産婦人科で働きたい!看護師の仕事内容と助産師との違いとは
看護師として働く場合、どの診療科で働くかによってその仕事内容は大きく違ってきます。働くのであれば、自分が希望する科で働きたいと思いますよね。
産婦人科で働きたい!そう希望する人も多いでしょう。産婦人科と言えば助産師の力や役割も大きいわけですが、看護師とどのように業務が異なるのか、その仕事内容も気になるところでは?
また、産婦人科で働くにはどうすれば良いのか、という点も気になりますよね。産婦人科で働くにあたって、気になる色々な情報をご紹介していきましょう!
産婦人科で働く看護師の仕事内容をチェック!
まずは、看護師が産婦人科でどのような仕事をしているのかチェックしていきましょう。
産婦人科での業務は、主に次のようなものが挙げられます。
- 血液検査・血圧測定・尿検査
- 薬の説明・服薬指導
- 母親の体調管理・栄養指導
- 母親の精神的なケア
- 授乳介助や沐浴・オムツ交換・栄養指導
- 分娩時の助産師のサポート
医師の診察や処置の補助を行うというのは、他の診療科と変わりません。
しかし、産婦人科は妊娠・出産に関わる診療科ですから、当然母体のケアと新生時の基本的な世話を仕事として行う事になりますね。
ただ、分娩に限っては医師または助産師が行う事になります。看護師は、あくまでも補助を行うということを覚えておきましょう。
分娩に関わるのは助産師の仕事!看護師との違いとは
分娩は、基本的に医師が行いますが、特定の条件のみ助産師が処置を行うことが出来ます。助産師の仕事については、Wikipediaにて次のように紹介されています。
日本では、助産行為を行うことができるのは医師および助産師である、とされている。助産行為の範囲については、法的には示されていない(分娩介助、臍帯の切断は、保助看法にも記載されている助産行為である)。
助産師が単独で行えるのは、正常な経過の妊娠分娩に関しての助産行為である。正常経過ではない、或いは正常分娩ではない・困難な場合は、医師がかかわる事になっている。
引用元:Wikipedia 助産師
あくまでも分娩は医療行為であって、医師がいることを前提条件としているわけですが、特に妊娠経過中に異常がない場合は助産師でも分娩を行うことが出来ます。
ただし、異常が見つかった場合は医師の管轄となりますので、産婦人科医との連携が必要となるわけですね。
看護師は、医師の立会いがある・ないに関わらず助産行為を行うことが出来ません。
病院によっては、分娩室に立ち入ることも出来ないケースがあるぐらいです。それだけ、分娩における看護師と助産師の役割は異なるというわけですね。
ただ、母体のケアや新生児の世話については、看護師も助産師も同様の仕事をすることもありますが、授乳指導などの産後のケアについては助産師が主に行う事が多いですね。
助産師資格は必要?産婦人科で働くために必要なスキルとは
産婦人科で働くなら助産師資格が必要なのでは?と疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、そういうわけではないのです。助産行為を行いたいのであれば、助産師資格は必須となりますが、先ほど紹介した様に産婦人科には看護師の仕事も多くあります。
ですから、助産師資格がないからという理由は産婦人科で働くことが出来ない事とは繋がらないのです。
実際、産婦人科で働く人の多くは看護師であり、助産師の割合は少ないものとなっています。ただ、分娩時の助産行為が行えるのは助産師の特権です。助産と言う形で分娩に携わりたい!そう考えるのであれば、助産師の資格を取ることが必要となってきますね。
助産師は国家資格!資格を得るための方法と費用をご紹介
助産師は国家資格となりますので、国家試験をパスしなければいけません。まずは、助産師の国家試験を受けるための受験資格を得るところからスタートする必要があります。助産師になる方法について、全国助産師教育協議会のホームページでは次のように紹介されています。
助産師国家試験受験資格を得るためには、看護師国家試験受験資格取得後、保健師助産師看護師法によって、1年以上必要な学科を修めることが必要と定められています。助産師になるには様々な教育課程があり、2年間で学ぶ大学院、1年間で学ぶ専攻科、大学別科、専修学校などがあります。
大学4年間の中で助産コースを選択して(選抜制5~10名程度)助産師の資格を取得することもできます。
引用元:全国助産師教育協議会 助産師になりたい方へ 助産師になるにはどうしたらよいですか?
