フリーのデザイナーなら、文芸美術国民健康保険組合がおトク!
フリーランスでデザイン系のお仕事されているみなさん、収入があがるほど国民健康保険料が高くなって、悩んでいませんか。
国民健康保険は、前年の収入によって保険料が決まりますから、高収入の方ほど保険料が高額になって負担感が大きいですよね。
そんなあなたは国民健康保険「組合」への加入を検討してはどうでしょうか。
国民健康保険組合は、自治体運営の国民健康保険とは別に、同業者が集まって作った組合が運営している国民健康保険です。
芸術家、フリーのデザイナーやイラストレーターなどが加入できる「文芸美術国民健康保険組合(文美国保)」なら、収入に関係なく保険料が一定。安定して高い収入を得ているなら、国民健康保険料が安くなってお得です。
文芸美術国民健康保険組合の特徴や加入方法、注意点をお伝えします。
文芸美術国民健康保険組合(文美国保)の特徴
文芸美術国民健康保険組合(文美国保)とは、いったいどんな組合なのでしょうか。
文芸美術国民健康保険組合を含む国民健康保険組合とは何か、そして文芸美術国民健康保険組合は自治体の国保とどう違うのかを説明します。
同業者で作った組合が運営する国民健康保険がある
一般的に「国民健康保険」というと、自治体が運営するものだというイメージがありますよね。しかし、同業者が集まって作った「国保組合」が運営する国民健康保険もあるんです。
平成25年3月には、164の国保組合が存在し、被保険者数は300万人を超えています。
建設組合 | 32組合 |
---|---|
全国土木 | 1組合 |
一般組合 | 39組合 |
医師・歯科医師 ・薬剤師組合 |
92組合 |
表を見てわかる通り、医師・歯科医師・薬剤師などの医療職、土木・建設関係の国保組合が多数を占めています。
飲食、理美容、芸術関係の仕事をしている人や団体が集まって作った国保組合は、「一般組合」に区分されていて、文芸美術国民健康保険組合(文美国保)も一般組合の中に含まれています。
文芸美術国民健康保険組合には、芸術家、フリーのデザイナーやイラストレーターなどが加入でき、法人事業所(会社)の事業主は加入できません。
文芸美術国民健康保険組合は保険料の計算方法が違う
文芸美術国民健康保険組合と、自治体運営の国保の大きな違いは、国民健康保険料の計算方法です。
自治体が運営する国保では、国民健康保険料は前年の収入によって変化するので、前年の収入が多ければ保険料は高くなります。稼ぐほど保険料が高くなってつらいですよね。
収入が多かった次の年、極端に収入が低くなることもありえます。収入が低いのに保険料が高いと、大きな負担になってしまい、家計が苦しくなります。
一方、「文芸美術国民健康保険組合」では、収入に関わらず、保険料が同じです。
ですので、安定して高い収入を得ている人にとっては、保険料を抑える効果があります。
年によって収入のばらつきが大きいという人も「収入が多かった年の翌年、収入が減ったのに保険料は高くなる」という心配をしなくてすみますね。
収入関係なく一律!文芸美術国民健康組合の保険料
平成27年の文芸美術国民健康組合の保険料は、収入に関わらず、このようになっています。
被保険者 | 月額 | 年額 |
---|---|---|
組合員(クリエイター本人) | 16,900円 | 202,800円 |
家族(1人につき) | 8,700円 | 104,400円 |
このほか、満40~64歳までの被保険者1人につき、月額3,600円(年額43,200円)が介護保険料として追加されます。
40歳未満で独身の人なら、今払っている国民健康保険料が年間202,800円より多ければ、文芸美術国民健康組合に入るほうが保険料はお得になりますね。
住んでいる自治体によっては、独身で年間所得が200万円くらいあれば、文芸美術国民健康保険組合に入るほうが保険料は安くなりますよ。
40歳未満で、家族(配偶者と子ども1人)がいる場合を考えてみると、文芸美術国民健康保険組合での保険料はこうなります。
被保険者 | 月額 | 年額 |
---|---|---|
本人(35歳) | 16,900円 | 202,800円 |
配偶者(33歳) | 8,700円 | 104,400円 |
子ども(6歳) | 8,700円 | 104,400円 |
合計 | 34,300円 | 411,600円 |
高収入の方ほど、今の保険料との差に驚くはずです。
文芸美術国民健康組合の加入方法!加盟団体への入会必須
では、文芸美術国民健康組合に加入するには、どうしたらいいのでしょうか。
まずは、文芸美術国民健康保険組合の加盟団体に加盟申請する必要があります。
文芸美術国民健康保険組合のWEBサイトに加盟団体の一覧がありますから、自分の仕事の分野に関わるものを選んで入会しましょう。
WEBデザインの仕事をされている方なら、「公益社団法人日本グラフィックデザイナー協会(JAGDA)」や「協同組合日本イラストレーション協会(JILLA)」などに入会が可能です。
加盟団体の年会費は必ずチェック!
