看護師の退職情報を大解説!保障や手続きはどうなってるの?

看護師という仕事は、やりがいを感じることが大きい一方で負担が大きく、不満を抱えている人も少なくありません。しかし、いざ看護師を辞めたいと思っても辞めた後のことが不安で踏み出せないという人もいるでしょう。
まずは、看護師を退職した後の退職金、失業保険等の保障はどうなっているのか、そしてその為の手続きはどうすれば良いのか、気になりますよね。 そして、退職を決めた際にはどのような手続きが必要なのか、看護師の転職事情は厳しいのか、看護師が退職するにあたって知っておきたい情報を徹底解説していきます!
看護師の退職金はいくらもらえる?目安となる金額をご紹介
看護師として働くのを辞める、退職するということを考えた際、まず気になるのは退職金がいくら手に入るかということでしょう。 退職金の計算法としては、主に次の4つの方法があります。
- 基本給×勤続年数
- 規定金額×勤続年数
- 基本給×勤続年数×功績倍率(評価係数)
- 勤続年数ごとに○万円アップという計算法
どの方法で計算されるかについては、勤務している病院・クリニックによって異なります。
就業規則を確認するのが確実ですね。ここでは、一般的な退職金の目安をご紹介しておきましょう。
勤続年数 | 退職金相場 |
---|---|
3年 | 20万円~30万円 |
5年 | 50万円~100万円 |
10年 | 200万円~400万円 |
勤続年数が短ければ、当然受け取ることが出来る退職金も少なくなってしまいます。
そして、勤続年数3年以上経過していなければ退職金を支給しない、と定めている病院が多いという点にも注意が必要です。
10年以上働いていれば100万円を超える退職金を手にすることが出来ることが一般的なようですね。
退職金の規定がないクリニックも多い!?勤務時には要確認
看護師が退職する際は、退職金がもらえると思いますよね。
しかし、民間病院ではなくクリニック勤務の場合は、退職金の規定がない場合も少なくないのです。
退職金の規定がないというのはどうなの?と思うかもしれませんが、珍しいことではありません。クリニックの場合、勤務する看護師の勤続年数が短期であることも関係しているようですね。
クリニックは、退職金制度が整備されていても民間病院よりも低めになる事が多くなります。クリニックに勤める際には、事前に就業規則、退職金制度についてしっかりと確認することが大切だと言えるでしょう。
退職金が数千万円!?公務員看護師の場合をチェック
看護師の中には、公務員看護師があります。公務員看護師は、国立病院や県立・市立病院などで働く看護師ですね。公務員とついてはいますが、特に試験を受けなければいけないということではありません。就職先が国立病院、県立病院であれば、公務員看護師となるのです。
国立病院で働く看護師の、平均的な退職金をご紹介しておきましょう。
勤続年数 | 退職金相場 |
---|---|
10年 | 400万円 |
20年 | 1,300万円 |
30年 | 3,400万円 |
長く勤めれば、数千万円の退職金を得られるということは驚きですよね。公務員看護師として働くメリットは、他にもあります。
- 給与水準が高い
- 昇給率が高い
- 福利厚生が充実
民間病院、クリニックで働くよりも、多くの収入を得ることが出来るということは確かです。しかし、一方でデメリットも挙げられます。
- 求人数が少ない
- 病院の体質が古い場合が多い
公務員看護師は人気であるが故に、離職率が低く求人数が少なくなってしまいます。また、国公立の病院というのは古い考えを持つ人々も多く、風通しが悪い、人間関係が難しいというケースが少ないわけではありません。 公務員看護師は、高収入という魅力はありますがメリットばかりではないという点を覚えておきましょう。
再就職までの生活を一定期間保障!?退職後は失業保険の申請を
看護師を退職した後に受けられる保障に、失業保険があります。
まずは、失業保険の受給要件をチェックしておきましょう。
- 再就職する意思がある
- 退職した日から溯って2年間で、被保険者であった期間が12か月以上ある
失業保険は、退職後も再び働く意思があり、再就職までの支援として給付金を得ることが出来る制度と言えるわけです。
