科別の看護師さんの仕事をご紹介

耳鼻科に関心のある看護師の方へ!気になる仕事内容とは?

耳鼻科に関心のある看護師の方へ!気になる仕事内容とは?

耳鼻科と一言で言っても、勤務先によって仕事内容もお給料もかなり違うってご存知でしたか?

耳鼻科のナースは、どんな病院で働けるのでしょうか。そしてこれからあなたが選ぶ勤務先には、一体どんなお仕事が待っているのでしょう?それをちょっと先回りしてご紹介します。

せっかく就職したのに「思ってたのと違う!」なんて思いをしない為にも、仕事内容はしっかりチェックしておきましょう。

耳鼻科ってこんな所!病院によって異なる診療内容とは?

耳鼻科といえば耳と鼻を治療するところに決まっていますが、実際の治療範囲はもっと広く、ナースの仕事内容もそれに応じて増えてきます。

病院によってその治療内容も異なりますから、転職の際にはそこの所をよく確認しておかなくてはなりません。

耳鼻咽喉科の診療範囲は意外と広い

そもそも耳鼻咽喉科が治療する症状には、どんなものなのがあるのでしょうか。中耳炎や鼻炎くらいしか思いつかないのが普通ですが、実際には非常に守備範囲の広い診療科です。

はこのように「耳・鼻・喉」というよりは、眼を除く「喉から上」の様々な病気が治療範囲です。

  • 聴覚
  • 平衡感覚
  • 顔面神経
  • 頭頸部外科・頭頸部腫瘍
  • 嗅覚
  • アレルギー
  • 音声
  • 口腔・咽頭
  • 喉頭・気管・食道
  • 味覚・嚥下

開業医も殆どの病気には対応しますが、特殊な治療設備が必要なら特定のクリニック、腫瘍などになると大学病院ということになります。

耳鼻科は、体のごく一部、狭い範囲の診療だと思われがちですが、実際には首から上の多くの病気に対応しています。

眩暈やふらつきも耳の病気のひとつですし、鼻は花粉症やアレルギーとも関わってきます。また喉はポリープやがんの発生も見られる部位。大学病院の耳鼻科では手術も行われます。

開業医ならこんな感じ!?耳鼻科のナースのお仕事

一般的な耳鼻咽喉科の開業医に勤務した場合の看護師のお仕事ならば、こんな感じになります。

●診療器具の準備、診察の介助
●注射、点滴、採血
●検査の介助
●吸入器など器具利用の指導や手助け

これだけなら内科などと比べてそう大きな違いは見られませんが、患者さんは鼻・耳に関わる病気で来院する方ばかりです。

耳鼻科が関わる耳の病気って?

聴力に関わることだけでなく、内耳には体のバランスを感じ取る三半規管があるため、眩暈を伴う症状も耳の病気になります。

病気ではありませんが、耳垢取りやピアスの穴あけで来院する方もいます。

  • 外耳炎
  • 慢性・急性中耳炎
  • 滲出性中耳炎
  • 突発性難聴
  • 前庭神経炎
  • 良性頭位発作性眩暈症
  • メニエール病

耳鼻科が関わる鼻の病気って?

鼻の病気の症状でもっとも多いのが鼻水やくしゃみ。花粉症のシーズンは、耳鼻科の開業医はどこも超多忙です。

また鼻血や鼻のできもので来院する方もいます。

  • 花粉症
  • アレルギー性鼻炎
  • 副鼻腔炎
  • 嗅覚障害
耳鼻科は、花粉症のシーズンのほか、冬場は中耳炎や咽頭炎が増えるなど、季節によって患者数や病気の内容が異なります。

また耳鼻咽喉科は検査用の機器が多いのも特徴です。

耳鼻科で行う検査はいろいろですが、どの病院でも必ず行う聴力検査についてご説明しましょう。

聴力検査は何種類もある!

