神経内科について知りたい!転職を考える看護師さんへアドバイス

「神経内科に転職してみたい」という看護師の方、この診療科のお仕事について十分ご存知ですか?
神経内科はまだ一般的な認知度は低いのですが、高齢化に伴ってその需要も増えています。でもその仕事内容は意外とハード。転職前に、その点もきちんとチェックしておきましょう。
気になるお給料や将来的展望も含め、神経内科のお仕事内容を駆け足でご紹介します。
神経内科の看護師って?お仕事内容とお給料の基本データ
神経内科と一言で言っても、どんな疾病を扱うのか、看護師の仕事内容はどうなのか、肝心のお給料は・・・などなど、気になることは無数にありますよね。
先ずはどんな患者さんを扱うのかということからご紹介していきましょう。
神経内科で治療を行うのはどんな病気?
まずは神経内科で治療を行う代表的な病名の一覧をご覧下さい。神経内科では、脳・脊髄・神経・筋肉に関わる病気を扱います。
「神経」という用語には様々な意味合いがあるため、よく心療内科と混同する方もいますが、神経内科はあくまでもフィジカルな診療分野です。
- 頭痛
- てんかん
- 神経難病
- パーキンソン病
- 脳卒中
- 認知症
他診療科からやってくる患者さんも
神経内科は本来精神科とは全く関係のない診療科ですが、中には精神的な病気が元で神経内科を訪れる方もいます。
例えばふらつきやめまいを訴えて診察を受けに来た患者さんも、神経内科で異常が見られなければ、鬱病の可能性も出てきます。その場合は診察後、精神科を紹介することになるでしょう。
またその反対に、他の診療科から神経内科へ来る患者さんも居ます。脳卒中なのに別の科を回っていては、あと一歩で手遅れになるかもしれません。ここは看護師の「鋭い目」が要求されるところです。
来院する患者さんの症状は様々
神経内科を訪れる患者さんは、体の各部位に以下のような症状を訴えて受診します。
- しびれ
- 痛み
- ふらつき
- ふるえ、不随意運動
- 力が入らない
- むせる
- ろれつが回らない
- 物忘れ
軽い症状なら自力で来院できるのですが、脳血管系の障害となると救急搬送が普通です。また受診した人の病状があっという間に急変するというのも、神経内科の患者さんにはよくあることです。
- 救急搬送される患者が多い
- 患者の病状が急変することが多い
受診時の症状を見ると比較的穏やかな方が多いようにも思うのですが、実際の治療の現場はこのように緊張が絶えません。
しかし同時に、これがやり甲斐に繋がっているという先輩方が多いのも事実です。重篤な状態で搬送された患者さんが適切な処置によって回復していく姿は、常に神経内科のナースの心の張りになっています。
お給料はどのくらい貰えるのか
神経内科の看護師のお仕事は、これからご紹介しますがかなりハードです。
そのため、お給料も少々高い目。
病院やクリニックにもよりますが、年収にして平均よりも30万円〜50万円アップの可能性があります。
専門知識が要求される診療科ですので、順調にキャリアを積めば中には年収500万円、600万円を超える方も。
高給取りの看護師の中には、神経内科の方が少なからず含まれています。
もっと知りたい!神経内科の守備範囲にはこんな病気も!?
神経内科が扱う病気は非常に多いので、更にもうちょっと詳しくご紹介しておきましょう。神経内科を訪れる患者さんは、全く原因の異なる症状を抱えていることが珍しくないのです。
神経難病にはどんな疾患があるのか?
神経難病には、様々な種類の疾患が含まれています。
原因がまだ解明されていない、あるいは一部しか解明されていない神経の病気のこと。
原因や治療法がわからないのですから、患者さんや家族の精神的・肉体的・経済的負担は計り知れません。このような患者さんを支えるのも、神経内科の看護師の大切な役割です。
ここに含まれる病名は以下の通り。このような患者さんが全て神経内科で治療を受けることになります。
・脊髄小脳萎縮症、他系統萎縮症
・多発性硬化症、重症筋無力症、パーキンソン病、進行性核上性麻痺
脳卒中ってどんな病気?