失業保険を受けるためには手続きが必要となるのですが、実は手続きをすればすぐに受け取ることが出来るという物ではありません。退職の理由が自己都合の場合は、3か月間支払われないようになっています。 実際に振り込まれるまでの期間を考えると、4か月近く無収入の状態となってしまうのです。リストラ等会社都合による退職でも、離職後7日間は失業保険を受け取ることはできません。
失業保険の受給には手続きが必要!その方法と必要書類をチェック
失業保険の受給には、ハローワークでの手続きが必要です。その方法についてご紹介しておきましょう。 失業保険の手続きに必要となる書類は、以下の通りです。
- 雇用保険被保険者証
- 本人確認書類
- 離職票
- 顔写真2枚(3cm×2.5cm)
- 印鑑
- 通帳(失業保険振込先の口座番号が分かるもの)
これらの書類を準備し、ハローワークへ行きましょう。その後は、雇用保険受給者初回説明会に参加し、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書を入手します。 また、失業保険の手続きは申請をすればOKというわけではありません。
失業保険の受給には、就職活動をしていることが条件となります。 ですから、4週間に1度ハローワークへ行って、就職活動状況を報告しなければいけないのです。この報告を怠ると、失業保険の給付がストップしてしまいますので注意したいですね。
失業保険は、失業している人への保障制度ですから、当然再就職が気前れば受給はストップします。しかし、ずっと無収入というのも厳しいのでアルバイトをしたいと考える人もいるかもしれません。
受給期間中にアルバイトをすることは禁止されていませんが、週に20時間以上で30日(1か月)を超える勤務を行った場合は、再就職したと判断されて雇用保険の受給停止となってしまいます。 この点には気を付けておきましょう。またアルバイトをしていることはハローワークにきちんと報告するようにしてくださいね。
月にいくらもらえるの?気になる失業保険基本手当額とは
では、実際に失業保険ではいくらもらうことが出来るのか、基本手当の金額をご紹介しておきましょう。 基本手当日額は、失業までもらっていた給与収入をもとに計算が行われます。
給付率は、年齢や賃金に応じて設定される数値です。ただし、年齢に応じて得ることが出来る基本手当日額の下限と上限が決められています。 下限については、年齢に関係なく日額1,840円となっていますが、上限は年齢によって異なります。
年齢 | 基本手当日額 |
---|---|
29歳以下 | 6,395円 |
30~44歳 | 7,105円 |
45~59歳 | 7,810円 |
60~64歳 | 6,714円 |
退職前の賃金がどんなに高額だったとしても、上記の金額を超える日額を得ることはできません。また賃金が少なくても、最低日額1,840円は保障されるという制度になっているのです。 ただし、この基本手当日額は平均定期給与額の増減によって変わるものです。
上記で紹介した金額は、平成27年8月以降のものとなり、毎年改定が行われる可能性があるということを覚えておきましょう。
退職後は最高で360日間、失業保険を得ることが出来るのですね。ただし、失業保険を受給するためには再就職の意思があること、定期的にハローワークへ就職活動の報告をするなどの条件がある点は要注意ですね。
受給金額は人によって異なるようですが、最低でも日額1,840円はもらえるようですから、失業中は生活の助けになるはずです。退職後は早めに手続きをしておきたいですね。
退職を決めたらいつ病院に言えば良い?退職までの流れとは
退職を決めた際は、病院側に退職することを伝える必要があります。この時期はいつでも良いというわけではなく、民法上は最低でも2週間前に伝える必要があると定められています。 退職の申し出と受理について、民法第627条では次のように定められているということを、社会保険労務士AF事務所ホームページでは次のように紹介されています。
当事者が雇用の期間を定めなかったときは、各当事者は、いつでも解約の申入れをすることができる。 この場合において、雇用は、解約の申入れの日から2週間を経過することによって終了する。
