看護師のスキルアップ方法を紹介!おすすめの転職先と資格
「看護師の仕事にも慣れ、新しく覚えることが少なくなってきて、次へのステップアップを探している」「もっと自分の得意分野を活かして仕事がしたい!」など、ある程度の経験を積んだ看護師のなかにはキャリアアップを意識している人も多いのではないでしょうか。
そこで今回は、看護師のキャリアアップ・スキルアップ方法を紹介します。
看護師のキャリアアップやスキルアップには、さまざまな道があります。看護師の経験さえあれば、治験コーディネーターや老人ホームなど、病院以外でも活躍できるんですよ。
また専門看護師や認定看護師の資格を取ると、特定の分野でスキルアップできます。病院によっては待遇が良い場合もあり、転職に有利になることも。
どんな方法でキャリアアップ・スキルアップするか決めるには、まず自分がどんな看護師になりたいのか考えてみましょう。自分の得意分野や看護観を明確にすることで、今後の方向性も見えてきますよ。
看護師の管理職へキャリアアップ!経験を活かして新たな業務に挑戦
勤続年数の長い看護師のなかには、管理職へのキャリアアップを目指している人もいるでしょう。昇進の話を受けようか迷っている人もいるかもしれません。
看護師の管理職は次の3種類です。
役職 | おもな業務 |
---|---|
看護部長 総看護師長 |
・看護部の人事に関する業務 ・看護師教育 ・病院経営に関する業務 ・運営方針、年間目標の決定 |
看護師長 | ・シフトの作成や管理 ・所属部署の業務改善 ・クレーム対応 |
主任 | ・看護師長不在時の代理業務 ・看護師の指導やサポート ・シフト管理 |
看護師の管理職に必要なのは、看護のスキルだけではありません。所属部署の看護師や上司と信頼関係を築くための、コミュニケーションスキルも重要になってきます。責任や負担は大きくなりますが、自分の経験が活かせるのでやりがいがあります。
管理職には役職手当が付くので給料も上がります。
しかし看護師の管理職は夜勤が減ることが多く、夜勤手当がなくなり年収が少なくなる場合もあります。
昇給しても「管理職の業務内容や負担に見合った金額ではない」と不満に感じる可能性も。そのため昇給だけを目的とした管理職へのキャリアアップは、おすすめできません。業務内容やメリット・デメリットをよく理解した上で目指しましょう。
看護師のキャリアアップ先は多い!資格取得が必要な仕事もある
看護師はこのように、さまざまな形でキャリアアップできます。
キャリアアップ先 | おもな仕事内容 |
---|---|
治験コーディネーター(CRC) | ・新薬開発のサポート |
老人ホーム | ・入居者の健康管理 ・リハビリ ・薬の管理 |
訪問看護師 | ・患者の自宅でのケア |
美容整形外科 | ・医師の手術の介助 ・器具・薬剤の管理 |
専門看護師 | ・特定の分野で専門性の高い看護 |
認定看護師 | ・専門看護師より細分化された分野で高水準の看護 |
助産師 | ・出産の立ち会いや介助 ・妊婦の健康管理 ・新生児の保健指導 |
これらのキャリアアップの道には、特別な資格が必要なものと、看護師の免許さえあれば可能なものがあります。
では、資格取得が必要なものから見ていきましょう。
看護師におすすめの資格を紹介!特定の分野でスキルアップ
看護師免許に加えて次のような資格を取得すると、より専門的な分野でキャリアアップできます。
- 助産師国家資格
- 専門看護師
- 認定看護師
このうち専門看護師と認定看護師は、日本看護協会が認定している資格です。
資格取得によるキャリアアップは、得意分野や興味のある分野が明確な看護師におすすめです。また取得した資格を活かすことができ、資格を持っていれば待遇が良くなる病院に転職することでより意味のあるキャリアアップができます。
それぞれの資格について詳しくご説明します。
助産師の資格は働きながらでも取得できる!
