その保険、カードとダブってない?損しない海外旅行保険の選び方
海外旅行を予定している皆さん、旅行中の保険は契約しましたか。海外で病院にかかると、盲腸で300万円かかることもありますから、健康体であっても海外旅行保険は必須です。
最近では海外旅行保険がついているクレジットカードも多いですが、保障内容をきちんと確認せずに「カードに保険がついているから、わざわざ旅行用の保険に入らなくていいや」と軽く考えていると、必要な保障が足りない事態になりかねません。
一方で、クレジットカードの付帯保険で海外旅行中の病気やケガを保障してくれることを知らずに、旅行会社で勧められるまま海外旅行保険に入ると、カードと保険の保障が重複して、無駄な保障にまで保険料を払うことになります。
保険料の無駄を省くには、クレジットカードや加入している傷害保険・生命保険の保障内容を確認し、保障の重複を防ぐオーダーメイド型の海外旅行保険に入るのがおすすめです。
ここでは、クレジットカードについている保険の条件や、人気のオーダーメイド型海外旅行保険を紹介します。
虫垂炎の手術が300万円!海外旅行保険が必要な理由
「海外旅行中に病院にかかると医療費がとても高いから、保険に入っておかないと」という話をよく聞きますよね。でも、実際にはどれくらいかかるのかは知らない方が多いのではないでしょうか。
海外の病院でかかる医療費と、海外旅行中の医療費が公的保険制度ではまかなえないという現状をご紹介します。
盲腸の手術はパリで100万円!ニューヨークでは300万円超え
虫垂炎(いわゆる盲腸)になった時の手術費用の例がこちらです。
都市 | 手術費用 |
---|---|
ニューヨーク・私立病院 | 3,660,000円 |
ホノルル・私立病院 | 1,860,000円 |
パリ・私立病院 | 1,060,000円 |
手術前後に入院するなら、手術費用に加えて入院費用もかかります。
海外療養費制度では不十分だから海外旅行保険が必要
公的な健康保険でも、海外でかかった費用の一部を支給してもらえる「海外療養費」という制度があります。ありがたい制度なのですが、先ほど紹介した医療費に比べると、支給される額がかなり少ないのが現状です。
なぜなら、海外療養費は、海外で受けた治療を日本で受けた場合にはいくらになるかを計算しなおして、自己負担分(2割や3割)を引いた額が支給される制度だからです。
盲腸のように、日本だと30万円程度で済む治療に、海外で300万円払った場合を考えてみます。
同じ治療を日本で受けた場合(10割) 30万円
給付される額(自己負担3割の場合) 30万円×7割=21万円
自己負担する額 300万円-21万円=279万円
海外療養費制度でお金を受け取っても、結局280万円近くは自己負担です。支給額が十分とは言えません。
ですから、健康保険ではカバーできない費用を補うために、海外旅行保険が必要なのです。
クレジットカード付帯の海外旅行保険のチェックポイント
「クレジットカードについてる海外旅行保険があるから、わざわざ新たに入らなくてもいいや」という人もいると思います。
クレジットカード付帯の海外旅行保険だけで海外旅行に行く場合、次のことを必ずチェックしてください。
- 自動付帯なのか利用付帯なのか
- 利用付帯の条件
- 家族旅行の場合には家族も保障してくれるのか
- 必要な保障が揃っているか
チェックを怠っていると、保障してもらえなかったり保障が足りなくて困ることになりますよ。
まず自動付帯か利用付帯かチェック!利用付帯の条件にも注意
クレジットカード付帯の海外保険には、自動付帯と利用付帯という2種類があります。
- 自動付帯:カードを持っているだけで保険が使える
- 利用付帯:保険をかけたい旅行の代金や旅費の一部を、そのカードで決済した場合にだけ保険が使える。
実例を挙げると、リクルートカードプラスは自動付帯、楽天カードは利用付帯(楽天プレミアムカード、同ブラックカードは自動付帯)です。
利用付帯の条件になっている「旅費の一部」の金額は、いくらでも構いません。ただ、こんな条件を設けているカードが多いので、注意が必要です。
- 「旅費の一部」になるのは、日本を出国する前に、その旅行のために乗ったリムジンバスや電車、タクシーなどの代金に限られる
- ホテル代や、海外に行ってから乗った電車やバスの代金は対象にならない
