注目したいウコンの成分!生活習慣病予防や消化不良改善効果も!
ウコンを使った健康食品をよく見かけるようになりました。
ウコンはショウガ科の植物で、原産地はインド、英語ではターメリックと呼ばれ、クルクミンというポリフェノールを含んでいるのが特徴です。
ウコンにはいくつかの種類があり、健康食品には春ウコン、カレーのスパイスには秋ウコンが使われている事が多いです。
ウコンを使った健康食品のCMでは「二日酔いの予防に」と言っていますが、ウコンの効果はそれだけではありません。
今回は、ウコンの持つ生活習慣病の予防効果や消化不良の改善効果を取り上げています。また、ウコンを摂る時の注意点にも触れています。
まだご存知ないウコンの効果が見つかるかもしれません。どうぞご覧ください。
ウコンに含まれるクルクミンには動脈硬化を抑制する効果があった
初めに、ウコンと動脈硬化の関わりについて見ていきます。
動脈硬化は血管の弾力が失われて硬くなる症状で、血管の中に血栓が出来て詰まってしまうと次のような病気につながり、生命にかかわる危険性があります。
・狭心症
・心筋梗塞
・脳梗塞
・脳出血
血管は年齢とともに徐々に硬くなっていて、そこにタバコやアルコール、肥満、高血圧、コレステロールなどの危険因子が加わると硬化が加速します。
この動脈硬化の予防にウコンが役立つのではないか?と言う研究が行われました。
ウコンの成分「クルクミン」についての研究
ウコンの成分クルクミンには、強力な抗酸化作用があります。
このクルクミンが、アテローム性動脈硬化症(動脈の内側に悪玉コレステロールが付着してドロドロした状態)から血管を保護するメカニズムを解明するための検証が行われました。
マウスによる検証を行い、台湾・国立陽明大学が得た結果をご紹介します。
Our findings suggest that inhibition of SR-A-mediated oxLDL uptake and promotion of ABCA1-dependent cholesterol efflux are two crucial events in suppression of cholesterol accumulation by curcumin in the transformation of macrophage foam cells.
【翻訳】
我々の結果は、SR-A媒介oxLDL吸収の抑制とABCA-1依存コレステロール流出の促進は、マクロファージ泡沫細胞の変形におけるクルクミンによるコレステロール蓄積抑制においてふたつの重要な事象であることを提唱している。引用元:Department of Physiology, National Yang-Ming University, Taipei, Taiwan.(翻訳:台湾・国立陽明大学)
このように書かれています。専門用語が多いので簡単に解説をしておきます。
SR-A:スカベンジャー受容体(悪玉コレステロールLDLを受け止める役目)
ABCA-1:高密度リポ蛋白質(善玉コレステロールHDL)の形成に必須のタンパク質
マクロファージ:体内の異物を消化する細胞
この検証で、ウコンのクルクミンには悪玉コレステロールの吸収を抑制する効果と、大動脈へのコレステロールの蓄積を抑制する効果があることがわかり、動脈硬化を抑制する効果が期待できます。
血管は痛いとか硬くなったとか声をあげないから、私達が気を付けないといけないわね。
大事に使えば、血管だってその他の器官だって長持ちするものよ。
ウコンの成分「タルメリン」の糖尿病予防の効果とは?
次に、ウコンと糖尿病の関わりについて見ていきます。
糖尿病は、インスリン(ホルモンの一種)の量やパワーが不足して血糖値の上昇を抑えられなくなり、高血糖状態が続く症状です。
糖尿病には1型(自己免疫疾患などが原因)と2型(生活習慣等が原因)があり、原因は違いますが同様の症状がみられます。
糖尿病は自覚症状のないうちに進行することが多く、微小な血管の障害は次のような合併症につながります。
・網膜症
・腎症
・神経障害
また、大きな血管の障害で動脈硬化などにつながる可能性もあります。
ウコンに含まれるタルメリンに関する研究
ここで、インド・科学技術CSIR研究所の行った研究を紹介します。
この研究では、タルメリンと糖の分解・吸収を助ける酵素(α-グルコシダーゼ)の関わりについて検証しています。
The inhibitory potential showed by turmerin against enzymes linked to type 2 diabetes, as well as its moderate AO capacity, could rationalise the traditional usage of turmeric rhizome preparations against diabetes.
