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患者さん向け料理の監修や日本初のピクトグラム!北海道の病院を紹介

患者さん向け料理の監修や日本初のピクトグラム!北海道の病院を紹介

この記事で紹介するのは、患者さんの食事療法に力を入れる「札幌南一条病院」と、日本で初めてピクトグラムを本格導入した「旭川赤十字病院」です。

北海道札幌市にある「札幌南一条病院」では、SNSを利用して患者さん向けのレシピ動画を配信しています。レシピ動画サイトの監修もしており、より多くの人に料理を作ってもらえるように工夫しているんですよ。

北海道旭川市にある「旭川赤十字病院」は、日本で初めてピクトグラムを本格導入しました。誰でもすぐに患者さんの情報を理解できるよう、取り組んでいるのです。

それでは、北海道の2つの病院を詳しく見ていきましょう。

患者さんの食事療法をSNSやレシピサイトで支える!札幌南一条病院

社会医療法人北海道恵愛会札幌南一条病院は、腎臓病・糖尿病患者さんへの食事療法に力を入れている病院です。

札幌南一条病院では、腎臓病・糖尿病患者さん向けの簡単病気対策レシピを、SNSで公開。より多くの人に利用してもらえるように工夫しているんですよ。

札幌南一条病院が活用するSNSは次のとおり。

札幌南一条病院がレシピを公開しているSNS

札幌南一条病院がレシピを公開しているSNSはいずれも、動画で調理法を見ることができます。毎月定期的にレシピが配信されており、誰でも閲覧可能です。

また動画レシピの配信だけでなく、患者さん向けレシピの専門サイト「ほすぴたるcooking」の監修もしています。「ほすぴたるcooking」について、詳しく見てみましょう。

レシピ動画の公開やレシピコンテストも!ほすぴたるcooking

ほすぴたるcookingでは、主に腎臓病・糖尿病患者さん向けのレシピ動画を公開しています。

公開されているレシピの種類は和食や中華、デザートなどさまざま。その中から患者さんが求めている料理のレシピを探しやすくするため、検索の仕方にも工夫がされています。

レシピ検索の種類は次のとおりです。

「ほすぴたるcooking」レシピ検索の種類
  • キーワード(食材名や料理名など)で探す
  • 病気(※1)から探す
  • カテゴリー(※2)から探す
  • 新着レシピから探す
  • 人気レシピから探す
  • おすすめレシピから探す
※1:腎臓病、糖尿病
※2:和食、洋食、中華、丼物、めん類、一品物、デザート

検索方法が豊富にあると、食べたいものや必要なレシピを簡単に探すことができて便利ですね。

レシピ動画は約1分で最後まで見ることができます。そのほか一般的なレシピ動画にはない、レシピ動画の特徴は次のとおりです。

「ほすぴたるcooking」レシピ動画の特徴
  • エネルギー、タンパク質、塩分、カリウム、リンの量を明記
  • 調味料の量を「少々」ではなく「0.1g」とはっきり明記

塩分量や使用する調味料の量などを細かく決められているのも、患者さん向けレシピならではの工夫ですね。

また「ほすぴたるcooking」では、レシピコンテストを開催しています。腎臓病・糖尿病患者さん向けのオリジナルレシピを、SNSを通じて一般の方から募集。

入選したレシピは、なんとレシピ本に掲載されて出版されるんですよ。

塩分やカロリーに気を遣いながら食事を作るのは、簡単なことではありません。「ほすぴたるcooking」が開催するレシピコンテストのようなイベントがあれば、毎日の料理も楽しくなるかもしれませんね。

薬だけでは糖尿病の治療はできない!食事療法が必要な理由

腎臓病患者さんや糖尿病患者さんなど、食事制限が必要な患者さんに食事療法を行うことは現在では当たり前のことです。

ただ、なぜ食事療法が必要なのでしょうか?薬だけで治療することはできないのでしょうか?糖尿病を例に挙げて、食事療法の必要性について見ていきましょう。

糖尿病の治療は主に次の3つです。

糖尿病治療
  • 食事療法
  • 運動療法
  • 薬物療法

糖尿病治療ではまず、食事療法と運動療法を実施します。散歩や水泳、ジョギングなどの有酸素運動と並行して、適切なエネルギー量の食事を摂取。その後、患者さんの病状に改善が見られない場合に、インスリン注射などの薬物療法を行います。

薬物療法で患者さんに使用する薬の量は、食事療法が守られていることを前提として決定。

そのため薬物療法と一緒に食事療法もしっかり行わないと、薬の効き目が強くなりすぎたり、弱くなったりしてしまうんです。

薬だけ、食事だけなど、どちらか一方に偏った治療では、より良い効果を期待することができません。食事療法も薬物療法も、バランス良く治療に組み込むことが大切なのです。

食事療法や運動療法の実施内容・実施期間など具体的な内容は、医師が患者さんを診察した上で決定します。患者さんは治療を始める前に病院で検査を受け、医師や看護師の適切なアドバイスを受けることが大切です。
社会医療法人北海道恵愛会札幌南一条病院の基本情報
住所 北海道札幌市中央区南1条西13
最寄り駅
(所要時間)
西15丁目駅
(徒歩3分)
病院HP 札幌南一条病院
病床数 147床
福利厚生 ・提携保育園

