独自の救命救急医療体制や全国初のベッドを試験導入!長野県の病院を紹介
本州の中心に位置する長野県。
長野県には独自の医療体制で治療を行う病院や、多くの機能がついたベッドを導入している病院があります。
社会医療法人財団慈泉会相澤病院では、独自の「相澤モービルERシステム」を構築しました。全ての救急患者さんを、24時間365日いつでも受け入れられる体制を整えています。
JA長野厚生連佐久総合病院は「スマートベッドシステム」を試験導入。患者さんの状態を管理・記録し、看護業務の簡便化を図っているのです。
この記事では「社会医療法人財団慈泉会相澤病院」と「JA長野厚生連佐久総合病院」を紹介します。
病院独自の救急医療体制で治療を行う!相澤病院
社会医療法人財団慈泉会相澤病院は、小説「神様のカルテ」のモデルになったことでも有名な病院です。映画化もされた「神様のカルテ」では、地域医療の一端を担う病院で働く内科医が、真摯に患者さんと向き合う姿が書かれています。
病院正面玄関には「救命救急センター365日24時間」と赤い看板に書かれており、特に救命救急センターの取り組みには力を入れているんですよ。
相澤病院の救命救急センターについて、詳しく見ていきましょう。
どんな救急患者さんも全て受け入れる!救命救急センター
相澤病院にある救命救急センター(ER※)では、全ての救急患者さんを24時間365日いつでも受け入れています。
どんな救急患者さんでも受け入れて、初期診療を提供する施設のこと。
患者さんの入院が必要になった場合は、ER専門医が担当科に振り分けます。「トリアージナース」という看護師が配置され、患者さんの重症度や緊急度を選別する場合も。その場合は、優先順位の高い患者さんから診療を実施します。
相澤病院の救命救急センターが目指すのは、次のような救急医療(北米型ER)です。
- 迅速・的確に重症度判定を行う
- 初期治療を素早く行う
- 必要があれば専門医による迅速な治療を依頼する
相澤病院の救命救急センターには診察室や処置室だけでなく、待合室、トリアージステーション、研修室なども。トリアージステーションでは、患者さんの緊急度判定を医師や看護師が実施しています。
緊急度判定を受けた患者さんは、その緊急度合いによって分けられた処置室で治療を受けます。
処置室は色の違うカーテンで仕切られており、患者さんの緊急度が一目で理解できるように工夫されているのです。
緊急度判定の種類とその色は次のとおり。
患者さんの緊急度 | 色 |
---|---|
最優先治療群 | 赤色 |
非緊急治療群 | 黄色 |
軽処置群 | 緑色 |
救急患者さんに素早い治療を行うために、救命救急センターの処置室を色で区別しているんですよ。
また相澤病院では「不安を抱えて飛び込んできた患者さんを、全て受け入れるのが救命救急センターの使命である」と考えています。そこで救急要請における新たな取り組みとして、独自の「相澤モービルERシステム」の運用を開始しました。
相澤モービルERシステムとは救命救急医療専門チームによる、救急車両を用いた往診制度のことです。
救命救急医療専門チームは、主に救命救急センターの医師や看護師、救命救急士、事務職員などで構成されています。
相澤モービルERシステムの概要は次のとおりです。
傷病者の搬送に長時間かかる場合は、各広域消防救急隊とのドッキングを実施。搬送経路の中間地点で傷病者を受け入れてから、治療を開始します。病院での根本治療が必要な際には、搬送途中で専門家へ連絡し、必要な治療指示を受けるのです。
相澤モービルERシステムで使用される救急車両は、DMAT活動や重症患者さんの病院間搬送にも対応しています。相澤病院の救命救急センターは、地域の救急体制の維持にも貢献しているんですね。
住所 | 長野県松本市本庄2-5-1 |
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最寄り駅 (所要時間) |
JR松本駅 (徒歩20分) |
病院HP | 社会医療法人財団慈泉会相澤病院 |
病床数 | 460床 |
福利厚生 | ・看護師マンション ・院内保育所 |
佐久総合病院の全国初システムを紹介!
