科別の看護師さんの仕事をご紹介

透析や慢性期の患者さんが多い腎臓内科!看護師の役割や待遇

透析や慢性期の患者さんが多い腎臓内科!看護師の役割や待遇

腎臓は、その気になればいつでも、脈や胸に手を当ててみることによってその動きを感じ取れる心臓と違って、普段あまりその存在に気づくことはない臓器のひとつです。しかし腎臓は主に尿の排出という側面から、私たちの身体を健康に保ってくれる、縁の下の力持ちです。

この腎臓を悪くすると、地味ながらも徐々に進行し、生活に大きな制限が加わることにもなりかねず、ひとたび悪化した腎臓は回復することは難しいと言われています。また、近年の日本では、腎臓病になる人の数も増えてきています。

そんな腎臓の病気を扱う「腎臓内科」が今回のテーマです。腎臓内科の概要、看護師のお仕事やお給料など、全体的に見ていきましょう。

どんな病気の人が来るの?腎臓内科って、こんなところです!

腎臓内科は、その診療科名に「腎臓」とはっきりついていますから、どこを診る科なのか分かりやすいですよね。でも実際に扱う病気は、特に一般の人たちにはイメージしにくい部分もあるのではないでしょうか。

まずは腎臓内科で扱う病気や患者さんの特徴などから、ご紹介していきます。

腎臓内科とは

腎臓は背中側の腰あたりに位置し、左右2つあるのが特徴です。腎臓がんなどで片側を摘出しても、残った腎臓が健康ならば1つだけでも日常生活が可能です。腎臓の主な役割は、血液をろ過して尿を作るものですが、電解質の調節やホルモン分泌なども担っています。

そして腎臓内科とは、その名の通りこの腎臓の内科的疾患を対象とする診療科です。外科や内科は多くの臓器を対象としますが、腎臓内科は腎臓のみを取り扱う科です。

ひとつの臓器だけで科が成り立つほどに腎臓内科の対象疾患は多く、奥深い世界とも言えます。

元々、腎臓内科は内科に含まれていました。しかし、内科の中から腎臓だけに特化した科が生まれた背景には、腎臓病特有の長期的な経過があることや、慢性腎臓病の増加があります。

腎臓内科の対象疾患

腎臓内科で取り扱う病気は、腎疾患のうち手術を必要としないものすべてです。具体的には、

  • 検尿異常
  • ネフローゼ
  • 急性腎炎・慢性腎炎
  • 慢性腎臓病(CKD)
  • 血液浄化療法(透析療法)を必要とする慢性腎不全
  • IgA腎症

などがあります。中でも、慢性腎臓病が増加してきていることが、近年注目されています。

慢性腎臓病(chronic kidney disease=CKD)は慢性に経過するすべての腎臓病を指します。CKDの原因にはさまざまなものがありますが、生活習慣病(糖尿病、高血圧など)や慢性腎炎が代表的でメタボリックシンドロームとの関連も深く、誰もがかかる可能性のある病気です。日本ではCKDの患者が約1,330万人(20歳以上の成人の8人に1人)いると考えられ、新たな国民病ともいわれています。
引用元:一般社団法人 全国腎臓病協議会

このように、腎疾患の中には糖尿病性腎症なども含まれており、生活習慣病が増えるにつれて、慢性腎臓病も今後さらに増えていくことが予想されています。そのため、腎臓内科の需要はますます高まっていくと考えられていますし、泌尿器科など他科との連携も必要となってくるでしょう。

腎臓内科を受診する方々

初診患者の年齢別割合

腎臓内科は、検尿で異常が出たらまず受診するべき科です。したがって、3歳くらいの幼児や小中学生といった子どもから、会社の健康診断や人間ドックで検尿をした大人や高齢者まで、見た目は健康そのものといった方々も多数受診されます。

また、お伝えしたように糖尿病や高血圧といった生活習慣病や、妊娠中に血圧が高くなってしまう妊娠高血圧なども腎臓と関連の深い疾患であり、このような方々も腎臓内科を訪れることがあります。したがって、患者さんは男女問わず子どもから高齢者まで様々となっています。

腎臓内科は慢性期の患者さんが多いことが大きな特徴の診療科であり、特に人工透析を行う方々など、同じ患者さんと長期に渡ってお付き合いすることも多いものです。幅広い年代の方と末永く上手に向き合う能力も、腎臓内科の看護師には必要になってきます。

腎臓内科は、対象となる臓器が腎臓だけという点において、ちょっと特殊な診療科と言えるかもしれません。しかし、腎疾患は高血圧や糖尿病など様々な病気によっても引き起こされるものなので、腎臓だけではなく全身に対する知識や理解も必要です。

小さな子どもさんや妊婦さんなど患者さんの層は幅広いですが、慢性腎炎の患者さんも多く、同じ患者さんと長期的なお付き合いをすることも多い科です。

腎臓内科にはどんな勤務体系があるの?育児中でも働きやすい!?

