海外の医療を学べる国際看護師と、活躍の場が広がる看護ボランティア
今とは違う分野の診療科に転職して経験を積んだり、大学病院で最新医療を学んだり、看護師のスキルアップの仕方にはいろいろな方法がありますよね。特に勤務歴の長い看護師には、これからどうスキルアップしていこうか迷っている人も多いはず。
そんな人には、海外で看護の仕事をしてみるのもおすすめです!
その国独自の医療や看護の仕方について学べる看護留学は、今後日本でも役立つ知識をたくさん得られます。残業がないなど好待遇のところもあるので、国際看護師としてその国に永住するのもいいですよね。
また発展途上国に海外派遣に行く看護ボランティアは、国によっては過酷な勤務状況にはなりますが、人の役に立ちたい気持ちの強い人にとってはやりがいのある仕事です。
もちろん海外で働くには、語学力や実務経験が必要です。でもその準備期間も看護師として成長できるチャンスですよ!この記事では、国際看護師と看護留学、そして看護ボランティアについて紹介します。
国際看護師への近道!自分の興味に合った医療を学べる看護留学
最初に国際看護師について紹介します。国際看護師は看護留学などを経てその国の看護師免許を取得し、定住しながら勤務する長期的な働き方です。
国際看護師になるためには、主に次のような条件を満たさなければなりません。
・英語など、その国で必要とされる語学力が身についていること。
・就労ビザを取得していること。
国際看護師になる準備として、看護留学でその国の医療・看護について学ぶ人も増えています。
誰でも希望すれば参加できるわけではありません。留学先の言葉を話せることや、日本の正看護師の資格を持っていることが看護留学の参加条件となります。
国によって医療体制は違うので、自分が学びたいことやどんな看護師になりたいのかを考え、その方向性に合った国を留学先として選ぶのがおすすめです。
では看護留学をするときや国際看護師として働くのにおすすめな国を紹介します。
スキルアップすると、医師と対等な立場で仕事ができるアメリカ
アメリカの看護師の特徴は、このように職位が細かく分かれていることです。
看護師の職位 | 意味 |
---|---|
CNA(Certified Nursing Assistant) | 看護助手 |
LPN(Licensed Practical Nurse) | 准看護師 |
RN(Registered Nurse) | 公認の登録看護師(正看護師) |
CNS(Clinical Nurse) | 専門看護師 |
CRNA(Certfied Registered Nurse Anesthetist) | 麻酔看護師 |
ACN(Advanced Clinical Nurse) | 高度実践看護師 |
NP(Nurse Practitioner) | 上級看護師 |
ここで特に注目したいのが、NP(上級看護師)。NPとは、正看護師の上位職種のことをいいます。
アメリカのNPは業務内容が幅広く、病院によって範囲は異なるものの、医師のように患者の診断や治療・薬の処方を行えます。
日本にも、専門看護師や認定看護師といったキャリアアップのための資格がありますが、これらの業務を行うことはできません。そのためより多くのスキルを身に付けたい人におすすめの留学先といえます。
NPにキャリアアップすると地位が確立され、医師との対等なディスカッションも可能になるんです。日本ではできない看護経験は、帰国してからの転職にも役立つはずですよ。
道徳的・人道的な看護を学ぶならオーストラリア
オーストラリアへの留学は、海外で永住して働きたい人におすすめです。日本で正看護師の資格を持っていれば、1年働くことで現地の正看護師の資格を取得でき、永住権ビザも下りるんです。国家試験を受ける必要もありません。
オーストラリアは医療福祉先進国と言われていて、道徳的・人道的な看護が求められます。
患者の権利やプライバシーを大切にする看護方針で、臨床研修時間数が多く看護について深く学ぶことができます。自分の看護観を見直したい人にもぴったりですよ。
介護医療を学ぶならニュージーランド
介護医療に興味のある看護師は、ニュージーランドでの看護留学を考えてみてはいかがでしょうか。
ニュージーランドは介護施設が多く、介護医療が進んでいるのが特徴。高齢者や障がい者ケアの知識や技術を重点的に勉強することができます。
またニュージーランドは週休3日なので、無理をせず自分の時間を大事にしたい看護師にもおすすめです。