ただし、そうは言っても実際辞めるとなれば引き継ぎもあるでしょうし、2週間で辞められては困る!ということもあるでしょう。社会人として余裕を持つのであれば、出来れば3か月ほど前には伝えるようにしたいですね。
また、病院によっては退職をする際にはいつまでに伝えなければいけないと決まっているケースもあります。
就業規則を確認しておく必要がありますね。
退職願・退職届の違いと書き方をチェック
ちなみに、「退職願」と「退職届」の違いは理解しているでしょうか。
退職願は「お願い申し上げます」と伺う形で、退職届の場合は、「退職します」と言い切る形で記載をするようにしましょう。
もちろん、勤めている病院で決まった書式があれば、そちらを利用する必要があります。就業規則に記載されているはずですから、チェックしておくと良いですね。
看護師の退職理由って何が多いの?代表的な理由とは
退職願や退職届に記載する退職理由としては、「一身上の都合」とすることが基本であるということは紹介しました。しかし、実際はどのような理由で退職するのか気になるところでは?ここでは、多い理由をいくつかご紹介しておきましょう。
- 人間関係の悪化
- 収入・待遇の不満
- 勤務状況や仕事内容への不満
やはり、他の職業と同様に人間関係や収入、勤務状況への不満というのが、看護師の退職理由としても多くなっていますね。看護師は残業や夜勤も多いですし、負担が大きい割には収入が低いと感じることも少なくないようです。
特に、働き始めの20代では給料がなかなか上がらず、不満を感じることが多いという傾向にあります。職場によって大きく給与差があるというのも、看護師の特徴ですからね。 せっかく看護師として働くことが出来ても、希望の診療科で働くことが出来ない事も多いので、「こんなはずじゃなかった」と感じることもあるでしょう。看護師の退職には、このような理由があるのですね。
看護師は比較的転職しやすい!?転職時の注意点をチェック
看護師という職業は、国家資格です。誰でも簡単になれるというわけではありませんし、実は離職率も高い職業となっていますので求人数は豊富にあります。転職先に困ることが少ない職業の1つだと言えるでしょう。 看護師の離職率について、日本看護協会が発表したグラフがあります。
離職率は横ばいとなっており、なかなか改善されないという実態にありますね。離職する人が多ければ求人数も多くなるわけですが、求人数が多いからこそより良い条件の病院で働きたいですよね。 そのためには、次のポイントを押さえておくようにしましょう。
- 収入・待遇面をしっかりと確認する
- 経験を生かせる職場・スキルアップできる職場を選ぶ
- 転職サイトを有効活用してみる
まずは、待遇面の確認は必須ですよね。
月給だけでなく残業代、退職金制度、夜勤の有無についてもしっかりと確認しておくようにしましょう。
また、看護師としてこれからも働いているのであれば、自分の経験を生かすことが出来る、スキルアップにつなげることが出来るかどうかもチェックしておきたいですね。研修制度や資格取得制度の有無を確認するようにしましょう。 あとは、転職サイトを活用するという方法もありますね。特に、転職エージェントがいる場合は、自分に合った良い条件の職場を探してくれます。転職までのサポート体制も整っていますので、是非活用してみてください。
しっかりと情報を収集し、自分に合った勤務先を探したいですね。
退職時には退職金等の保障の確認と再就職を考える事が大切
退職を決めた際には、まず就業規則の確認が重要です。
- 退職を伝える時期はいつと記載されているか
- 退職時に提出する書類はどうなっているか
- 退職金はいくらもらえるのか
そして、退職後に受けられる保障もしっかりと確認しておきましょう。退職後は、失業保険を受給できる可能性がありますからハローワークへ行って手続きをするようにしてください。
失業前に賃金や年齢によって、基本手当日額が決定し、一定の期間受給することが出来るようになっています。 自己都合退職の場合は3か月は待機期間となり受給できませんので、必要となる書類を確認して速やかに手続きをするようにしたいですね。
看護師は比較的再雇用先が見つけやすい職業です。だからこそ、しっかりと転職先を吟味してより良い条件のところを見つけるようにしてください。