アトピーや蕁麻疹などのアレルギー体質の方へ、寝る前の激しい痒み対処法
昼間の生活は我慢できても、寝る時間になると激しい痒みに襲われる。なぜ寝るときになるとあんなに痒くなるのでしょうか?
布団に入ると全身がムズムズしだしてどうにも我慢ができず、ときには暴れたくなるぐらいです。
寝るときに痒くなる原因としては一般的にダニや乾燥、ホコリなどが考えられますが、意外に知られていないのがストレスや疲れからくるアレルギー症状の痒みなんです。
ダニや乾燥などが原因だと思って、布団を干したりシャンプーやボディソープを低刺激のものに変えたのに痒みがおさまらない場合は、ストレスや疲労が原因かもしれません。
ストレスや疲れはアレルギー症状を悪化させる大きな原因で、寝るときに激しいかゆみを引き起こします。
今回は痒みを引き起こすやっかいな物質「ヒスタミン」について説明し、寝るときの激しい痒み対策と改善法を紹介します。ここで紹介する方法を実践し、一日も早く夜の激しい痒みから解放されましょう。
過剰に分泌されるヒスタミンが、夜の激しい痒みを引き起こす
最近ストレスが溜まっていたり、働きづめで疲れているという方で、夜になると全身に激しい痒みを感じるのは、アトピーや蕁麻疹など何らかのアレルギーをお持ちの方でよくある症状なんです。
自律神経が正常な場合、交感神経と副交感神経にある程度のバランスがとれています。
しかし、ストレスや疲れが溜まってくると、交感神経の働きが活発になるため交感神経側に過剰に偏ってしまいます。
寝る時間になると交換神経優位な状態から副交感神経が優位な状態に変化します。
自律神経のバランスが悪いとその変化の度合いが大きくなり、痒みの原因となるヒスタミンが過剰に分泌されます。
アレルギー体質の方は、このヒスタミンの分泌に反応し、抑えられないぐらいの激しい痒みに襲われるというわけです。
痒みには応急措置として内服薬と外用薬を併用する
一度かいてしまうとそのときは痒みが治まりますが、その後にさらにひどい痒みがぶり返してきます。炎症を悪化させないためには、痒くてもかかないよう応急処置が必要です。
アレルギー体質の痒みには、ヒスタミンの働きを抑えるため抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬などの内服薬を服用します。
抗ヒスタミン薬は即効性があるので痒くなったらすぐに飲んでください。
副作用として、眠気やだるさを感じる場合があります。
夜寝る前の痒みに対して服用する場合は、眠気を感じても問題ないですが、日中の使用時には服用後に車の運転などは避けるよう注意してください。
一方、抗アレルギー薬には副作用は少ないですが、抗ヒスタミン薬に比べると即効性が低いというデメリットがあります。
しかし、抗ヒスタミン薬や抗アレルギー薬も、痒みを完全に抑えるわけじゃないんです。
服用してもまだ痒みが我慢できない場合は、ステロイド軟膏などの外用薬を併用するのが一般的な対処法です。
根本的解決は、リラックスして自律神経のバランスを整える
薬での応急措置も炎症を悪化させないために大切なことですが、重要なのはやはり根本的な解決です。
アレルギー性の痒みは、ストレスや疲れを原因とした自律神経の乱れからひどくなります。
残業や不規則な生活、人間関係のストレスを抱えて交感神経に過剰に偏りがある場合は、副交感神経を高めて自律神経のバランスを整えることがアレルギー対策へのカギとなります。
薬での応急処置を続けながら、根本的な問題である自律神経のバランスを調節しましょう。
自律神経を整えるために日常から副交感神経を高めるには、次の6つが手軽にできてお勧めです。
- 姿勢を正して深呼吸をする
- 爪もみを行う
- 音楽を聞いてリラックスする
- 心から笑う
- ゆっくり食事をする
- ぬるいお湯で半身浴
1、姿勢を正して深呼吸をする
健康状態が悪いと人の体はだんだんと丸まっていきます。まずは指先から首、背筋と思い切り伸ばして深呼吸しましょう。
深呼吸をするポイントは、腹式呼吸を行うことです。
鼻からゆっくり息を吸い込み、お腹に空気を貯めていきます。
次に口からゆっくり空気を出し、お腹をへこませてください。このとき、空気を吸うときの倍ぐらいの時間をかけてゆっくり吐き出すのを意識しましょう。
腹式呼吸をすると、肺の下にある横隔膜が上下運動しますが、この横隔膜に自律神経が密集しているため、吐く息を意識的にゆっくりとすればするほど、自律神経を刺激し、副交感神経が優位になるというわけです。