大学在学中に助産師の資格を取得しておくというのが、助産師への最も近道となるわけですね。しかし、大学の助産師コースは募集人数が少なく、成績優秀者でなければ受けることが出来ないコースとなっていることが多いので、狭き門であると言えます。
また、看護師として経験を詰んでから助産師学校へ通うという人も少なくありません。ただ、修了まで1~2年ほどかかりますから、その期間仕事ができないということになってしまいます。
現在働いている病院によっては、助産師学校へ通っている間の支援がある場合もありますね。
- 学校に通っている間も月給が支給される
- 奨学金の貸付がある
- 助産師学校への推薦
このような支援ですね。もちろん、助産師資格の取得後も継続して今の病院で働く、というのは絶対条件にはなります。働いている看護師のスキルアップの為の支援、フォローアップの1つだと考えてください。
助産師学校でかかる費用は、学校によって異なりますが、主な費用は以下の通りです。
- 入学金…20~30万円前後
- 授業料…年間60~70万円前後
- 実習費用…年間50万円前後
- 設備費…年間20万円前後
なかなかの費用がかかりますよね。支援が無い場合は自身の貯金を使う事になりますので、助産師資格を取る際は十分に検討するようにしておきましょう。
助産師の資格は、看護師として働き始めてから取得することも可能です。病院によっては資格取得のための支援を行っているところもあるようなので、確認してみると良いでしょう。
産科と婦人科、産婦人科は違う!?その違いを把握しよう
産婦人科で働きたい!そう考える理由は何でしょうか。産婦人科は、産科と婦人科2つの面を持ち合わせている診療科です。つまり、産婦人科、産科、婦人科は別物です。
ここでは、産科・婦人科・産婦人科の違いについて確認しておきましょう。
診療科 | 内容 |
---|---|
産科 | 妊娠・出産に特化 |
婦人科 | 女性特有の症状(月経不順や婦人科腫瘍・更年期)を診る 妊娠・出産の診察・検診は行っていないことが多い |
産婦人科 | 産科と婦人科を兼ね備えている 但し分娩については扱っていない産婦人科も少なくない |
また、分娩に携わりたいということであれば、その産科・産婦人科が分娩にまで対応しているかどうかチェックしておくことも必要です。
最近では、臨月頃まで診察はするけど分娩には対応しない、という産婦人科も増えてきました。そのような産婦人科は、里帰り出産等を行う人が利用することになります。
看護師としてどのような仕事をしたいのか、どのような患者を相手にしたいのかを、自分の中でしっかりイメージしておきたいですね。
どっちを選ぶ?クリニックと総合病院での勤務の違いとは
産婦人科で働きたいと思ったら、総合病院かクリニックかという選択肢がありますよね。それぞれどのような特徴があるのか、簡単にご紹介しましょう。
最先端の医療の中で働くことが出来ます。ただし、必ずしも産婦人科に配属されるとは限りません。産婦人科で働くのであれば、助産師の資格があった方が配属されやすい傾向にあります。
産科、婦人科、産婦人科等専門が分かれていることが多いので、どの診療科を専門としているのかを確認する必要があります。産科でも、分娩を扱っていないクリニックもあるので注意が必要です。
総合病院で働くことは、最先端医療の中で働くことが出来るという意味で看護師として大きなスキルアップに繋がるでしょう。
ただし、総合病院の求人としては産婦人科限定でのものがあるわけではなく、病院としての募集となってしまうため、産婦人科に希望を出してもすぐには認めてもらえずに他の科で働くことも多いのです。
他の科で看護師としての経験を積み、機会があれば産婦人科で働くということになるわけですね。ただ、助産師の資格を持っていれば産婦人科で働きやすくなります。
総合病院の産婦人科での勤務を希望するのであれば、助産師資格を取っておいた方が良いかもしれませんね。
クリニックでは、分娩を取り扱っていないところも少なくありません。分娩がなければ、夜勤なしで働くことも可能ですね。
不妊治療専門クリニックが増加!男性患者への対応も必要
産婦人科の中には、不妊治療を専門としたクリニックも増えてきています。そのようなクリニックで働く際には、医療技術だけではなく患者に対する心のケアも看護師の重要な仕事となってきます。
不妊治療というのはデリケートなものです。だからこそ、不安を取り除いてあげることが求められるのです。しっかりとした知識を持って対応する必要がありますね。
そして、不妊治療クリニックの患者は女性だけではありません。男性患者を相手にするということも、他の産婦人科ではなかなか無い機会だと言えます。
自分が分娩に関わりたいのであれば、分娩を取り扱っている病院かどうかを確認する必要がありますし、産婦人科で何をしたいのかという点をしっかり考えるようにしたいですね。
産婦人科で働きたいなら分娩と関わりたいかどうかを考えよう
助産師資格がなくても、産婦人科で働くことは可能です。医師や助産師の補助、母親や赤ちゃんの基本的なお世話は看護師でも出来ますし、それも重要な仕事であることは確かですからね。
自分がどのような働き方をしたいのか、それをきちんとイメージしてから、求人サイト等で自分に合った働き先を見つけることが出来ると良いですね。
産婦人科特有の仕事として、産前産後の母体ケア、新生児の世話があるのですが、分娩については助産師でなければ携わることが出来ないということは覚えておきましょう。