長野県佐久市にあるJA長野厚生連佐久総合病院では、全国初となる取り組みを行っています。
ニュースや新聞でも取り上げられた取り組みは、次の2つです。
- スマートベッドシステムの試験導入
- 歩行姿勢検診の実施
まずは「スマートベッドシステム」から紹介します。
患者さんの生体情報を自動で計測!スマートベッドシステム
佐久総合病院では老朽化した旧病棟を建て替えた際、新病棟内の一部に患者見守り機能「スマートベッドシステム※」を導入しました。
ベッドの下にあるセンサーで、患者さんの脈拍数や呼吸数などの生体情報を管理するシステムのこと。自動計測された情報は、壁に設置された端末に表示されます。
スマートベッドシステムのコンセプトは次の3つです。
- 患者さんを優しく見守る
- 看護師をサポートする
- 病気の早期発見・予防をする
具体的なシステムの機能は次の5つ。
- 患者さんの状態把握と変化を通知
- 複数の患者さんの状態を一覧表示
- 患者さんの情報をピクトグラム(※1)で表示
- バイタルサイン(※2)の入力
- 看護師に業務を通知
言葉が通じなくても、見るだけで何をしているか判断できるイラストのこと。「絵ことば」や「絵文字」などで訳されます。非常口のイラストや、トイレの男女識別のイラストなどが有名です。
それぞれ機能を詳しく見てみましょう。
ベッドのセンサーで患者さんの状態を把握し、その情報をベッドサイドの端末に表示します。患者さんの状態変化を、適宜通知することも可能です。
センサーによって得られた患者さんの情報は、ナースステーションの端末に一覧で表示。複数の患者さんの情報を、まとめて見ることができます。
ベッドサイドの端末では、患者さんの情報をピクトグラムで表示。患者さんの情報を、病院スタッフ間で共有することができるんですよ。
患者さんのバイタルサインは、端末に表示された登録ボタンを押すことで入力可能です。看護師による入力業務の負担を低減します。
患者さんに必要な看護業務とその時間を、ベッドサイドの端末に入力。設定した時間になると、看護師が所持する携帯端末に通知が来ます。業務終了後は「完了」と履歴が残るので、抜け漏れのない看護が可能です。
健康維持に活かすための検査!歩くだけで分かる「歩行姿勢検診」
佐久総合病院は、人間ドックの新しいメニューとして「歩行姿勢検診」を実施しています。歩行姿勢検診の目的は、人の歩き方を調べて病気治療や健康維持に活かすことです。
全国初となるこの検査は、体にセンサーを装着して10mほど歩くだけで、歩行姿勢の測定ができるんですよ。
歩行姿勢のデータ化に使われるのは、歩く姿勢を3次元計測できる「体幹2点歩行動揺計※」という機器です。
背中と腰の体幹2か所に装着された、体の動きを計測するモーションセンサーのデータを解析する機器のことです。解析したデータの結果を、数値とグラフで表示。動作をアニメーションで表示することもできます。
歩行姿勢検診はオプション検査で、誰でも受けることが可能です。検査の結果に基づいて、専門の理学療法士によるアドバイスを受けることができます。
住所 | 長野県佐久市臼田197 |
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最寄り駅 (所要時間) |
JR臼田駅 (徒歩10分) |
病院HP | JA長野厚生連佐久総合病院 |
病床数 | 309床 |
福利厚生 | ・院内保育所 ・職員寮 |
地域一丸となって健康づくりに努める!長野県の病院に注目
JA長野厚生連佐久総合病院は全国初となる「歩行姿勢検診」を実施。検査結果に基づいたアドバイスを行い、患者さんの健康維持に活かしています。
長野県は、全国の中で最も「がんによる死亡率」が低い地域です。
長野県の「がん対策推進協議会」には、医療関係者や患者さんだけでなく、企業団体や労働組合なども参加しています。まさに地域一丸となって、健康づくりに努めているのです。
県民の健康づくりに、地域で協力して取り組む長野県。そんな長野県で活躍する病院を、探してみてはいかがでしょうか。