札幌南一条病院では、冷蔵庫にある素材で簡単に作る病気対策レシピ本「ほすぴたるcooking」を発刊しました。レシピ本には調理法の掲載だけでなく、腎臓病・糖尿病それぞれの食事ポイントについても解説しているんですよ。

全国で初めてピクトグラムを導入!旭川赤十字病院

日本赤十字社旭川赤十字病院は、全国で初めてピクトグラム※を本格導入しました。

ピクトグラムとは

言葉が通じなくても、見るだけで何をしているか判断できるイラストのこと。「絵ことば」や「絵文字」などで訳されます。非常口のイラストや、トイレの男女識別のイラストなどが有名です。

旭川赤十字病院で使用しているのは「ベッドまわりのサインづくり研究会」が作った医療看護支援ピクトグラム。医療看護支援ピクトグラムについて、詳しく見ていきましょう。

患者さんとコミュニケーションが取れる!医療看護支援ピクトグラム

旭川赤十字病院が導入したピクトグラムは全部で23種類。次の6つの区分に分けられます。

医療看護支援ピクトグラムの区分
  • 移動
  • 姿勢
  • 食事
  • 職員共有
  • 排泄
  • 飲み物

ピクトグラムは患者さんのベッドサイドに掲示。患者さんの移動方法や食事制限が、ひと目で分かるようにされているんですよ。患者さんを看護するのが担当の看護師さんでない場合も、ピクトグラムがあれば患者さんは安心ですね。

旭川赤十字病院がピクトグラムを導入した目的は、次の2つです。

ピクトグラム導入の目的
  • 患者さんの情報を共有する
  • 会話の多い病院を目指す

患者さんの状態を示したピクトグラムをベッドサイドに掲示することで、患者さんやその家族と病院スタッフが情報を共有します。

さらに、ピクトグラムをコミュニケーションツールの1つとして活用。「今日から車椅子に乗れますよ」など、患者さんと病院スタッフの会話のきっかけを作ります。

患者さんやその家族とも積極的にコミュニケーションを取り、会話の多い病院を目指しているんです。

ベッドサイドに掲示されているピクトグラムは、患者さんの状態や制限が変化した時にすぐ張り替えます。掲示する際は、患者さんやその家族の意向を確認。同意を得られたもののみを掲示しているんですよ。

患者さんとの会話が弾む!オリジナルのピクトグラムを紹介

日本で初めてピクトグラムを導入した旭川赤十字病院を始め、医療看護支援ピクトグラムを導入している病院は全国11カ所にあります。

医療看護支援ピクトグラムのコンセプトは「いのちを見守るコミュニケーションデザイン」です。

ここでは独自に作成したピクトグラムを紹介します。

注射が苦手

注射が苦手ピクトグラム

採血や点滴など、注射をされるのが苦手な患者さん向けのピクトグラムです。看護師さんは、いつも以上に丁寧な注射が求められます。「ゆっくりしますからね」「体の力を抜いてくださいね」などの声掛けから会話が生まれそうですね。

出前禁止

出前禁止ピクトグラム

入院患者さんが、病室に出前を頼むのを禁止するピクトグラムです。出前を禁止している病院は多く、食事制限のある入院患者さんも多くいます。ピクトグラムがあれば、例えば先ほど紹介した食事療法を行っている患者さんの、治療の妨げになるのを防ぐことができます。

バレエ禁止

バレエ禁止ピクグラム

入院患者さんだけでなく、その家族やお見舞いに来た人もバレエを禁止するピクトグラムです。病院の手すりでバレエをする人はいないと思いますが、廊下などに掲示があると、患者さんの緊張した気持ちも少しほぐれるかもしれませんね。

ここで紹介したのは「こんなものがあったらいいな」と思うピクトグラムです。実際にどんなピクトグラムが病院にあったら便利なのか、見た目のわかりやすさや伝わりやすさを考えて、独自に作成したものを提案してみるのもいいかもしれません。
日本赤十字社旭川赤十字病院の基本情報
住所 北海道旭川市曙1条1-1-1
最寄り駅
(所要時間)
旭川駅
(バスで約10分)
病院HP 旭川赤十字病院
病床数 520床
福利厚生 ・院内保育所

旭川赤十字病院には病院スタッフだけでなく、病院ボランティアの方も多くいます。活動内容は、診療申込書の代筆や花壇の整備などさまざま。その活動が評価されて「北海道社会貢献賞」を受賞したのです。

日本一広大な地域の医療を支える!北海道の病院に注目

この記事では「札幌南一条病院」と「旭川赤十字病院」を紹介しました。

北海道は47都道府県の中で、1番広い面積を持つ地域です。その広さは、日本の総面積の約2割を占めるほど。そのため北海道にある多くの病院が、地域医療を支えるための活動をしているんですよ。

札幌南一条病院は睡眠時無呼吸症候群の専門病院として、北海道内から多くの患者さんを受け入れています。安心安全な医療が提供できるよう、地域の医師たちとの病診連携に努めているのです。

旭川赤十字病院ではドクターヘリを配備。「空飛ぶ救急治療室」として、フライトドクターとナースが救急現場に向かいます。

多くの都道府県で地域の過疎化が進む今、地域医療に力を入れる病院の需要は高まりそうですね。