日本出国後に海外での電車代などをカード決済した場合にも利用付帯で保障してくれるカードには、このようなものがあります。
- 三井住友VISAゴールドカード(エグゼクティブ、クラシックA、クラシック、アミティエカードなども)
- シティカード(クリア、キャッシュバックカードを除く)
保障内容もしっかり確認!死亡保障よりも治療費用を重視すべし
次に保障内容の確認です。
海外旅行保険が付帯しているクレジットカードでは、海外旅行中に死亡してしまった場合の保障額を大々的に宣伝しているものが多いです。しかし海外旅行保険とは別に普段から生命保険に入っていれば死亡保険金が出ます。
心配すべきはやはり治療費用です。
保障してくれる額はカードによって大きく違いますから、海外旅行中の病気やケガの治療費用を、どこまで出してくれるか、しっかりチェックしてくださいね。
参考に、2つのカードの内容を比較してみました。
保障内容 | リクルートカードプラス | 三井住友VISAゴールドカード |
---|---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 最高 3,000万円 |
最高 5,000万円 |
傷害治療費用 | 1事故の限度額 100万円 |
1事故の限度額 300万円 |
疾病治療費用 | 1疾病の限度額 100万円 |
1疾病の限度額 300万円 |
家族特約 | なし | あり |
参考:年会費 | 2,000円+税 | 10,000円+税(条件を満たせば割引) |
三井住友VISAゴールドカードなら、カード所有者本人だけではなくて家族まで保障してくれる「家族特約」がつきます。ゴールドカードは家族特約がついていることが多いですが、会員本人とは保険金額(給付される額)が異なるので、ここも確認しておきましょう。
病院で現金が不要になるキャッシュレス診療の有無も要チェック
実際に海外の病院で保険を使うとき、使い方が簡単かどうかも大きなポイントです。
海外旅行中に病院にかかると想像してください。窓口で100万円とか200万円の支払いを求められても、そんな大金は現金で持っていませんよね。あとから保険金が受け取れるにしても、立て替えて払うのは難しいでしょう。
そんなときのために、現金なしで病院にかかれるキャッシュレス診療(キャッシュレス・メディカルサービス)というサービスがあります。
海外旅行保険目当てに新たにクレジットカードを作るなら、キャッシュレス診療サービスがついているものを選ぶのがおすすめです。
リクルートカードプラス | 三井住友VISAゴールドカード |
---|---|
キャッシュレス診療サービスあり | キャッシュレス診療サービスあり |
複数クレジットカードの保険金の合算は可能?
例えばクレジットカードを2枚持っていて、どちらにも保険が付帯しているときは合算できるのでしょうか。
死亡保険金や後遺症が残った時の後遺障害保険金は、保険金の額が高い方のカードの額が上限となり、2枚のカードの保険金額の合算はできません。
効率的に海外旅行保険を契約するならオーダーメイド型
手持ちのクレジットカードの内容を確認されましたか。それに加えて、傷害保険や生命保険などに入っている人は、海外でのケガなどに対する保険金額も確認してください。
今ある保障内容を確認して、疾病治療費用の金額が少ないなど、内容が手薄で不安を感じたら、不安なところだけ保障をつけられるオーダーメイド型の海外旅行保険を契約するのがおすすめです。
パック海外旅行保険の保障内容は、他の保険と重複することも
旅行会社でも海外旅行保険を勧めてくれますが、パックになっている保険の場合は、クレジットカードや、自分が入っている傷害保険や生命保険とかぶる保障までついてくることがほとんど。
それだと、海外旅行保険つきのクレジットカードや生命保険があるなら、必要ない保障にまでお金を払うことになります。
保険会社が販売している海外旅行保険はクレジットカード付帯の海外旅行保険よりも充実していて、病気で死亡した時の疾病死亡や、歯科治療費を保障してくれる緊急歯科治療費用などがついているのがメリットです。しかしそのためだけに、不要な他の保障にも保険料を払うのはもったいないですよね。
オーダーメイド型保険「損保ジャパンoff!」で効率的に保障