脳の病気は今、とても増えています。救急搬送ばかりとは限らず、自力で受診する方も多く、とっさの判断が要求されるところですね。
脳の血管が傷ついて起こる障害のことを、脳血管障害といいますが、その中で、突然起こるものが脳卒中で、以下の3つに分類されます。
- 脳梗塞
- 脳出血
- くも膜下出血
神経内科の看護師は、このように様々な患者さんを想定しておかなくてはなりません。
特に脳血管障害では、ふらつきやめまいといった小さな症状が、大きな発作の前触れのことも。そういう意味では、神経内科は非常に緊張する現場だと言えます。
体力も必要!?神経内科の看護師に求められることって?
外来患者の状態のチェックには予断を許さないものがありますが、入院患者に対する継続的な介護もまた、神経内科の看護師にとっては重要な仕事のひとつです。
体が動かない人の介護には体力が必要
体の自由が利かなくなった方の介護には、かなりの体力が要求されます。
以下のような場面では、日常的に患者さんの体重を支える必要があるため、元々腰や膝にトラブルのある方にはちょっときついかもしれません。
- トイレや入浴など日常生活の手助け
- CTやMRIなど検査の手助け
- リハビリのお手伝い
様々な人とのコミュニケーションが必要
また突然体が不自由になった方や神経難病の方には、メンタル面のケアも欠かせません。中には思う様に動けないイライラから、看護師に当たり散らす方も居ます。
でも神経内科の看護師にとって、実はこれもお仕事のうち。
このように、神経内科のナースには他の診療科にはないタフネスさが要求されるのです。
患者さんが負のスパイラルに陥らないよう見守るのも、神経内科の看護師の重要な役割なんですね。
また患者さんを支えるには、その家族に対する精神的なケアも必要です。また治療においては、他の診療科と連携する機会が非常に多いというのも神経内科の特徴です。
神経内科のチーム医療体制は幅広い
神経内科では他の診療科とのチーム体制が組まれることがよくあります。これは、脳卒中の治療分野ではよくあることで、以下のような他診療科や他職種との組み合わせが考えられます。
・脳血管外科
・リハビリテーション科
・社会福祉士
・理学療法士
・作業療法士
・言語聴覚士
・悩み相談室などの専門スタッフ
神経内科の看護師には、このように幅広く他分野のスタッフと協働していくことが求められます。
またそんな患者さんとご家族との間のコミュニケーションを取り持ち、病気への理解を深めてもらうことも神経内科の看護師の大切な仕事ですし、さらには幅広い分野の専門スタッフとの協力も求められます。
将来的にはどう?病院以外で神経内科経験を活かせる職場とは
神経内科の看護師の仕事には高いクオリティが要求されるため、長年勤めれば確実にスキルアップが期待できます。
しかしお給料は高い目でもハードな仕事内容だけに、途中で転職を決意する方も少なくありません。その場合、病院以外で働くことは可能なのでしょうか?
経験を活かした介護施設への転職
神経内科の看護師なら、認知症のケア経験もあり、脳卒中の患者さんの対応にも手慣れています。この経験を活かして、介護施設への転職が考えられます。
まず介護施設とはどんなものかをご紹介しましょう。介護施設には3種類ありますが、看護師の仕事内容にはそれぞれ差があるのが分かります。
施設の種類 | 運営主体 | 医師の在籍 | 夜勤の有無 |
---|---|---|---|
《介護老人保健施設》 | 自治体 | あり | あり |
《特別養護老人ホーム》 | 自治体 | 指定なし | なし |
《有料老人ホーム》 | 民間 | 指定なし | なし |
介護施設には看護師の夜勤がないケースも
病院のお仕事には夜勤がつきもの。
しかし介護施設の場合、夜間は看護師不在のところも多く、夜勤なしで働けるという特徴があります。
また特に医者が在籍しない施設では、神経内科で培った看護師のスキルが重宝されます。稼ぎは少なくなりますが、結婚したり歳を取ってからのことを考えると、第二の選択としては悪くありません。
・年収は減る
・仕事内容は楽
・スキルが活かせる
・夜勤がない(施設の種類による)
ただし勤務条件は施設の種類などによっても様々ですので、転職前にはよく下調べをすることが大切ですね。
神経内科はハード!でも看護師経験は他の職場にも活かせます
次の職場としては、神経内科での知識と経験を活かして介護系の仕事が考えられます。介護関係はこれからの成長分野ですので、神経内科のナースは転職先には苦労しないでしょう。
体の自由のきかない患者さんの介助など、ハードな仕事を続けられるかどうかがポイントですね。