看護師からCRA(臨床開発モニター)に転職!未経験から始める治験
「夜勤のない職場で働きたい」「病院以外の場所で働いてみたい」「キャリアアップしたい」と考えている人もいるのではないでしょうか。そんな人におすすめなのがCRA(臨床開発モニター)です。
CRAは新薬を開発をする治験が、ルールや計画書に沿って適切に行われているかモニタリングする仕事です。新薬を開発するために、治験を行う全国の医療機関を飛び回ります。外資系企業の場合は海外出張もあるので、アクティブに働きたい人に向いています。
CRAには新薬を開発するというやりがいがありますが、平均年収が看護師よりも高いので、年収面のキャリアアップとして転職する人もいるんですよ。ここではCRAの仕事内容や年収、メリット・デメリット、転職やキャリアアップに役立つ資格を紹介します。
CRA(臨床開発モニター)の気になる仕事内容と年収!
CRAは企業看護師の1つです。企業看護師とは企業に就職して働く看護師を意味し、大きく4つに分けられているんですよ。
職種 | 仕事内容 |
---|---|
CRA(臨床開発モニター) | 治験をモニタリングする |
CRC(治験コーディネーター) | 新薬の開発補助をする |
CC(クリニカルコーディネーター) | 取引先に商品説明を行う |
産業看護師 | 企業の医務室に勤める |
企業看護師の1つである治験コーディネーターについては「治験コーディネーター(CRC)で看護師以上の年収を狙おう」で詳しく説明しています。
治験をモニタリングするのがCRAですが、実はそれ以外にもいろいろな業務があります。ここでは多岐に渡るCRAの仕事内容と、気になる年収を紹介します。
治験を企画から終了まで管理するCRAの仕事内容!
CRAは医薬会社からの依頼を受けて、治験の企画立案を行い、治験を実施する医療機関を選定、プロジェクトが終了するまで調査・確認を行います。
CRAの仕事を4つのプロセスに分けて説明していきます。
1、治験開始前の仕事
- 医療機関と医師の選定を行う(GCPの理解度、被験者を集められるかを確認)
- 治験審査委員会がプロジェクトの承認を行う
- 治験契約書を作成(概要のほか、費用や賠償金額について記載)
- 治験審査委員会にて承認を受ける
2、治験開始時の仕事
- 医師や看護師、CRC、薬剤部などに実施する治験の説明を行う
- 被験者向けの同意説明文書を作成する
- 治験に協力してくれる被験者を探す
3、治験のモニタリング開始
- GCPと治験実施計画書が守られているか確認
- 症例報告書を確認し回収する
- 原資料と症例報告書を照合し、ミスがないか確認
- モニタリング報告書を作成する
4、治験終了時の仕事
- 治験薬や症例報告書などを回収するとともに書類に不備がないかを確認
- 医薬品メーカーの書面・実施調査と申請処理を行い治験は終了
治験中に患者の容体が悪化したなどの問題が起こった場合は、医師に病状の程度を判断してもらう。重篤な場合は治験審査委員会へ報告し、同じ治験を行う医療機関に連絡する。
プロジェクトの企画立案に責任医師の選定、と聞くとなんだか難しそうですよね・・・安心してください。CRAは業務を始める前に1カ月ほど研修をする会社が多いんですよ。
年収1000万円も夢じゃない!CRA(臨床開発モニター)は高年収
仕事内容がわかったところで気になるのが年収ですよね。CRAは昇給率の高い職なので年収アップすることもできますよ。病院では1年に数千円しか年収が上がらない場合が多いですが、CRAは年に1万円以上昇給します。多い人では20万円以上年収が上がるんですよ。
それではCRAの平均年収を勤務年数別に見てみましょう。
CRA勤務年数 | 平均年収 |
---|---|
1年目 | 420~510万円 |
3年~5年目 | 500~600万円 |
CRA全体の平均年収は550~700万円、看護師がCRA未経験で転職した場合は420~510万円ほどの年収を提示されることが多いです。看護師の平均年収は470万円なので、転職1年目の年収は看護師とほとんど変わりません。
ですが、CRAは経験3年~5年で500~600万円台まで上がるので、数年で病院に勤める看護師の平均年収を上回ります。
個人の能力次第で昇給したり役職がついたりすれば、800~1000万円以上の年収を手に入れることも可能です。
新薬開発を見守るCRA(臨床開発モニター)のメリット・デメリット
CRAのメリットはプライベートを充実できるところ、デメリットはプロジェクトによって残業がある点です。
CRAにはそのほかにも様々なメリット・デメリットがあります。さっそく確認してみましょう。
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CRAのメリット
- 新薬を開発するやりがい
- 昇給しやすい
- 土日祝や年末年始は休み
新薬を待ち望む患者のために日々働くことに、やりがいを感じるCRAは多いようです。経験年数が増えると年収アップしていくのも嬉しいメリットですよね。夜勤がなく土日祝日に加えて年末年始やGWなどの長期休暇をとれるのも魅力です。
それではメリットに続いて、CRAのデメリットを紹介します。
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CRAのデメリット
- 残業がある
- 常に新しい知識が必要
- 出張が多い
CRAは月に10~30時間ほど残業をする場合が多いです。最近では残業を減らす取り組みを行う企業も増えてきたので、絶対に残業をしたくないという人は、そのような取り組みをしている企業を選びましょう。
また残業時間はプロジェクトによっても変わってきます。残業が続くこともあれば、定時上がりできるプロジェクトもあります。企業によっては毎日定時上がりできる場合もあるんですよ。
薬学などの知識は新しいものが必要なので、常に勉強が必要です。勉強が苦手という人には大変かもしれません。また出張が多いため、移動に苦痛を感じる人には大きなデメリットとなるでしょう。
