良い睡眠を得るためにも寝る環境には注意を払いましょう。

心理学的原因から起こる不眠(Psychologic)

家族や友人の死、また人間関係や仕事上での問題などが原因で不眠症になる人もいます。

不安や心配事から目をつぶると頭に思い浮かんでしまいなかなか眠れない。そんな経験はありませんか?不安や心配はすぐに解決できるものもあれば、場合によっては簡単に解決できないものもあります。

考えこんでしまい、より不安を煽ってしまうためますます眠れなくなる悪循環さえ生まれます。

また、ストレスを強く感じている人も不眠症に悩まされている人が多いです。

ストレスは脳の覚醒中枢を興奮させるため、眠りを妨げて不眠の原因となるからです。

このようなストレスが原因の不眠症は始めは一過性不眠である場合が多いですが、ストレスの原因がなくなっても眠れないことが次のストレスとなり、眠ろうとしても眠れなくなってしまう不眠で長期不眠に陥る場合もあります。

このような不眠症を「精神生理性不眠症」と呼び、不眠症の中では最も多いタイプと言われています。

まずは不安や心配事、ストレスの原因を解決することが重要ですが、根本的原因を解決できたら、寝る前に脳や体を十分リラックスさせることが不眠症への対策となります。

リラックスする方法としては入浴や深呼吸、軽いストレッチ、アロマテラピー、ヒーリング・ミュージックなどがあります。

寝る前に脳の覚醒状態を落ち着かせるよう、自分にあったリラックス方法で寝る準備を行いましょう。

一番簡単な方法として瞑想があります。「1分で眠れると話題の478呼吸法!夜眠れないときは瞑想が効く!」の記事では、1分で眠れる呼吸法について動画で紹介していますので、ぜひ実践してみてください。

精神的原因から起こる不眠(Psychiatric)

不眠症2

うつ病や統合失調症などの精神疾患を患っている人は精神的に不安定になりますので、夜なかなか眠れず不眠症も合わせて患っている人がとても多いです。

精神疾患を患っている人は不眠症の前に精神疾患の治療を先に行う必要があります。

そのため不眠症の治療までには長期間かかると思われます。

また恐ろしいことに、不眠症からうつ病になる逆の場合もあります。

そのため不眠症は長引かせる前に早い段階から対策をし、解消しましょう。

精神疾患を患っている人の多くに、体内でセロトニンと呼ばれる成分が大きく不足しているという特徴があります。セロトニンは神経伝達物質の1つで、不安を取り除いて精神を安定させる役割をもっています。

さらにセロトニンの重要な働きとして、メラトニンの分泌を促進する作用をもつことから、寝つきを良くして深い眠りに導く効果があります。

セロトニンは脳内の「ほう線核」と言う場所で生成されますが、それに必要な材料がトリプトファンと呼ばれる物質です。トリプトファンは、体内では生成することができないため食事やサプリメントにより体外から取り込む必要があります。

トリプトファンを多く含む食品としては、肉や魚、お米などの主食や、乳製品や豆類などのタンパク質を多く含むものが挙げられます。バランスの良い食事を摂れば、自然と摂取できるものばかりです。

トリプトファンをきちんと摂取することでセロトニンが生成され、メラトニンの分泌が促進されるため自然な眠りを迎えて不眠症を解消することができます。

大事なことは精神を安定させるセロトニンを不足させないことですが、そのためには規則的な生活を送り、日中は太陽の光を浴び、バランスの良い食事を心がけることが重要です。

連日の夜更かしや引きこもり、過度なダイエットはセロトニンが不足し、イライラから不眠症へ、またうつ病にも発展する危険性があるため注意しましょう。

薬理学的原因から起こる不眠(Pharmacologic)

アルコール

アルコールを飲むと眠くなる人も多いため、アルコールと不眠症が結びつかない人も多いのではないでしょうか。

実際、アルコールは少量なら良い眠り薬になります。これはアルコールに脳を覚醒させる働きのある脳幹網様体賦活系を抑制する効果があるからです。

しかし度を超えて飲むと、体もアルコールに慣れて耐性がついてしまいます。

アルコールを飲むと、約3時間後にアセトアルデヒドという毒素に分解されますが、このとき交感神経が刺激されて、体温や脈拍が上昇しますので、夜中に目が覚める要因となってしまいます。