【翻訳】
二型糖尿病に繋がる酵素に対してタルメリンにより示された抑制ポテンシャルと中程度の抗酸化能は糖尿病に対するターメリック根茎調剤の伝統的用法を合理づけることができた。引用元:Agroprocessing and Natural Products Division, National Institute for Interdisciplinary Science and Technology-CSIR, India.(翻訳:インド・科学技術CSIR研究所)
このように書かれています。
ウコンには、血糖値を上がりにくくして、2型糖尿病糖尿病を予防する効果が期待できます。
食品や飲み物から摂った糖分を血液に送りこまないようにするウコンのタルメリンには期待したいわね。
ウコンには胃の働きを活発化させ、消化不良を改善する力も!
続いて、ウコンと消化不良の関係についてみていきます。
消化不良とは胃腸の機能が低下した状態の事で、次のような症状がみられます。
・胸やけ
・膨満感
・吐き気
・食欲不振
特定の疾患以外の消化不良の原因としては、暴飲暴食、刺激物、過労、ストレスなどが考えられます。
一方でウコンには、胃の働きを活発化させ、胃液の分泌や胃粘膜を保護する働きがあり、食用増進や消化不良の改善に効果があると言われています。
ウコンには実際に消化不良を改善する効果があるのでしょうか?
ウコンの消化不良改善効果に関する検証
タイ・マヒドン大学シリラート病院では、「ウコンが消化不良に有効」という説を確かめる為に次の様な条件で検証を行いました。
条件 | 内容 |
---|---|
対象施設 | 5つの病院 |
被験者 | 消化不良の患者116名 |
調査期間 | 7日間 |
投薬の種類 | ウコン、プラセボ(注)、その他 |
投薬の量 | 1日2カプセル |
追跡調査の内容 | 症状反応・副作用・満足度 |
(注)プラセボとは有効成分を含まない薬のことで、心理的作用による反応がある場合もみられます。
この検証の結果、以下のような割合で治療への反応が得られました。
ウコン:87パーセント
プラセボ:53パーセント
その他の薬:83パーセント
これに関して、この病院では次の様に結論づけています。
The differences in efficacy between placebo and active drugs were statistically significant and clinically important. Mild and self-limited side effects were observed at similar frequency in the three groups.
【翻訳】
プラセボと活性薬物間の効果の違いは統計的に顕著で臨床的に重要であった。軽度そして自己限定副作用は3つのグループで似た頻度で観察された。各グループの約50パーセントの患者は受けた治療に満足していた。引用元:タイ・マヒドン大学シリラート病院
このように書かれています。
活性薬物とはウコンのことで、ウコンの効果を統計的・臨床的に確認することができました。
これでウコンが消化不良の改善に効果があることが医学的にも裏付けされたことになります。
それに、プラセボ(偽薬)でも半数の人に効果があるのね。でも本当に病気の時はちゃんとした薬を飲んで欲しいわ。
ウコンが二日酔いを予防・軽減させる仕組みとは?
次に、ウコンの効果として最も知られている二日酔い予防について検証していきます。更に、二日酔いが起こるメカニズムについても触れています。
二日酔いの原因と症状、対処方法とは
二日酔いの原因は、考えるまでもなくアルコールの飲み過ぎです。その結果、頭痛やむかつき、気分の落ち込みなどが起こります。
多くの人が経験している症状にもかかわらず、二日酔いのメカニズムは明らかにされていません。
ただ、次の様な要因が重なり合って起こると考えられています。
・アルコールが分解されて出来るアセトアルデヒドの毒性
・脱水症状
・低血糖
・ホルモン障害
・禁断症状
摂りすぎたアルコールを素早く分解して体内から排出することが、二日酔いから解放される糸口です。
では、この二日酔いの症状を軽減させるために、ウコンはどんな働きをするのでしょうか?