そのあと、手足をぶらぶらさせて、全身の血流を良くします。日頃から背筋を伸ばして良い姿勢を保つように心がけてみてください。
また、瞑想もこころを落ち着かせて副交感神経を優位にしてくれます。「1分で眠れると話題の478呼吸法!夜眠れないときは瞑想が効く!」の記事では、寝る前に行うとリラックスできる瞑想方法について紹介していますので、ぜひ試してみてください。
2、爪もみを行う
指の爪の付け根をもう一方の親指と人差指で揉むように、指一本につきだいたい10秒ほどマッサージしてください。すると、血流がよくなり自然と副交感神経が優位な状態になります。
これは爪の付け根に神経線維が密集していて、刺激を与えやすいポイントだからです。
肩もみなどと違い、仕事の資料を読みながらとか、テレビを見ながらなど、自分で気軽にいつでもできるのが嬉しいですね。
3、音楽を聞いてリラックスする
音楽は副交感神経を高めるのにとても良い方法です。
周辺の雑音を避け、できればヘッドホンを使用して約20分ぐらい聞き流してみましょう。
音楽によるリラックス効果は科学的にも証明されています。しかし、ロックや激しいダンスミュージックではなく、ゆったりとしたクラッシックかヒーリング・ミュージックを選択してください。
時間がない場合は昼休み中や帰宅途中の電車内でも構いません。ひとときでも仕事の嫌なことを忘れて音楽を聞き、ストレス軽減を図ってみましょう。
4、心から笑う
「笑い」は副交感神経の反射と言われるぐらい、笑うことは副交感神経を高めるのにとても効果があります。
米ロマリンダ大学のリー ベルク博士は「笑いには、ストレスを解消し、緊張をやわらげる作用があります。治療が長期にわたる疾患では、笑いを生活に取り入れて、ストレスをコントロールすることが大切です。」と述べています。
笑うと副交感神経が高まり、ストレスホルモンの分泌が減少するため交感神経の高ぶりを抑え、自律神経のバランスが良くなります。
お笑いを見たり、友達や恋人と話したりして、周りを気にせず心から笑ってください。
笑うことはストレスを軽減するだけでなく、血糖値や血圧を下げたり、免疫力を上げるなど様々な効果があります。
ストレスは感じていないと思っても、積極的に普段の生活に取り入れてみましょう。
5、ゆっくり食事をする
物を噛む、消化する、吸収するといった食べる事に関係する器官は、全て副交感神経の働きから行われています。
つまり食事をすれば自然と副交感神経の働きが活発になり、同時に抗ストレス作用も働きます。
しかし何でもいいから食べればいいというわけではありません。時間がないからといって歩きながら食べたり、仕事をしながら食べては、副交感神経だけでなく交感神経も刺激してしまいます。
両方の神経が刺激された場合、人間の体は交感神経の働きを優先する性質がありますので、せっかくの食事もムダになってしまいます。
ゆっくり落ち着いて、時間をとって食べてください。
6、ぬるいお湯で半身浴
42℃以上の熱いお風呂は、交感神経が刺激されて活発になるので控えてください。38~40℃のぬるま湯で半身浴につかれば、副交感神経が優位になります。
時間はだいたい15分ぐらいで結構です。ぬるま湯の場合は長い時間つかっていられるので、ゆっくりと体を芯から温めることもできます。
お風呂はよく眠るためにとても重要な生活習慣です。「睡眠とお風呂の関係!よく眠るための入浴方法はこれ!」の記事では、よく眠れるお風呂の入り方について書いていますので、よければ参考にしてください。
いかがでしょうか?どれも日頃の生活の中で、簡単に実践できるものばかり紹介してみました。最後にとても重要なことがあります。
それは、毎日規則正しい生活を送ることです。
まずは、起きる時間と寝る時間を毎日同じ時間に合わせてください。そうすることで自律神経のバランスは徐々に整っていくんです。
ストレスや疲れを解消し、自律神経のバランスを整えて痒み対策
仕事が忙しい状況が続くとストレスや疲れも溜まり、交感神経が高ぶりやすくなりますが、ここで紹介した副交感神経を高める方法を実践し、自律神経のバランスを整えてください。
どうしても痒くて我慢できない場合は、ヒスタミン作用を抑える抗ヒスタミン薬などを服用して応急処置を行い、炎症を悪化させないことが痒み解消への近道になります。
正しい対策で、一日も早くぐっすり眠れる夜が迎えられますように。