基本的に夜勤なし!?放射線科看護師の仕事内容とその魅力とは
看護師の仕事と聞いてイメージするものの1つに、病棟での夜勤がありますよね。しかし、夜勤は避けたいな、出来れば日勤で働きたいな、と考える人もいるかもしれません。
実は、様々ある診療科の中で放射線科は夜勤がほとんどありません。その理由は、放射線科の仕事内容が関係しているのです。
放射線科の仕事内容、そこで働くメリット・デメリットなど、気になる放射線科事情をチェックしていきましょう!
放射線科での仕事は日勤がほとんど!その内容を詳しくチェック
なぜ放射線科では夜勤がほとんど無いと言われているのかについてお話する為に、まずは仕事内容を紹介しましょう。
放射線科での看護師の仕事内容は、主に次の2点です。
- 検査・治療の目的や内容の説明
- 患者・患者家族の精神的なケア
検査や治療を行う時間は、基本的に日中となりますよね。
深夜・早朝の緊急対応がない為、放射線科の仕事は日勤業務となっているわけです。
もちろん、あらかじめ検査・治療をする人は決まっていますし、1日をタイムスケジュール通りに進めるということが基本です。
しかし、だからと言って放射線科の仕事が楽だというわけではありません。放射線科では、放射線科ならではの専門的な知識が求められるのです。
放射線科で行われる検査内容をご紹介
放射線科では、各診療科から依頼される様々な検査が行われます。代表的な検査内容をご紹介しておきましょう。
検査名 | 検査部位 | 検査内容 |
---|---|---|
一般撮影検査 | 胸部 腹部 骨 |
レントゲン撮影 |
CT検査 | 頭部 胸部 腹部 骨 |
CT装置の輪の中に体を入れ 体の周囲からX線を照射し 断面・輪切り像を撮影 造影剤を使うこともある |
血管撮影検査 | 血管 | カテーテルを血管内に通し 造影剤を流して撮影 |
DR検査 | 消化管 泌尿器 |
バリウム等の造影剤服用後 X線による透視を行う |
内視鏡検査 | 胃 食道 十二指腸 大腸 |
内視鏡を用いた検査 |
血管撮影検査の心臓カテーテル検査では、心筋梗塞の診断だけでなくその場で治療を行うことも可能となっていますね。
内視鏡検査は内視鏡室で行われるもので、こちらもその場で治療を行うケースも少なくありません。
検査方法も検査部位も多く、検査をしながら治療を行うこともあるわけですから、やはり相応の知識・そして技術が求められる診療科であると言えるでしょう。
放射線科で働くために必要なスキルと向いている人物像とは
放射線科で働くためには、どのようなスキルが求められているのでしょうか。放射線科は、最先端の医療技術、設備をしようしての治療・検査が行われます。
ですから、常に新しい知識を身につけなければいけない環境にあるわけです。もちろん、それをしっかり理解し、自分の物にしておかなければ、患者さんへの説明も説得力がありません。
その為、放射線科で働く看護師には、次のような人物が向いていると言えます。
- 常に新しい医療知識や技術を学ぶ向上心の強い人
- 放射線治療を行う患者への精神的なケアが出来る人
- 混み合う検査に対応することができるテキパキと動ける人
また、放射線科に通う患者さんにはがん患者も多くいます。
精神的なケアも大切になりますし、検査や治療は混み合っていますからその状況への対応力も求められます。
放射線科で働く看護師には、このようなスキル・心構えが求められるのです。
患者の不安を取り除くためにも、看護師自身が知識を身に付け、それをしっかりと患者に説明できるようにならなければいけません。
放射線科で働く看護師には、知識や技術、そして患者のケアを十分に行えることが求められるのですね。
メリットばかりじゃない!?放射線科の気になるデメリット
放射線科では日勤業務が主となっていますから、それだけでも大きなメリットであると考える人もいるかもしれません。
しかし、放射線科で働くことにはデメリットもあります。大きなメリットとしては、次の3つが挙げられますね。
- 夜勤がないため給与が低い
- 勉強量が多い
看護師の給与で大きいのが、夜勤手当です。
日勤が主となれば、夜勤手当を得ることができませんから給与は低めになってしまいます。
また、先進医療への知識・技術を学ぶ必要がありますから、どうしても勉強量は多くなってきます。常に進化している分野なのです。
放射線科で夜勤があるケースをご紹介
放射線科での業務は、日勤である場合が多くなっていることは紹介しました。しかし、夜勤が全くないわけではありません。
総合病院等で働き、放射線科の病棟がある場合は他の診療科と同じように夜勤があります。夜勤があるということは、それだけ収入はアップするわけですね。
放射線科の病棟では、がんや血管腫の治療を行っている患者が入院することが多いため、やはり高度な治療、そして精神的なケアが求められると言えるでしょう。
仕事は安全!?気になる放射線科での被ばくについて
放射線科で働くにあたって、被ばくも気になるところかもしれません。放射線治療では当然放射線を使用していますので、確かに被ばくの可能性がゼロとは言い切れません。
しかし、危険な場合はプロテクターを着用することになりますし、個人線量計を持つことでのチェックも行っていますから、そこまで心配することは無いのです。
日本放射線科協会のウェブサイトでは、放射線科医師の被ばくについて次のように紹介されています。
確かに、核医学診療で検査や治療を受ける患者さんに接する場合や、IVRのために、血管撮影室に入って治療を行なう場合には、放射線被曝をゼロにすることはできません。
