外来中心で家庭との両立もしやすい!皮膚科看護師のお仕事とは
人間はほとんど全身を、皮膚に覆われています。これがなければとても生きられませんから、皮膚は私たちの身体を様々な刺激から守ってくれる大切な役割を果たしています。つまり、皮膚科は私たちが健康に生きていく上で不可欠な診療科と言えますね。
しかし、皮膚はただ身体をガードするだけでなく、特に女性にとってはその美しさも気になるところです。近年は、「美容皮膚科」を併設する皮膚科も増えており、皮膚科で働く看護師の仕事内容も変化してきています。
そこで今回は、皮膚科とはどんなところなのか、看護師のお仕事や待遇はどうなっているのか、最近の事情も含めてご紹介していきたいと思います。
皮膚科に来る患者さんはどんな人たち?取り扱う病気や症状とは
皮膚科という科は、お世話になる人にとってはなじみ深いけれど、お肌が丈夫で縁のない人にとっては未知の領域とも言えます。まずは、皮膚科で扱う病気や患者さんの傾向など、基本的な点についてご紹介します。
どんな患者さんが来るの?
皮膚科に来る患者さんが抱える病気やお悩みは、今では実に多様なものとなっています。従来の皮膚科で扱う病気としては、
- 皮膚がん
- アトピー性皮膚炎
- 帯状疱疹
- 蕁麻疹・薬疹など
- その他の皮膚炎や肌荒れ
- 多汗症
- 水虫
- やけど
このような治療を要する病気やケガが中心となっています。軽い塗り薬で済むものから、外科手術が必要となるものまで、様々な病気や怪我を抱えた患者さんがやってきます。
美容皮膚科とは
上記のような一般の皮膚科だけではなく、近年は「美容皮膚科」を併設する皮膚科や、単科の美容皮膚科クリニックが増えてきています。こちらでは
- 痣・ホクロ
- シミ・シワ
- リフトアップ
- 脱毛症
このような美容医療を求めて患者さんがやってきます。
皮膚科の患者さんの層
上記の対象疾患を見ても分かるように、美容皮膚科の患者さんの多くは女性です。
そして、一般の皮膚科の場合は、小さな子どもも多いですが、男女ともに若年層からお年寄りまで幅広い年齢層となっています。
また、皮膚科に多い疾患のひとつであるアトピー性皮膚炎や帯状疱疹の患者さんは、以下のような特徴が見受けられることがあります。
大人のアトピー性皮膚炎で、家庭や学校、会社などでの人間関係、多忙、進路葛藤、自立不安などの心理社会的ストレスが悪化に関係していたことがしばしばあります。イライラしたときや逆にホッとした時についつい引っ掻いてしまい、それが半ば習慣化し、クセのように掻いていることが治らない大きな要因となっています。医師との話し合いの中で、そのような状態にあることに気づくだけでも、症状が好転するきっかけになります。
引用元:公益社団法人 日本皮膚科学会
このように、皮膚科にはアトピー性皮膚炎や帯状疱疹のような、ストレスが原因や悪化要因になる病気の患者さんも多いのです。
したがって、コミュニケーションをしっかりとって患者さんの性格や生活にまで細かく気を配ることも、皮膚科看護師として必要になります。
私に向いてる?皮膚科看護師に求められる条件ってどんなこと?
皮膚科が対象とする病気や患者さんの特徴についてお話してきましたが、このような皮膚科に向いている看護師ってどんな人なのでしょうか。また、どんな勤務先があるのでしょうか。
皮膚科にはどんな勤務先があるの?