お産の手助けをする助産師は、病院の産婦人科や助産院、産前・産後院などで勤務します。
正常分娩なら、医師の指示がなくても行うことができるのが特徴です。また助産師になって経験を積めば、助産院を開業し、独立して働くことも可能です。
助産師になるのを目標に、まず看護師としての経験を積む人もいるんですよ。
助産師になるための条件は、助産師養成学校で1年勉強すること、それから助産師国家資格に合格することです。
看護師の仕事をしていたら、助産師養成学校に通う時間なんてないですよね。でも病院によっては助産師を目指す看護師のために、次のようなサポートをしてくれるところもあるんです。
助産師養成学校に通っている期間は、出張扱いとして月給制になる。
2.総合病院
月ごとに奨学金が支給される。休暇取得も可能。
3.産婦人科や専門医院
助産師学校への推薦をしてもらえる。
もし今の勤務先で助産師の資格取得が難しければ、まずこのようなサポート体制が整っている病院へ転職しましょう。
看護師の転職サイトに登録すると、専属のコンサルタントが看護師の希望に合った病院を探してくれますよ。
転職する病院選びについては「看護師必見!転職時に病院選びで失敗しない情報収集のポイント」を参考にしてください。
患者の人間関係にも介入!?専門看護師の看護分野と取得方法
専門看護師は、専門性の高い看護サービスの提供を目的としています。看護分野は次のとおりです。特定分野で知識を深め、技術を磨いて資格を取得できるので、それが自分の強みになります。
さらに専門看護師は患者の疾患だけでなく、人間関係にも介入してサポートすることもあるんですよ。
では専門看護師の資格を取得するには、どうすればいいのでしょうか?資格取得には、まず次の2つの条件をクリアする必要があります。
- 日本看護系大学協議会指定の大学院を修了する
- 5年以上の実務経験がある
(うち3年以上は専門分野での看護経験)
大学院での博士課程を修了すると、専門看護師の認定審査を受けることができます。そして認定審査に合格すると、専門看護師の認定証が交付されます。
より細かい分野で高水準の看護ができる認定看護師
認定看護師の場合、専門看護師よりも看護分野が次のように細分化されます。
認定看護師の資格を取得するための条件は、専門看護師とは少し違ってきます。
- 日本看護協会指定の教育機関で勉強する
- 5年以上の実務経験がある
(うち3年以上は専門分野での看護経験)
そして専門看護師と認定看護師の資格は、5年ごとに更新をしなければなりません。資格の更新は次の手順で行います。
- 日本看護協会のホームページからWEB申請する
- 審査料30,240円を振り込む
- オンライン書類を提出する
- 申請書類を提出する
- 認定更新審査に合格したら登録手続きをする(認定料振込:20,520円)
病院以外でも活躍できる!看護師のキャリアアップにおすすめの転職先
看護師の実務経験が活かせる転職先は病院だけではありません。
自分の理想とする看護や勤務条件、それから学びたいことなどから転職先を選ぶとキャリアアップにつながります。
看護師のキャリアアップにおすすめな転職先は次の4つです。
- 治験コーディネーター
- 老人ホーム
- 訪問看護師
- 美容整形外科
では順番に説明していきます。
臨床経験を活かせる治験コーディネーター
治験コーディネーターは、新薬の治験を行う医療機関や製薬会社、それから被験者などの架け橋となる仕事です。
治療や薬品に関する知識が一番必要にも思えますが、即戦力になるのは患者とのコミュニケーション能力がある看護師なんです。
まだ世に出ていない新薬を使う治療は、患者にとっては不安が大きいですよね。治験コーディネーターは患者の気持ちに寄り添い、不安を取り除くことで精神面をサポートします。
看護師の臨床経験を活かしてキャリアアップできますし、経験を積めば看護師より年収が多くなりますよ。
治験コーディネーターの詳しい仕事内容やメリット・デメリットについては「治験コーディネーター(CRC)で看護師以上の年収を狙おう」を読んでみてください。
一人一人の利用者と向き合うなら老人ホームに転職
老人ホームでの看護は、仕事量はそこまで多くありませんが、有料の老人ホームには医師が常在していないのが一般的です。
そのため入居者に何かあったときの対応は、看護師が自分で判断することになります。