聴力検査では、単に聞こえる・聞こえないだけでなく、音を伝えるどの部分に問題があるかを突き止めなくてはなりません。検査も複数に渡りますし、それに使う器具や装置もそれぞれ異なります。

  • 純音聴力検査
  • 語音聴力検査
  • ティンパノメトリー
  • 内耳機能検査
  • 耳小骨筋反射検査
  • 聴性脳幹反応検査

病院に設置してある機械の扱いに慣れ、患者さんへの説明と補助を行い、正確に検査結果を読み取れるようになることは、耳鼻科のナースがすぐに勉強しなくてはならないことです。

耳鼻科の開業医には、花粉症はじめ様々な患者さんが来院します。耳鼻科ナースは、症状に対応する治療介助をおぼえる必要があります。

聴力検査は重要で、聞こえ方を調べるのに複数の機器を使うため、患者さんへの説明や介助も看護師の日常的な仕事です。

がん手術も!大学病院の耳鼻咽喉科のナースのお仕事

大学病院の耳鼻咽喉科になると、より重い症状の患者さんも訪れます。頭部や頸部のがんは、重篤な病気の代表的なものです。

当然ながら手術が執り行われるため、手術の介助や入院の間のお世話など、耳鼻咽喉科の病棟ナースの仕事は更に幅広いものとなります。

術後のケアとリハビリも耳鼻科の守備範囲

口腔や咽頭の手術をすると、患者さんはその後のリハビリなしには通常の生活には戻れません。

時には言語聴覚士や歯科衛生士などとのチーム体制で、治療やケアに取り組む必要もあります。

●耳鼻咽喉科の看護師の仕事
・腫瘍などの手術の介助
・入院患者の看護
・術後のリハビリのお手伝い
・他の診療科との連携

手術が必要となる治療では、以下のような他診療科とのチームワークが欠かせません。耳鼻科のナースにも、各科との連携が必要となります。

●耳鼻咽喉科と連携する他診療科
・頭頚部外科
・腫瘍内科
・放射線科
・形成外科
・歯科口腔外科

大病院の耳鼻科ナースのお給料は多い目

このように、大きな病院の耳鼻咽喉科の看護師の仕事内容は、開業医の耳鼻咽喉科でのそれとは違い、より高度で専門的な知識が必要となりますし、仕事量も多く、当然収入もそれに応じて高くなります。

耳鼻科は繁忙期には残業もあるため、年収にして450万円くらいは期待できますが、入院可能な病院になれば、夜勤手当の上乗せにより更に給与アップも望めるでしょう。

大学病院など大病院の耳鼻科では、がんの手術も行われます。手術介助や術後のケアやリハビリは、看護師の大切な仕事です。

また口腔外科などとのチームワークや、言語聴覚士との連携も欠かせません。夜勤もある治療を行う病院では、お給料は多くなります。

こんなことが求められる!耳鼻科ナースの能力とスキル

耳鼻咽喉科の看護師には、具体的にどんな能力やスキルが要求されるのでしょうか。耳や鼻の治療なら特に体力など必要ない気もするのですが、やはり看護師のお仕事はどこも例外なく大変なようです。

耳鼻科ではこんな医療機器を使う

耳鼻咽喉科では、このように特殊な医療機器を使います。特に大きな病院でなくても、このような機器は揃っていますから、耳鼻科に勤めるのなら、どなたでも最低限の知識は必要でしょう。

  • 聴力検査器(オージオグラム)
  • インピーダンスオージオメーター
  • 耳鼻科内視鏡
  • 超音波吸入器(ネブライザー)
  • レーザー治療器

ネブライザーなどは患者さんが自分で使用するため、事前にその説明をしてあげるのも看護師の日常的な仕事となります。

また診察時に使用する器具には特殊なものが多く、それらの名称や役割も、耳鼻科の看護師が先ず最初に憶えなくてはならないことです。

耳鼻科ナースには子供や高齢者の患者への対応が必要

中耳炎やアレルギーなど子供の来院が多いのも耳鼻科の特徴ですが、治療中に怖がって動くと大変危険です。そこで治療中の子供をじっとさせることも、耳鼻咽喉科の看護師の重要な役割になります。

治療中はお母さんの協力も得て、頭が動かない様しっかりと保定します。これには子供の扱いに慣れたママさん看護師が最適ですよね。出産や育児でブランクのある方の勤務先として耳鼻科をお薦めしたいのは、このような理由があるからなのです。

また難聴などで訪れる高齢者の患者さんが多いのも、耳鼻科の特徴です。

お年寄りの患者さんに治療内容や器具の使用方法などを解りやすく説明してあげることも、看護師さんの役割になります。

大学病院の耳鼻咽喉科で求められるスキル

難しい病気に対応する大学病院などの耳鼻咽喉科になると、看護師にも更に高度な知識が必要になります。そこで認定看護師の資格を取る方も増えてきます。耳鼻科で求められるのは、以下のような認定看護師です。