アルコールを飲むと最初は体温が下がって寝入りやすくなりますが、次第に体温が上昇していくため結果的に睡眠を妨げ不眠症の原因となるのです。

さらに、アルコール依存症のように大量に飲酒している人は寝付きが悪く、利尿作用からトイレに行く回数も増え、睡眠時間も短くなり睡眠を妨げます。不眠症を解消するためには普段からアルコールの量を控えめに気を付けることが重要です。

コーヒー

また、眠いときはコーヒーを飲むと目が覚めるのは有名な話だと思います。

これはカフェインの覚醒作用が働いているためで、不眠症の解消には寝る前にカフェインを控えることが重要です。

カフェインの覚醒作用は若い人で3~4時間、高齢者で6時間ほど持続します。

長い時間持続しますので、不眠症を改善するためには就寝前6時間はカフェインを控えましょう。

タバコ

アルコールやカフェインより睡眠を妨げる身近なものがタバコです。

タバコに含まれるニコチンはカフェインよりも強い興奮剤で、中毒性が非常に高い薬物として分類されています。

ニコチンには「興奮作用」と「鎮静作用」の2つを合わせ持っています。脳内にニコチンが満たされていると、感覚の敏感さや不安が減少しリラックスした状態になりますが、ニコチンが切れると感覚が過敏になり、不安や緊張も高まります。

ニコチンには興奮作用があるため、寝る前にタバコを吸うと頭が冴えて、なかなか寝つけなくなってしまいます。

だからといってタバコを吸わずにいると、タバコのもう1つの作用である鎮静作用が働かなくなり、不安や緊張が高まる離脱症状が現れ、なかなか寝付けなくなってしまいます。

どうにか寝付けた場合でも睡眠中にニコチンが切れるため、離脱症状から睡眠が浅くなり、ひどい場合は目が覚めてタバコを吸ってしまいます。

このようにニコチン依存症は睡眠の大きな障害となり、喫煙者は非喫煙者に比べて目覚めたときに疲労を感じる傾向が4倍高く、深い眠りの時間が短いことが報告されています。

まずはタバコの本数を減らし、不眠症対策として寝る前の1時間は喫煙を控えるよう心がけてください。

日頃からニコチンの摂取量を減らしていけば、夜中にニコチンが切れて目が覚めるような状態は改善できます。

高齢者の場合、カフェインの覚醒作用が若い人たちより長くもつため、コーヒーを飲む時間も気をつけなければいけません。個人差もありますが、夜の6時以降はコーヒーを控えましょう。

これで毎晩ぐっすり!良質な睡眠を得るための10箇条

ここで良質な睡眠を得るためのとっておきの10項目をご紹介します。

  • 肉や魚、穀類などの主食や、乳製品、豆類を朝食や昼食にしっかり摂る。
  • 寝る3時間前に食事を済ませ、脂っこいものは控える。
  • 寝る前にアルコール、カフェイン、ニコチンは摂らない。
  • 神経を落ち着かせるカルシウムを含んだホットミルクや豆乳などを飲む。
  • 香りがよく、リラックス効果のあるカフェインレスのハーブティーもお勧め。
  • 入浴は38度のお湯に20分程度浸かり、寝る1時間前までに済ませる。
  • 寝る前に軽くストレッチを行う。
  • テレビやパソコンは早めに消す。
  • 室温は夏26~28℃、冬16~19℃、湿度は通年50~60%が最適。
  • 窓から音や光が入らないよう厚手のカーテンをしっかり閉める。

現在不眠症の人も、上記項目を行うことで不眠症を軽減、解消させることができます。良質な睡眠を得るために是非試してみてください。

その他、睡眠の質を上げるためには「睡眠薬に頼らない!眠れないときに食べるとよく夜眠れる食べ物」でよく眠れる食べ物を紹介しているので参考にしてください。

1日の疲れを翌日に持ち越さないためにも良質な睡眠を

不眠症になると眠れないことがストレスになり、さらに眠れなくなるため不眠症を悪化させがちです。

不眠症の疑いがあったら一度気分をリセットし、食生活や運動など生活習慣の改善に取り組むことが不眠症を解消する一歩となります。

また良質な睡眠を得るために、寝る前は気分を落ち着かせ、リラックスした状態で布団に入るよう就寝の6時間前から気を配り、眠る準備を整えていきましょう。

睡眠は人生の約3分の1を占めます。

健康な毎日を送るためには1日の疲れをその日のうちに回復し、次の日に持ち越さない睡眠が不可欠です。

不眠症は早めに対策を行い、目覚めの良い朝を迎えられるよう改善していきましょう。