責任重大ですが、ある程度の経験を積んだ看護師だからこそできる仕事なのでキャリアアップにつながります。
ただし病棟での勤務ではないので、習得した医療技術を使う機会は少なくなります。看護師としてはスキルアップが難しいことを理解しておきましょう。
老人ホームへの転職は、医療技術の向上よりも、利用者一人一人とじっくり向き合うことを重要視している看護師におすすめなキャリアアップです。
老人ホームの詳しい仕事内容については「看護師が活躍できる老人ホームでの仕事内容と気になる年収」をご覧ください。
実務経験が患者と家族からの信頼につながる訪問看護師
訪問看護ステーションへの転職は、十分に臨床経験を積んだ看護師におすすめなキャリアアップです。
訪問看護は、1人で患者の自宅を訪問してケアを行う仕事。そのため老人ホームでの仕事同様、緊急事態でも落ち着いて対応できる看護師でなければ務まりません。
また患者だけでなくその家族のサポートも行うので、一般の病院で行う看護より高いコミュニケーション能力が必要とされます。
訪問看護師の経験を積んでから病棟での勤務に戻ったときには、以前より患者や家族の気持ちを考えた看護ができるようになりますよ。
全て1人で行う分責任重大ですが、やりがいのある仕事です。訪問看護師に興味のある人は「訪問看護師に転職して需要が広がる在宅医療を支えよう」を見てみてくださいね。
未経験でも研修を受ければ大丈夫!美容整形外科への転職
美容整形外科の看護師は主に、医師の手術の介助、それから患者のカウンセリングを行います。
オペの経験がなくても、研修制度のある美容整形外科なら一から指導を受けられます。新しい分野に挑戦したい看護師におすすめのキャリアアップ方法です。
夜勤がないうえに年収は高めなので、待遇面の良さで転職する人もいます。
しかし美容整形外科では、看護学校や一般の病院で身につけた医療スキルを使うことがあまりないので、医療技術を磨く機会は少なくなるんです。
また美容整形外科での勤務は臨床経験とはみなされず、再び一般の病院に戻って働こうとしても新卒扱いになるので、よく考えてから転職しましょう。
美容整形外科での仕事については、「夜勤なし!美容整形外科で働く看護師のメリット・デメリット」で紹介しています。
海外の医療を学んでスキルアップ!国際看護師と看護ボランティア
英語などの外国語が得意な看護師や、日本以外にも活躍の場を広げたい看護師には、国際看護師や看護ボランティアとして働くのもおすすめです。
国際看護師は看護留学などで外国の看護師免許を取得し、その国に定住して長期的に勤務する看護師です。
アメリカでは上位職位に就くと医師と対等な立場で仕事ができたり、ニュージーランドでは介護医療を重点的に学べたりと、国によってスキルアップの方向性も違ってきます。
国際看護師としての看護経験は、日本に帰国してからの仕事に活かせることも。転職の際には、面接で自己アピールできるのもメリットです。
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「青年海外協力隊」や「国境なき医師団」などの国際看護活動を行っている団体に加盟すれば、発展途上国での看護ボランティアに参加できます。
国によって医療設備の整い方も違うので臨機応変に対応する必要があり、治安状況の悪い国での活動は危険を伴いますが、看護技術だけでなく心の成長にも繋がるやりがいのある仕事です。
国際看護師や看護ボランティアに興味のある人は、「海外の医療を学べる国際看護師と、活躍の場が広がる看護ボランティア」を読んでみてください。
ツアーナースについては「ツアーナースは旅行好き看護師におすすめ!転職サイトは複数利用して」で詳しく解説しています。
せっかく取得した資格をムダにしないために!転職サイトで病院選び
最初にも書きましたが、キャリアアップの計画を立てるときのポイントは、まず自分がどんな看護師になりたいかを明確にすることです。
患者に対してどんな看護を行いたいのか、専門的に技術を磨きたい分野はあるのか、勤務条件や待遇にもこだわりたいかなど、自分の将来像を思い描きながら考えてみてください。
また自分がスキルアップしたい分野に力を入れている病院や、取得した資格が活かせる病院への転職ができなければ、理想的なキャリアアップはできません。
病院を選ぶときには看護師の転職サイトを利用し、専属のコンサルタントと相談しながら慎重に転職先を決めましょう。