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訪問看護師に転職して需要が広がる在宅医療を支えよう

訪問看護師に転職して需要が広がる在宅医療を支えよう

病棟の夜勤がつらくて日勤のみの病院に転職しようにも、給料が大きく下がっちゃうのを心配してなかなか踏み出せない看護師の方はいませんか?

そこで今回は、日勤のお仕事なのに病院より稼げる訪問看護のお仕事について紹介します。訪問看護師はこれからの日本のニーズに合った看護サービスで、すでに5万人近くの看護師が働いています。

病棟のようにチームで看護を行うのではなく1人で患者さんを受けもつので、自分が主役となって患者さんをサポートすることができるんです。その分、患者さんとのつながりが深くなったり、大きなやりがいを感じることもありますよ。

それでは仕事内容から気になる年収、転職する際の注意事項までくわしくお伝えしましょう。

需要が広がる!在宅医療を支える訪問看護師とは

訪問看護とは看護師が患者さんの家を訪問し、バイタルチェックや健康相談などを行う業務です。高齢者の中には「自宅で療養したい」という方も多く、在宅看護はここ数年広がる一方なんです。

また、本人の希望だけじゃなく近頃は医療費を抑えるために在院日数が短縮され、退院を余儀なくされる患者さんも多くなりました。

そういった方々へ看護サービスを提供する訪問看護ステーションが全国に増え、在宅での看護が身近なものになっています。

訪問看護ステーションとは

自宅療法を希望する方へ、訪問看護師を送るサービスを行っている事業所のこと。事業所には、看護師以外にも理学療法士や保健師、助産師が在籍している場合もあります。

訪問看護の需要が増えた要因は、次のようなものがあります。

  • 高齢化が進み、要介護者が増えた
  • 医療費が高騰し、病院で入院を続けるのが難しくなった
  • 在宅の看護も一般的になり、それを望む人が増えた

医療の技術進歩により、高齢者は今後も増加傾向にあるので、この流れはどんどん加速していくでしょう。

訪問看護師の需要も増え、今以上に訪問看護ステーションが身近になると予想されます。

核家族化や少子高齢化が進んでいる日本では、高齢者に対する訪問介護の需要が増えてきました。

また、訪問介護のサービスが普及したことにより、病院より自宅での看護を望む声も多くなり、この傾向はますます大きくなっているようですよ。

日々の健康管理が大切!訪問看護師の仕事内容

訪問看護師は具体的に次のような業務を行います。

  1. バイタルチェックなどの健康管理
  2. 点滴や注射などの医療行為やリハビリ
  3. ご家族のサポート

1、バイタルチェックなどの健康管理

訪問看護師が患者さんのお宅へ到着し、まず決まって行うのが体温や血圧、脈拍測定などのバイタルチェックです。毎日のデータをとり、小さな変化はないか慎重にチェックします。

またバイタルチェック中にも患者さんと会話をし、本人の話し方や声、感情などに違和感がないか確認します。

健康状態にいつもと違うことがないか調べることが、日常の大切な業務です。

2、点滴や注射などの医療行為やリハビリ

訪問看護師は医師の指示で次の業務を行います。

  • 点滴、インシュリン注射など医療行為
  • 人工呼吸器、持続点滴などの医療機器の管理

また、寝たきりの高齢者は筋肉や関節が固まりやすいため、その予防を行う必要があります。身体機能が落ちないよう自分でできることは自分でやってもらい、リハビリを兼ねて過度な看護を行わないよう気を付けましょう。

3、ご家族のサポート

患者さんに対してだけではなく、患者さんをかかえるご家族へのサポートも重要なお仕事です。患者さんの介護は一般の人にとって体力的にも精神的にも大きな負担がかかります。ご家族の介護疲れが少しでも和らぐようサポートしましょう。

具体的には、患者さんの健康状態を知らせ病気について説明したり、介護する上での注意点や必要なことを適切にアドバイスすることです。

患者さんをかかえるご家族はわからないことが大きなストレスになり、介護に対して先の見えない大きな負担を感じています。

そこをサポートするだけでも訪問看護を頼んでよかったと感謝されること間違いありません。

病棟で行うバイタルチェックなどの業務を、契約者の各家庭を周って行います。

同居しているご家族に、患者さんの状態をわかりやすく説明し、介護の不安を取り除くのも訪問看護師の重要なお仕事です。

訪問看護師の1日のスケジュールについて説明する

次に訪問看護師の1日の仕事スケジュールについて説明しましょう。

9:00 朝礼、訪問先へ出発
9:30 午前の訪問看護(1件)
11:30 午前の訪問看護終了、訪問看護ステーションへ移動
12:00 昼食
13:00 午後の訪問先へ移動
13:30 午後の訪問看護(3~4件)
17:00 午後の訪問看護終了、訪問看護ステーションへ移動
17:30 日報作成、業務報告、次の日の準備
18:00 退社