腎臓内科に興味があっても、実際どんな働き方をするのか、今の自分の状況でもやっていけるのかが分からなければ、なかなか一歩を踏み出せませんよね。

ここからは、腎臓内科で働くにはどんな勤務形態があるのか、どんな人が腎臓内科に向いているのかという点について見ていきましょう。

腎臓内科があるところ

一般的に腎臓内科には、以下のような種類があります。

  • 大学病院
  • 総合病院
  • クリニック
  • 透析専門クリニック

そして、勤務先によって勤務形態もお仕事内容も異なります。以下に詳しくご説明していきます。

腎臓内科の勤務形態

腎臓内科での勤務形態は、おおむね以下のようになっています。

病院の種類 夜勤の有無
大学病院 あり
総合病院 あり
クリニック なし
透析専門クリニック なし
ただし夜間透析を行っているところは交代制の場合もあり

このように、大きな病院で病棟があるところでは原則として夜勤もあります。しかし腎臓内科は、クリニックや透析患者中心もしくは専門のクリニックなども多く、このようなところのほとんどは外来のみなので、その場合は夜勤もありません。

しかし近年、透析患者さんのニーズに応えて夜間透析を行う医院も増えており、23時頃まで透析を行ったり、病院によってはクリニックでも24時間体制というところもあります。

なので、夜勤や交代勤務が難しい方は、クリニックでもどんな勤務形態なのかをきちんと確認するようにしましょう。

とはいえ、腎臓内科は病棟勤務でも基本的に残業が少なく、特に昼間の透析を中心とした開業クリニックなら勤務時間も短くて定時に帰れるところが多いため、育児や家庭との両立が比較的しやすい科のひとつだと言われています。出産や育児で退職した方の復帰先としても魅力的な科ですね。

腎臓内科での看護師のお仕事とは

腎臓内科で実際に看護師がすべきお仕事とは、どのようなものでしょうか。

  • 投薬・注射・点滴・検査などの一般的な業務
  • 透析業務
  • 生活指導・食事指導
  • 腎生検に関する業務

他科と同じお仕事も多いですが、検査の中でも特に尿検査が多いので、くれぐれも検体の取り違えなどしないよう、慣れた仕事であっても細心の注意を払って行うようにしなければなりません。

また、腎臓病の方は塩分やたんぱく質の摂り過ぎは禁物であることや禁煙節酒が基本なので、食事制限や生活指導が必要となる患者さんも多いです。

このような方々に制限の必要性を分かりやすく説明し、優しく根気強く指導していくことも、腎臓内科看護師の重要な役割です。

腎機能を保つための仕事

繰り返しになりますが、腎臓内科には慢性腎臓病の患者さんが多く、この病気は食事や生活習慣に気を付けることで進行を防ぐことも可能です。しかし、いったん悪くなった腎臓機能が回復することはありません。
慢性肝臓病(CKD)のステージ
このように、ステージ5まで進行してしまうと、腎移植をしない限り一生、人工透析が必要となります。

そうならないために、少しでも慢性腎疾患の方の腎機能を保つための生活指導や食事指導も、腎臓内科ナースの重要な役割です。

このような指導を煙たがる患者さんも中にはいますので、患者さんの生活スタイルや感情を尊重しながら、うまく腎機能低下を防ぐ指導をするスキルが必要です。

透析治療に関する業務

すでにお伝えしたように、腎臓内科には人工透析の患者さんがとても多いです。したがって、透析治療に関することも、腎臓内科看護師の必須業務です。具体的には、以下のような仕事があります。

  • 透析導入時の精神的フォロー
  • 患者さんの案内・機器の準備
  • 穿刺・抜針・止血・機器の操作
  • 透析中の観察・急変時の対応
  • 患者さんや家族の生活面・精神面のフォロー

人工透析には、「血液透析」と「腹膜透析」の2種類があり、血液透析なら週に3回程度3~4時間、腹膜透析なら月1~2回の通院が、生きている限り必要となってしまいます。

これを最初からストレスに感じず受け入れられる患者さんは、当然ながら少ないものです。したがって、透析導入時に動揺したり落ち込んだりした患者さんに対する精神的フォローが、まず重要な透析関連の業務と言えます。