  • 摂食嚥下障害看護認定看護師
  • がん放射線療法看護認定看護師

認定看護師としての手当に加え、手術や入院の介助による残業や夜勤手当で、より収入を増やすことも可能になるでしょう。

耳鼻科の看護師に欠かせないのが、検査や治療の説明と介助です。開業医では、老人や子供の患者さんも多く、介助はナースの重要な役割です。

手術も行われる大病院で働く場合、認定看護師の資格を取るのもスキルアップの一方法。 摂食嚥下障害看護認定看護師やがん放射線療法看護認定看護師の資格が役立ちます。

病院の得意分野に注目!耳鼻科看護師の転職で気をつけたいこと

重い症状の患者さんの治療に興味のある方なら、やはり大きな施設に就職する必要があります。しかし耳鼻咽喉科のクリニックにも、それぞれ得意分野や専門分野があるんですよ。

そのため転職先を間違えると、思っていた仕事とイメージが違ったり、全く興味のない治療にばかり立ち会うハメになるかもしれません。

そこで耳鼻科の医院には、どんな専門分野があるのかをご紹介したいと思います。

花粉症やアレルギー治療で有名な病院も

花粉症などアレルギー治療に熱心な耳鼻科は比較的よく見られます。アレルギー科を併設している場合もあり、テレビなどで紹介されるような有名クリニックだと、遠方からわざわざ来院する方も少なくありません。

レーザー治療器を使った日帰り手術の他、体質改善指導を行っているところもあり、その場合は食事や睡眠の指導も看護師の仕事になります。

アレルギー外来は春先に患者が集中するため、一年の内その時期は非常に多忙だということは心しておかねばなりません。

睡眠時無呼吸症候群は検査入院もあり

睡眠時無呼吸症候群(SAS)は、睡眠時に呼吸が止まってしまう症状です。いびきを伴うことが殆どですので、いびきの治療とも共通します。

検査には自宅で出来る簡易検査の他、一泊入院が必要な睡眠ポリグラフィーといった検査方法もあり、看護師にも入院時の看護が求められます。

睡眠時無呼吸症候群の患者さんには、太り気味の壮年男性が多いため、これを専門とする耳鼻咽喉科の診察室は、一般の耳鼻科とは全くイメージが異なるでしょう。

メニエール病には複数の検査が必要

めまいや耳鳴りといった症状の出るメニエール病も、耳鼻咽喉科が治療する病気のひとつです。メニエール病には以下のような検査が行われます。

  • 純音聴力検査
  • ティンパノメトリー検査
  • 平衡機能検査
  • 眼振検査
  • 重心動揺検査

看護師は検査を受ける患者さんに、検査器具の使い方を解りやすく説明してあげます。

メニエール病に力を入れている耳鼻咽喉科のクリニックでは、このような検査が頻繁に行われますから、看護師は様々な機器の扱いに熟練することが求められます。

小児科や老人精神科併設の病院もある

もともと耳鼻科には子供の患者が多いのですが、小児科との併設でより子供さん向けの治療を目指した耳鼻咽喉科のクリニックもあります。

このような医院に就職すれば、患者さんの殆どが子供ということもあり得ます。子供が得意という方は実力発揮できますが、扱いに慣れていない看護師さんにとっては負担になるでしょう。

また老人精神科のある医院では、やはりお年寄りの患者さんが多くなります。補聴器の調整など、お年寄りに丁寧な説明ができることも、耳鼻科の看護師のスキルだと言えるでしょう。

耳鼻科は、病院によって治療内容や患者さんの年齢層が大きく異なります。老人や子供さんが多いところ、睡眠時無呼吸症候群の治療で有名な病院では、壮年期の男性患者が多くなります。

主な治療内容も異なるため、事前に下調べしておかないと、仕事場のイメージが、思ったのとは全く異なる場合もあるかもしれません。

耳鼻科看護師の仕事や給料は勤務先によって差があります

耳鼻科というと治療範囲がとても狭い気がしますが、実際には首から上の様々な症状に対応しています。そのため勤務先によっては、看護師にも幅広いスキルが求められます。

でも規模の小さな耳鼻科のクリニックなら、勤務しながら仕事を憶えることも難しくありません。医療機器が多いのが特徴ですが、若い方ならすぐに憶えられるでしょう。

但し花粉症による春先の忙しさは覚悟しておいた方がよさそうです。また患者に子供が多いのも耳鼻科の特徴なので、子供の扱いが苦手な方はメニエール病や睡眠時無呼吸症候群など、専門性の高いクリニックを選ぶと良いでしょう。