訪問先によって行う業務も違いますので、1日に何件など決まりはありませんが、だいたい4~5件ぐらい訪問します。

移動には自転車や原付バイクを使用しますが、訪問看護ステーションや訪問先によっては車で移動する場合もあります。移動範囲は自転車でも約20分程度、半径5km圏内などなるべく近くなるよう予定を組んでもらえます。

予定の訪問先を全て周ったら、訪問看護ステーションに帰って患者さんの健康状態や体の異常について記録用紙にデータを残しておきます。

バイタルチェックなどのルーチンワークが多く、慣れてくると作業時間も短縮できて訪問件数も増やすことができます。

訪問先についても訪問看護ステーションが調整してくれるので、なるべく移動距離が少なくなるよう調整してくれますよ。

意外と高い!訪問看護師の年収は夜勤なしでも約450万円

訪問看護師の年収は、約450万円です。

病棟で働く看護師の平均年収が約470万円なので、それよりちょっと下がるといったぐらいでしょうか。

しかし、夜勤がない病院の看護師年収は約390万円なので、訪問看護師の年収は日勤のみで比べた場合、比較的高い部類に入ります。

日勤のみで収入を増やしたいと思った看護師は訪問看護師になることをおすすめします。

訪問看護師の中には年収500万円以上の人もいて、働き方や経験で年収アップも期待できます。というのも訪問看護師の給与形態は大きく2種類あり、固定給と歩合給に分かれます。

固定給とは時給や月収や年収が決まっている場合で、訪問看護師の平均時給は約1800円、月収だと約28~32万円です。

歩合給とは、訪問した件数によって給料が変わるシステムで、頑張れば頑張っただけ給料が上がります。訪問看護師で、歩合給の相場は1件につき約3000~4000円です。

訪問看護師の求人情報には、勤務形態が選べたり固定給か歩合給か選べる訪問看護ステーションもあります。経験を積んで年収500万円以上稼いでいる訪問看護師もたくさんいますので、日勤のみで高収入を得たい人は、訪問看護師を目指してみてください。

訪問看護師は夜勤はないので、病棟勤務の場合と比べて年収は落ちるかと思いますが、そこまで低いわけではないようです。

給与体系が月給だけじゃなく、時給や歩合など自分の働きやすいスタイルに合わせられるので、看護師資格を持った方にオススメの転職先です。

大きなやりがいを感じられる!訪問看護師のメリット4つ

次に訪問看護師のメリットについて紹介します。

  • 夜勤がない
  • 土日休みが多い
  • 給料が比較的高い
  • ご家族とのつながりが深い

訪問看護師のお仕事は、日勤のみで土日休みの訪問看護ステーションも多いので、病棟勤務の場合と比べると好条件なのが嬉しいですが、それにも関わらず給料が高いのも大きなメリットです。

また実際に訪問することで、患者さんやご家庭の方々との距離が縮まり、深いつながりを持つことができます。

訪問を楽しみにしてくれる患者さんも多く、看護師として大きなやりがいを感じられます。

訪問看護は今後需要も拡大が予想されるので、この分野で経験を積んでいけば将来お仕事に困ることはないでしょう。

訪問看護師はプライベートを充実させることができます。

夜勤や休日出勤がないのに年収もそこそこもらえる訪問看護師は、今後需要も増えますし、人気が高まる職種になること間違いありません。

夜間や休日対応も!訪問看護師のデメリット3つ

次に訪問看護師のデメリットについて紹介します。

  • オンコール対応がつらい
  • 1人で判断するのが難しい
  • 患者さんやご家族との人間関係が難しい

訪問看護ステーションの中には、オンコール対応を行っているケースもあります。

電話のみで解決できる場合もありますが、ときには夜間や休日に現地まで訪問しなきゃいけないケースもあります。

オンコール対応があるかないかは求人情報でよく確認し、ある場合はどのような条件かしっかり確認しておきましょう。

また、訪問看護は基本的に1人で患者さんのお宅を巡回します。病院では周りの医師や看護師に相談しやすい状況があっても、訪問看護師の場合は1人で行動しているため気軽に相談とはいきません。

命に関わるような大きな問題が起きた場合でも、まず何をするべきか自分で判断して最善を尽くす必要があります。

そのため、ある程度の臨床経験は転職前に積んでおくほうが良いでしょう。

さらに転職したばかりで前の担当者から患者さんを引き継ぐ場合に、患者さんやご家族の方から前の訪問看護師と比較され、厳しいクレームが入る場合もあります。

訪問看護ステーションの教育体制が整っておらず、始めから先輩看護師と同じような仕事はできないかもしれませんが、患者さんの立場になって親身にサポートを続けていけば、そのうち信頼関係も築けるでしょう。