CRAのやりがいは?転職した先輩看護師の体験談
キャリアアップや新薬開発に携わりたいなどの理由で、CRAに転職する看護師は結構多いんですよ。
実際に転職した人はCRAになって、「どのように感じたのか」「やりがいは何か?」など気になりますよね。それでは病院勤務からCRAになった看護師2人の体験談をチェックしてみましょう。
内科勤務からCRAになった看護師の体験談
病院以外の環境で看護師資格を活かして、働きたいと思いCRAに転職しました。新薬開発には時間も手間もかかります。ですが新薬が世に出て患者の役に立っていると感じた時は、病院に勤めていたときとはまた違う感動があります。
私は活発に働くのが好きなので出張が多いのも嬉しいポイントです。
病棟勤務からCRAになった看護師の体験談
夜勤がなく安定した休みをとりたいと思い転職しました。今働いている企業を選んだのは研修制度がしっかりしていたからです。やはり今までとは仕事内容が変わるので、研修制度についてはかなり重視しました。
働いてみると書類作成やモニタリングなど慣れない仕事が多く、覚えることも多かったので最初のうちは大変でした。ですが、一つひとつの仕事に慣れていくと任せられる仕事も増えていき、新薬を開発する日々の業務にやりがいを感じています。
CRA転職に有利な資格とキャリアアップにおすすめの資格
英語は転職時とキャリアアップ両方におすすめです。
薬学に関する最新の資料は英文の場合が多いですし、最近は国際共同治験が行われることもあるので英語ができる人は重宝されます。
英語のスキルを示すには、キャリアアップは治験実務英語検定、転職時はTOEICがおすすめです。また、CRAは書類作成などの業務があるので、MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)資格を取得すると転職時にPCスキルをアピールすることができますよ。
CRAに転職する際に有利な資格とスキル
- TOEIC 500~700点
- MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)
上記で説明したように英語ができる人材は重宝されるので、「英語が好き」「英語に自信がある」という人は、ぜひTOEICを受けてみましょう。
MOSはエクセルやワードなどのPCスキルを証明する国際資格です。企業からみると看護師はデスクワークが苦手そうという先入観があるようです。MOSを取っておけばPCスキルの証明になるので、とっておいて損はありません。
CRAのキャリアアップにおすすめの資格
キャリアアップにおすすめなのは、治験実務英語検定です。
治験実務英語検定は治験に関わる英語力の向上を目的に、一般社団法人日本CRO協会を中心に実施しています。治験実務英語検定は3コースに分かれています。ここではBasicコースとAdvancedコースを紹介します。
治験実務英語検定は年齢、職業、学歴を問わず誰でも受験することができます。受験する際はTOEICの点数を目安にコースを選んでみましょう。
コース | TOEICの点数 |
---|---|
Basic | 450点以上 |
Advanced | 600点以上 |
上記で紹介したように試験は誰でも受けられますが、Advancedコースについては医薬品開発業務の経験が1年以上あると望ましいとされています。
参照元:一般社団法人日本CRO協会 治験実務英語検定制度の概要
CRAに転職するときは研修制度の充実度をチェック!
せっかくの転職ですからキャリアアップになったり、年収が上がったり、自分の希望にマッチした職場に就きたいですよね。ここでは転職を成功させるため気をつけたいポイントを3つ紹介します。
さっそくチェックしてみましょう。
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転職を成功させるポイント
- 転職サイトに登録
- 研修制度を確認
- 採用試験では看護師経験をアピール
CRAは求人数が少なく非公開になっている案件も多いため、転職サイトを利用するのがおすすめです。転職のプロが相談に乗ってくれますし、「未経験なので研修制度がしっかり整っている企業で働きたい」など希望を伝えると、要望に合った求人を探してくれます。
転職できても研修制度が充実していないと、その後の仕事を円滑に進められませんし、わからないことばかりで働くのはストレスがたまる一方です。CRAの仕事は病院に勤める看護師とかなり変わってくるので、しっかり研修を積んでから仕事に取り組みたいですよね。
転職後に「研修期間が短かった・・・」、「仕事内容を理解できないまま研修が終わってしまった」なんてことにならないように、転職前に研修に力をいれているかどうかを念入りに確認しましょう。
そして面接の際は自身の看護経験をしっかりアピールすることも大切です。CRAはプロジェクトメンバーや治験実施機関、治験協力者などいろんな人と関わるので、コミュニケーション能力やチームワークが必須となります。
面接について詳しく知りたい人は「看護師の転職成功のカギは面接!受かるための事前準備をしよう」を参考にしてください。
看護師は医師や患者とコミュニケーションをとる機会が多く、チームワークにも慣れています。企業はプロジェクトを円滑に進めるために、コミュニケーション能力やチームワークに長けていて、治験を依頼する医療機関の仕組みを知ってる人を求めています。
CRA(臨床開発モニター)はアクティブに働きたい人におすすめ!
仕事内容が変わっても、患者のために働くというやりがいは変わりません。
新薬を待ち望む患者のために、CRAは全国を飛び回り仕事をします。開発には時間がかかりますが、自分が関わった薬で病気に苦しむ人を助けられるのは感慨深いものですよね。
CRAはアクティブに働きたい人にぴったりの仕事です。新しい分野に挑戦でき、昇給のチャンスもありますよ。病院以外の場所で働いてみたい、キャリアアップしたいという人は、ぜひ病院を飛び出してCRAに挑戦してみましょう。