しかし、医師が不必要な被曝をしないための、患者さんとの適切な距離の保ち方や、IVR術者の被曝を低減しながら質の高い医療を患者さんへ提供する方法などを、放射線科では新人医師が確実に習得できるように教育します。このため最近は他科の医師もIVRに積極的に参加していますが、放射線科医の被曝管理は最も合理的にできています。
引用元:日本放射線科専門医会・医会 女性医師の皆様 QAコーナー
放射線科で働くにあたって、いくつかのデメリットはあります。そのデメリットも認識した上で、働くかどうかを検討するようにしましょう。
多くの知識と経験を得ることが出来るのが放射線科のメリットではありますが、逆にそれだけの勉強をしなければいけないという面があるのも事実です。
放射線科で働くことのデメリットと言われている部分も、きちんと理解しておきたいですね。
放射線科で働く看護師の関連資格2つをご紹介
放射線科で働く上で、看護師としてキャリアアップできる資格があります。
- インターベンションエキスパートナース
- がん放射線療法看護認定看護師
この2つの資格について、それぞれ詳しくご紹介しておきましょう。
知識と技術を持っている証明!?INEは比較的取得しやすい資格
インターベンションエキスパートナースは、INEと略される資格です。以前は、認定IVR看護師という資格名でしたが、2012年に名称変更が行われていますね。
このINE資格は、最適なインターベンション治療を患者が安心して受けることが出来る、そのための知識と技術を兼ね備えたことの証明となります。
資格を取得するためには、試験に合格する必要があります。まずは、試験の受験資格をチェックしておきましょう。
看護師免許 | 看護師 実務経験 |
看護経験 |
---|---|---|
有すること *看護師・准看護師は 問わない |
3年以上 | IVR専門医またはCVIT専門医の下で 100例以上の看護経験を有する |
また、必須講習会を2年間で1回以上受講していることも求められます。その講習会とは、インターベンションエキスパートナース講習会で、各地で定期的に実施されているものです。
受講の機会を逃さないよう、注意しておく必要がありますね。
また、IVR・CVITでの症例経験ですが、除外されるものもあります。どの症例が対象となるのか、症例一覧をチェックしておくようにしましょう。
INE試験の合格率ですが、おおよそ90%以上と決して難しい試験ではありません。
資格取得後は、勤めている医療機関によっては給与アップも可能です。また、資格を持つことで相応の知識と経験・技術を持っていることがアピールできますので、転職に生かすことも出来ますよ。
熟練した技術と知識を持っていることをアピール!認定看護師とは
看護をする上で、客観的に知識や技術があることをアピールできれば良いですよね。認定看護師制度は、看護師に熟練した技術や知識があるということを示すものです。
認定看護師について、Wikipediaでは次のように紹介されています。
認定看護師 (CN : Certified Nurse) とは、日本看護協会の認定看護師認定審査に合格し、ある特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を有することを認められた者をいい、水準の高い看護実践を通して看護師に対する指導・相談活動を行う者をいう。
引用元:Wikipedia 認定看護師
認定看護師になると、認定看護師の徽章が交付され、身に付けることが出来ます。
放射線科で取得が可能な認定看護師の分野は、がん放射線療法看護です。がん放射線療法看護分野で必要とされている知識と技術について、日本看護協会のウェブサイトでは次のように提示されています。
・がん放射線治療に伴う副作用症状の予防、緩和およびセルフケア支援
・安全・安楽な治療環境の提供
引用元:日本看護協会 専門看護師・認定看護師・認定看護管理者 認定看護師
放射線治療を行う患者さんは、精神的に大きな不安を抱えています。ですから、治療法や副作用について詳しく丁寧な説明が求められるのです。もちろん、精神的なケアも行わなければいけません。不安を取り除いてあげるというのも、看護師の大切な仕事になるのです。
安全であることはもちろんですが、痛みや苦痛を出来るだけ少ない状態で治療をする、というのも大切なことですよね。その知識・技術が十分であると認められることで得られるのが、認定看護師というわけです。
認定看護師を取得することで、看護師としてのスキルアップはもちろんですが、患者さんに対しても安心感を与えることに繋がります。
認定看護師の取得には、実務経験、認定看護師教育課程の修了、認定審査を経なければいけません。
簡単に得られるものではありませんが、これからも放射線科で働きたい、転職も視野に入れているということであれば、取得を検討してみると良いでしょう。
実務経験や講習、審査を受けることが必要となってきますが、放射線科の看護師として大きな強みとなることでしょう。それぞれの資格の取得条件をしっかりと確認しておきたいですね。
放射線科は日勤業務が主だが専門的な多くの知識が求められる
最先端医療の知識・技術が求められますし、常に新しい情報に対応していかなければいけません。また、患者さんへの精神的なケアも行う必要があります。
専門的な知識が多く求められる為、向上心・やる気がないと続けて聞くのは難しい職場かもしれません。しかし、やりがいは大きいですし、自分自身のスキルアップも可能です。
メリット・デメリットをチェックし、自分に合っているか、向いているか、じっくり検討してみましょう。
ただ、日勤がほとんどだから楽だということはありません。検査方法も検査部位も多岐に渡りますし、専門的な知識も多く要する診療科であるということは確かでしょう。