夜勤や休日出勤がなくても訪問看護ステーションによってオンコール対応を行っている場合もあります。

ときには休日に患者さんのお宅まで対応しに行かなきゃいけないときもあるので、覚悟しておいてください。

訪問看護師に転職する場合の訪問看護ステーションの選び方

ここで訪問看護師に転職する際、求人情報で気を付けなきゃいけないチェックポイントについて紹介します。転職して後悔しないためにも、次の項目にはしっかり目を通しておいてください。

  • 教育体制
  • オンコール対応や休日出勤
  • 福利厚生や給料
  • 訪問手段や交通費

チェックその1:教育体制

経験者の場合は特に心配することもありませんが、訪問看護師が未経験の場合は、職場環境が病棟とは全然違うため、教育体制が整っている訪問看護ステーションを選ぶことをおすすめします。

なかにはいきなり一人で訪問するよう指示される訪問看護ステーションもあるので、知識や経験の面で自信がない場合は、始めのうちは2人体制で訪問するなど職場に教育体制があるかどうか事前に確認しておいてください。

チェックその2:オンコール対応や休日出勤

オンコール対応があるかどうか、休日出勤があるかどうかも転職先を選ぶ重要なポイントです。子育てなどの関係で平日の日中しか働けない方もいると思いますので、求人情報や面接時にしっかり確認しておきましょう。

オンコール体制がある訪問看護ステーションの場合は、オンコールの頻度や対応をした場合の手当についても面接時に尋ねてください。

チェックその3:福利厚生や給料

訪問看護ステーションは比較的少ない資本で開業ができますので、個人やNPO法人で運営している事業所も多くあります。まだ開業して間もなかったり小規模な事業所だと、経営が安定するまで人件費を削り、多くの患者さんを少ない看護師で対応する職場も少なくありません。

そういう場合は福利厚生が充実していない、給料が低いなどの問題点も多いので仕事内容や休日だけでなく、待遇についてもしっかり確認しておいてください。

チェックその4:訪問手段や交通費

訪問看護ステーションによって訪問時に使う交通手段は違います。都市部だと訪問先同士が近かったり、駐車場がない関係で自転車を使ったり、地方の場合は車を使うので自動車免許が必要だったりします。

訪問に使用する自転車や車は、訪問看護ステーションのものを使用するのか?車の場合、ガソリン代はどのように支給されるのか?など、後々トラブルにならないよう事前に確認してください。

意外と見落としがちなのが、歩合給の場合の交通費です。訪問先までの交通費が歩合給に含まれているのか、応募前に確認してください。

車で移動の場合は、ガソリン代や駐車場代についても確認しておく必要があります。

今すぐチェック!訪問看護師にむいてる人とは

訪問看護師へ転職に興味が出てきた方へ、次に訪問看護師にむいている人を紹介します。

訪問看護師にむいている人
  • 高齢者の患者さんとコミュニケーションがうまくとれる人
  • 言葉にしなくても相手の気持ちを察することができる人
  • 報告、連絡、相談がちゃんとできる人
  • 臨床経験が豊富な人

患者さんはほとんどが高齢者のため、高齢者とうまくコミュニケーションがとれる人じゃないと、訪問先に向かうのが苦になってしまいます。

また1人で訪問するため、何か問題があった場合は早めに相談や報告ができる人じゃないと、間違った判断をしてしまった場合は、後々大きなトラブルを引き起こしてしまう危険があります。

訪問看護師は1人で業務を進めるため責任も大きく、看護に関する知識や経験も必要なので、3年以上の臨床経験が必要な訪問看護ステーションも多いです。

病棟勤務と違って、ある程度の判断は周りを頼らず自分ひとりで行う必要があります。

看護経験が浅い人は、訪問看護のお仕事はまだ避けたほうがいいでしょう。

患者さんだけじゃなく、介護者もサポートする訪問看護師

医療費が高騰し、高齢化が進む日本では今後在宅医療を選ぶ人も増えていきます。ここで問題になるのがニュースでも聞いたことがある人もいるかと思いますが、介護疲れに苦しむご家族の存在です。

ひどい場合はうつ病になったり、心中を図る事件もありますが、訪問看護師はこのような患者さんをかかえるご家族のサポートも行う重要なお仕事です。

患者さんだけでなく、ご家族からも頼られる訪問看護師に興味が出た方は、近くに訪問看護ステーションがあるかどうか確かめてみましょう。

看護師専門の転職サイトを使えば、家の近くにある訪問看護師の求人情報を見ることができます。先ほど紹介した求人広告で気を付けるポイントに注意して、一度話を聞いてみてください。