皮膚科は、大学病院や総合病院といった大きな病院にももちろんありますが、クリニックも非常にたくさんあります。
そして、皮膚科の特徴のひとつとして、外来が中心という点が挙げられます。
皮膚科で取り扱う病気には重篤なものは少なく、美容皮膚科でも日帰りの処置で済むことが多いため、大きな病院でも外来がメインであり、病棟があるところは少ないです。皮膚科の病棟があったとしても、耳鼻科など他科との混合病棟であることがほとんどです。
病棟がないということは、夜勤もないということです。皮膚科で働く看護師は、まれに病棟を持つ大病院の皮膚科でもない限り、基本的に夜勤はありません。
皮膚科の看護師の仕事内容
皮膚科看護師の主な仕事内容は、以下のようなものが基本です。
- 薬を塗る
- 注射や点滴
- 採血などの一般的な検査
- 医師が行う処置の補助
このように、基本的なお仕事内容は他科とそれほど変わりません。ただ、美容皮膚科も併設しているところでは、上記の仕事以外にも
- 患者さんへのカウンセリング
- レーザー治療の準備や補助
これらのことも看護師のお仕事に含まれてきます。
美容皮膚科の場合は治療の必要がある疾患ではなく、美しくなることを求めてやってくる患者さんがほとんどですので、その気持ちを尊重し、どのようになりたいのかを丁寧に聞き取るカウンセリング能力も必要になります。
皮膚科の看護師に向いている人
基本的な業務を誠実に丁寧にできることは大前提ですが、患者さんのメンタル面にも配慮できる人が、皮膚科の看護師として求められる人材というのは、既にお話しました。
お伝えしてきたように、皮膚科には命に関わる病気の患者さんがほとんどいないため、精神的には比較的楽だと言えます。また、処置も簡単なものが多く、仕事内容そのものについても他科に比べると楽な傾向が強いです。
子育てしながらでも働けるかどうか不安な人、ブランクがあって看護師のお仕事自体ができるか心配な人は、ぜひ皮膚科を選んでみてはいかがでしょうか。
しかし、似たようなパッケージの塗り薬も多いですから、忙しくても間違えないように気を付けることは、当然ながら大切な任務になります。
美容皮膚科では、レーザー治療の準備などちょっと変わった仕事もあります。また、お肌に深い悩みがある女性が多く来院しますから、カウンセリング能力も重要です。
気になる皮膚科看護師のお給料は?求人情報はどこで探せる!?
さて、ここまでお読みになって、「育児中の私にぴったり!」「思い切って皮膚科に応募してみようかな」とお考えの方もいらっしゃるかもしれません。では、どこで求人を探せばよいのでしょうか。また、気になる皮膚科看護師のお給料はどうなっているのでしょうか?
皮膚科看護師の給与
皮膚科のお給料は、基本的には他科と変わりありません。しかし、夜勤や残業がないため各手当がつかず、支給額は低い傾向にあるようです。
皮膚科で少しでも多くお給料を稼ぎたいという方は、美容皮膚科を併設している皮膚科、または単科の美容皮膚科を選ぶと良いです。
美容皮膚科は保険が利かない処置も多く、クリニックが自由に料金を設定できることになっています。そのため、一人の患者さん当たりの病院の収益としては一般皮膚科よりも高くなる傾向があり、その分看護師やスタッフのお給料に反映されると考えられるのです。
しかも、美容皮膚科なら技術や経験値の向上によって、ヘッドハンティングもあり得ます。その場合は、技術や能力を買われているわけですから、当然お給料アップも期待できます。
また、育児中やブランクのある方の場合は、ひとまずは皮膚科で経験を積んで、育児が落ち着いたりブランクによる不安が埋められたりというように状況が変化したら、別の科へ移動してお給料アップを目指すのもひとつの手ですね。
皮膚科看護に関する専門資格
皮膚科の看護師に関する専門資格としては「皮膚・排泄ケア認定看護師」というものがあります。これは、主に入院患者さんの褥瘡やストーマケアなどのスペシャリストに付与される資格であり、皮膚科の外来で直接的に役立てる資格とは言い難いかもしれません。
そのため、この認定資格を取ることがお給料アップに結び付く確証はなく、しかもこの認定資格を取る条件のひとつに「通算3年以上の褥瘡やストーマケアの実務経験」があるので、外来の皮膚科の経験だけでは受講資格が得られないおそれもあります。
病棟のないクリニックならば、有資格者であることが給料アップにつながるかどうかは院長の考え次第というところがあるかもしれません。
しかし、診療科にかかわらず褥瘡ケアは入院患者さんのためには欠かせない知識と技術ですから、病棟のある皮膚科ならば役に立つと考えられます。
皮膚科看護師の求人情報はどこにある?
皮膚科で働いてみたいと思ったら、さっそく求人情報をあたってみましょう。主に、以下のようなところでお仕事を探せます。
- ハローワーク
- 一般的な求人雑誌や求人広告
- 看護師専門の求人サイト
育児や家事との両立がしやすいというメリットがある反面、バリバリ稼ぎたい人には物足りないかもしれません。皮膚科で高い月給を望むなら、美容皮膚科がオススメですよ。
育児中の人やブランクがある人には皮膚科が断然オススメ!
しかし、比較的軽微とはいえ病気やお悩みを抱えてやってくる患者さんがいる以上、慢心することがあってはなりません。患者さんのストレスや要望をくみ取って、丁寧に接することで回復する疾患もある科だということを心に留めておきましょう。
お肌は人から見えるものなので、アトピー性皮膚炎や肌荒れ、シミや痣などに深く悩んでいる患者さんも多いものです。
小さな子どもさんからお年寄りまで、様々な患者さんが来院しますので、どの層の方々にも誠実な対応ができるスキルも大切です。