ウコンの二日酔い軽減効果に関する検証
ハウスウェルネスフーズのウコン研究所が行った検証を紹介します。
今回の検証では、ウコンに含まれるクルクミンとビサクロンという成分に着目しています。
条件 | 内容 |
---|---|
対象者の年齢 | 30歳以上49歳以下 |
対象者の性別 | 男性 |
対象者の健康状態 | 健常 |
対象者のアルコール耐性 | アルコールパッチテストで お酒が強い遺伝子と推定された人 |
摂取した飲料 | (1)ウコン飲料(クルクミン+ビサクロン) (2)プラセボ |
試験方法 | クロスオーバー法(注)、単回摂取 |
摂取したアルコール量 | エタノール換算で1.5g/kg |
摂取した時間 | 2時間 |
二日酔いの判定方法 | 翌朝の自覚症状と血中エタノール濃度 |
このようになっています。
クロスオーバー法とは、(1)と(2)をランダムな順番で試す方法で、人によって、(1)→(2)の場合もあれば、(2)→(1)の場合もあります。
通常、春ウコンを使うことが多いウコン飲料に、秋ウコンを使っている事は新しい試みです。
この検証で、ウコンのクルクミンとビサクロンがアルコールの代謝と排泄を促し、飲酒後の様々な症状が出にくくなることが確かめられました。
飲んだ翌日を棒に振るのはもったいないじゃない?
ウコンを上手に取り入れて、適量のお酒を楽しみましょうね。
ウコンを取り入れる時の注意点とは?
ウコンには様々な効果がある事がわかりましたが、取り入れる時に気をつけたい事をあげておきます。
- 体にいいからといって大量に飲むものではない
- ウコンを飲んだからと言ってアルコールの過剰摂取がOKなわけではない
- 肝機能に障害のある人は要注意
健康にいいと言われる食品の解説をする時に必ず言っていることですが、どんなに体にいいものでも、大量に摂り過ぎるのはよくありません。
また、ウコンを飲んだからと言って無制限にお酒を飲んでいいわけでもありません。
この点を忘れないようにしてください。
肝機能に障害のある方が注意したい事
肝臓の働きには次の様な物があります。
・胆汁を作る(脂肪の消化を助ける)
・栄養素を貯える
・毒を中和する(アルコールやニコチンの分解)
二日酔いを軽減することから、ウコンは肝臓にいいと思いがちです。
しかし、肝炎などで機能が低下した肝臓でウコンを摂るとウコンの鉄分が蓄積されてしまい健康被害が出る可能性があります。
また、脂肪が蓄積され過ぎて脂肪変性を起こす危険もあります。
健康な人が適量を摂る分には効果が期待できるウコンですが、大量の摂取や肝機能に障害のある方の場合、注意が必要です。
肝臓に不安のある人は、お医者様に相談して、アドバイスをもらいましょう。
健康な人は、常識的な範囲で取り入れる様にしてね。
ウコンには生活習慣病や二日酔い予防、消化不良改善効果があった
ここまでに出てきたウコンの効果をまとめておきましょう。
- ウコンのクルクミンが動脈硬化の抑制につながる
- ウコンのタルメリンが糖尿病の予防につながる
- ウコンが胃の働きを活発化させ、消化不良を軽減させる
- ウコンが二日酔いを予防・軽減させる
- ウコンの摂取量には注意
- 肝機能障害のある人は摂取を控える
このような話題を取り上げてきました。
動脈硬化と糖尿病は密接に関わっていて、さらに他の生活習慣病への影響も考えられるので、リスクを軽減するに越したことはありません。
ドラッグストアだけでなくコンビニエンスストアや自動販売機でも手に入りやすくなったウコンですが、その効果をよく知って飲むようにしましょう。
流行っているからといって飛びつくのではなく自分に必要かどうかを見極めてから取り入れていってね。
上手に使えば効果が期待できるウコン、あなたの生活にも役立てて欲しいわ。