ここで注意しなければならないのは、それぞれの団体に入るためには、入会金(出資金)や会費を支払う必要があるということです。
せっかく保険料が安くなっても、安くなった分よりも会費の額が高ければ、結局負担額が増えてしまいますから、会費もしっかりチェックしましょう。
参考に、上で紹介したふたつの協会の入会金や年会費、入会の条件をご紹介します。
費用/条件 | JAGRA | JILLA |
---|---|---|
入会金/出資金 | 30,000円 | 1口5,000円(5口以上) |
年会費/月会費 | 年36,000円 | 月2,000円(年額24,000円) |
入会条件 | 2年以上グラフィックデザインの実務や教育に携わっていること | イラストレーター、グラフィックデザイン・WEBデザインに携わっていること |
JILLAでは職業名を明確しなければ入会できないという決まりになっています。
個人で契約するより安くなりますから、このような点も団体に加入するメリットといえますね。
引越しに要注意!生活に変化があったら加入の見直しをしよう
「文芸美術国民健康保険組合」に加入すれば、高収入の方ほど、自治体運営の国保よりも国民健康保険料が安くなるとお伝えしてきました。
下のような生活に変化があったら、自治体の国保か、国保組合か、どちらが得なのかを見直しましょう。
- 自治体をまたいだ引越し
- 家族構成の変化(結婚、自分や配偶者の出産)
- 世帯収入の変化(家族が仕事を始めた、やめた)
自治体によって国民健康保険料の額は異なる!引越ししたら確認を
家族構成や世帯収入が変わったら、保険料が変わるのは納得できますが、引っ越ししたときも見直しが必要とは、どういうことでしょうか。
実は、自治体が運営する国民健康保険に加入している場合、住んでいる自治体の財政状況や医療費の状況によって、国民健康保険料の額が違います。
高齢化が進んで病院にかかる人が多い地域は保険料が高く、病院にかかる人が少ない地域は保険料が安くなります。
そのため、市をまたいで引っ越しをすると、自分の収入や家族構成が変わらなくても、国民健康保険料は変わります。
つまり、保険料が高いところから安いところへ引っ越した場合、文芸美術国民健康保険組合ではなくて、自治体運営の国保に加入したほうが、保険料を抑えられるかもしれません。
もちろん、逆のパターンもありえます。
各自治体のWEBサイトには、保険料の計算方法を紹介しているページがあります。引越しをしたら、かならず保険料を計算して比較しましょう。
安定して高収入なら文芸美術国民健康組合へ
ずっと低収入なら、自治体が運営する国民健康保険に入っていたほうが保険料を節約できますので、状況に合わせて検討しましょう。
文芸美術国民健康組合に入るには、加盟団体に所属する必要があるりますが、入会金や年会費がかかりますので、安くなる保険料と必ず比較してください。
また、引越しなどの変化があった場合は、文芸美術国民健康組合と自治体が運営する国民健康保険のどちらが得かが変わることがあるので、忘れずに見直ししましょう。
ぜひ、ご自身の今の保険料と比べてみて、より安く国民健康保険に加入できる方を選んでください。
しかし、どちらも地域が限られています。さらに自治体国保と同じように、高収入なら保険料が高くなる計算方法を採用しています。