レベルの高い技術を身に付けるならフィンランド
看護師としてレベルの高い技術を身に付けたいなら、フィンランドの医療を学びましょう。
フィンランドは医療水準が高いことで世界的に評価されていて、国民の90%が自国の医療に満足しているんです。
これはEU平均の2倍以上の数字なんですよ。
でも実は、フィンランドは医師が少ないんです。その状況で高い医療水準をキープしているのは、看護師が医師の仕事の一部を代わりに行っているから。
幅広い業務を行えるようになるので、これまで以上に看護師としてのやりがいを感じて働くことができるようになります。
永住するなら待遇の良いカナダへの看護留学がおすすめ
カナダでも、看護師は好待遇な勤務条件で仕事ができます。
日本では残業が多いのに比べ、カナダでは残業がなく勤務時間がきちんと決められています。年に2回長期休暇を取ることもできます。カナダは治安もいいので、永住して働きたい人にもおすすめです。
海外研修制度のある病院ならしっかりしたサポートで安心
海外で看護の勉強をするなら、海外研修制度を利用する方法もありますよ。病院によっては看護師の海外研修を金銭面で支援してくれる場合もあるんです。
看護師としての実務経験を積んで、語学スキルが十分身についている看護師が院内選考で選ばれ、利用することができます。
転職を考えている看護師は海外研修制度のある病院を選んで、まずは短期での研修から、海外での看護を体験してみるのもおすすめです。
転職先を選ぶときには、看護師の転職サイトを活用しましょう。サイトに登録すると専属のコンサルタントが付き、自分の希望に合った病院を見つけてくれます。転職についての相談にも乗ってくれますよ。
大変だけどやりがいがある!発展途上国での看護ボランティア
看護師は「青年海外協力隊」や「国境なき医師団」などの国際看護活動を行っている団体に加盟することで、このような発展途上国での看護ボランティアをすることができます。期間は半年~1年程度です。
看護ボランティアは派遣される国によって、医療設備の整い方が違います。そのためどんな状況でも臨機応変に対応できる柔軟性が求められる仕事です。他の国から派遣される医師や看護師とも働くことになるので、語学力やコミュニケーション能力も必要です。
団体により応募資格は次のように異なります。
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青年海外協力隊の場合
- 看護師の実務経験が3年以上必要。(一部の地域を除く)
- 英会話日常会話程度のスキルを要する。(英検準2級・3級、TOFEL410以上)
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国境なき医師団の場合
- 2年以上の臨床経験が必要。
- 英語もしくはフランス語でメンバーと問題なく会話できる程度の語学レベルが必要。
また発展途上国での生活になかなか慣れず、体調を崩してしまう看護師がいたり、治安状況の良くない国での活動は危険と隣り合わせです。
過酷な状況で仕事をすることになるので中途半端な気持ちで参加できるようなものではありません。支払われる給料(手当)は月14万円。
団体によっては参加期間が長くなると、給料が増える場合もありますが、日本の看護師の月給平均は33万円なので、ハードな仕事の割には安いと感じる人も多いようです。
しかし看護ボランティアでは、看護師の技術と心の成長に繋がる貴重な体験ができます。学ぶことや、考えさせられることも多いはずですよ。
準備期間にも成長できる!海外で幅広い知識と経験を身に付けよう
看護留学では、国によって医療体制や看護師の働き方に違いがあるので、看護師としての視野が広まります。自分の勉強したいことやレベルを上げたい技術は何かを考え、それについて重点的に勉強できる国に留学しましょう。
さらにその国で正看護師の資格を取得して永住したい場合は、その国の勤務条件を確認しておくことも大切です。週休3日のニュージーランドや残業のないカナダなら、プライベートを充実させて働くことができますよ。
また看護ボランティアでは、発展途上国に短期間派遣され看護活動を行うことができます。自分の今までの経験を海外で役立てられるやりがいのある仕事です。
海外で看護師の仕事をするためには、語学力や資格を得るなど、その国の定めた条件をクリアする必要があります。
時間も労力もかかり大変ですが、自分のスキルアップに繋がる有意義な時間になるはずですよ。行きたい国が決まったら早めに勉強し始めましょう。