海外旅行保険付きのクレジットカードを持っている人や、傷害保険や生命保険に入っている人は、必要な保障だけを選べる海外旅行保険に入れば効率的です。
損保ジャパン日本興亜の「off!」という海外旅行保険は、オーダーメイドで必要な保障内容だけを選べるので人気があります。
例えば、クレジットカードについてくる保障内容のうち、治療費用額が低くて不十分だと感じた場合は、その項目を選んで契約すればいいですね。保険金額も選べるし、自由にカスタマイズすることができますよ。
7日間のハワイ旅行として、有名なAIU海外旅行保険の個人プランと保険料を比較してみましょう。楽天カードを持っていると仮定して、off!で補強してみます。
保障内容(抜粋) | AIU海外旅行保険(N14) | 楽天カード | off! |
---|---|---|---|
傷害死亡・後遺障害 | 最高1,000万円 | 最高2,000万円 | 最高500万円 |
治療費用 | 1事故・疾病の限度額 2,000万円 |
最高200万円 | 1事故・疾病の限度額 2,000万円 |
疾病死亡 | 500万円 | – | 500万円 |
緊急歯科治療費用 | 10万円 | – | – |
賠償責任 | 1億円 | 2,000万円 | 1億円 |
携行品損害 | 20万円 | 20万円 | – |
手荷物遅延 | – | – | – |
救援費用・救援者費用※ | 2,000万円 | 200万円 | 2,000万円 |
キャッシュレス診療 | あり | なし | あり |
保険料/年会費 | 5,880円 | 無料 | 2,060円 |
クレジットカードとoff!を合わせて、AIUとほぼ同レベルの保障内容にしても保険料は半額以下となりました。
ただ注意しないといけないのは、off!だと緊急歯科治療費用の保障がつけられないことです。
さらに、AIUの保障が充実したプラン(N11~13)だと、治療費や救援費用※を無制限にすることもできるのですが、off!は最高額が2,000万円と決まっています。
旅行先で入院し、家族が駆けつけるための渡航費が必要になった場合などに支払われます。
緊急時にすぐ保険会社へ連絡できるように準備しておこう
実際に海外で海外旅行保険を使いたい時はどうしたらいいのでしょうか。キャッシュレス診療がついている損保ジャパン日本興亜のoff!と、キャッシュレス診療がない海外旅行保険にわけてご紹介します。
off!に加入している場合の保険利用手続き
off!に加入した場合、まずは旅行先の国を担当している「海外メディカルヘルプライン」に電話します。契約時にもらえる書類を常時携帯するなど、すぐにヘルプラインの電話番号がわかるようにしておいてください。
病気やケガの内容が支払い条件に当てはまるなら、キャッシュレス診療を受けられる病院を教えてくれます。
指定された病院で、保険金請求書を記入すれば、現金なしで診療してもらえます。
病院には、保険契約証などの書類を持参する必要があるので、忘れずに持って行きましょう。帰国後に再度保険会社に連絡をして、手続きは完了です。
キャッシュレス診療がない保険なら治療費は立て替え
キャッシュレス診療のサービスがない、クレジットカード付帯の海外旅行保険の場合は、一旦治療費を立て替える必要があります。
さらに、保険金を請求するために必要な医師の診断書や、怪我の場合の事故証明書などの書類を現地で入手しないといけません。
その上で、カード会社に保険金請求のための連絡をする必要があります。保険金請求の連絡は、30日以内としている会社が多いようです。
クレジットカードの利用付帯保険の場合、クレジット決済した旅行代金や旅費の一部の領収書も必要ですから、捨てずにとっておいてください。
海外旅行に関する保険は保障のダブリを避けて効率的に
パッケージの保険だと、クレジットカードや生命保険など、すでに自分が持っている保険と重複します。クレジットカードを持っている人や、傷害保険な生命保険に入っている人は、すでにある保障内容を確認した上で、バラ売り海外旅行保険に入るのが効率的です。
無駄なお金を少しでも節約して、海外旅行でのショッピングやレジャー代に回したい!という方は、クレジットカードや保険の保障内容を確認したうえで、足りない保障についてだけ、海外旅行保険を契約してくださいね。