透析導入時の不安が少しでも軽減されるよう、保存期で受診されていた外来、導入時に入院される病棟、そして、導入後に通院される透析センターの医師や看護師が一つのチームになって患者さんをサポートしている病院も多いはずです。当院もそのような体制をとり、患者さんの情報を共有しています。患者さんと信頼関係を築いて、安心してご相談いただけるよう、私たちスタッフも日々努力しています。
引用元:NPO法人 腎臓サポート協会

これは、実際に腎臓内科で透析患者さんの看護を行っている看護師のお話ですが、腎臓内科の看護師はこの方のように、患者さんの不安や絶望感をくみ取り、前を向けるようにサポートしていく役割も果たさなければなりません。
看護師としての一般的なお仕事以外に、腎機能を低下させないための生活指導や、透析に関する業務があることが、腎臓内科の最大の特徴と言えます。

透析機器の操作などはもちろんですが、透析導入時の精神的なサポートも非常に重要です。患者さんの大変さを理解し、丁寧に対応できるスキルが求められます。

腎臓内科看護師の待遇はどんな感じ?仕事探しはどこでできる?

もしも実際に腎臓内科で働くことになった場合、お給料のことやキャリアアップができるかどうかも気になるところですよね。その辺りについても、以下にお話したいと思います。

腎臓内科看護師のお給料事情

腎臓内科の看護師の場合、お給料は基本的には他科とそれほど変わりません。

しかも、透析専門クリニックなどの夜勤もない病院では、定時に帰れることもあって夜勤手当や残業手当がつきません。

そのため、お給料は病棟よりも安いと言わざるを得ません。育児中の方など、働ける時間帯に制限がある方はやむを得ませんが、もしも状況が許す方で高給を期待するならば、都市部の大病院で夜勤をしながら働くのがオススメです。

また、クリニックでも田舎よりは都市部にある医院の方が、比較的お給料が良い傾向があります。

そして、腎臓内科でもっとお給料アップを望みたいなら、やはり資格を取って基本給アップ+資格手当をつけてもらうのが一番です。資格については、以下にご説明します。

腎臓内科看護に関する資格

腎臓内科で働く看護師としてキャリアアップするには、以下の2種類の資格いずれかを取得する方法が一番の近道です。

  • 透析療法指導看護師
  • 透析看護認定看護師

よく似た名前ですが、取得方法などに少々違いがあります。

資格の種類
(認定機関)
取得に必要な条件
透析療法指導看護師
(日本腎不全看護学会)
・日本腎不全看護学会の正会員歴3年以上
・5年以上(うち3年以上が腎不全看護領域)の実務経験
・腎不全看護領域での3例の実践報告提出
・セミナー等に参加して30ポイント以上取得
・上記の受験条件を満たしたうえで試験に合格すること
透析看護認定看護師
(日本看護協会)
・5年以上(うち3年以上が専門療育)の実務経験
・教育機関にて6か月以上の教育を受ける
・上記の受験条件をみたしたうえで試験に合格すること

より高度な教育機関での教育が必要になるため、現場でスペシャリストとして期待されるのは、どちらかといえば透析看護認定看護師の方です。

しかし、もちろん透析療法指導看護師も持っていて損はない資格ですし、資格手当が付く医療機関がほとんどだと思われます。

求人情報の見つけ方

腎臓内科看護師の求人情報は、以下のところで見つけることが可能です。

  • ハローワーク
  • 一般的な求人雑誌や求人広告
  • 看護師専門の求人サイト

腎臓内科は透析で頻繁に通う患者さんのために、公共交通機関でのアクセスがよいところにある病院も多いです。自家用車で通勤したい人は、念のために可能かどうか聞いてみるとよいでしょう。

腎臓内科、特に透析が中心のクリニックなどでは、基本的に残業や夜勤がないため、お給料はそれほど多いとは言えないのが実情です。

腎臓内科で高給を望むのであれば、大きな病院で病棟勤務をする、透析看護認定看護師などの専門資格を取得するなどの工夫をすると良いでしょう。

今後ますます腎疾患の患者さんは増えると予測されていますので、腎臓内科の求人は見つけやすいと思われます。

一人の患者さんと長くお付き合いできるのが腎臓内科の醍醐味!

勤務時間が長くないことや定時で仕事を終えられるところが多いため、育児中の看護師ママには最適の腎臓内科。一人ひとりの患者さんと長期に渡ってお付き合いできるのも、腎臓内科の大きな魅力のひとつです。

看護師の適切な指導や支えによって食事や生活を改善し、腎機能をキープできている患者さんも多いですから、患者さんに感謝されることも多く、やりがいもあります。

ブランクのある看護師の復帰先としてもオススメですので、該当する方は求人情報を当たってみてはいかがでしょう?