女性の働きやすさや子どもの過ごしやすさに気を配る!茨城県の病院
茨城県には、女性の働きやすさを重視したり、入院する子どもの過ごしやすい環境を整えたりする病院があります。
筑波大学附属病院では「女性医師看護師キャリアアップ支援システム」を整備。看護師一人ひとりに合わせた研修プログラムを作成し、キャリア支援コーディネーターとのカウンセリングも行っています。
茨城県立こども病院には、県内で唯一のCLS(チャイルド・ライフ・スペシャリスト)が在籍。CLSは子どもが過ごしやすい環境を整え、入院中に不便なく治療に専念できるように取り組んでいるのです。
この記事では「筑波大学付属病院」と「茨城県立こども病院」を紹介します。
働きたい女性の復職支援に力を入れる!筑波大学附属病院
筑波大学附属病院の総合臨床教育センターには、女性医師・看護師の復職を支援する「女性医師看護師キャリアアップ支援システム」があります。
「女性医師看護師キャリアアップ支援システム」の目的は、妊娠・出産などで医療現場から離れていた女性の再就職支援を行うことです。
総合臨床教育センターには女性医師や看護師のコーディネーターがおり、休職・退職した人が復職するための手助けをしています。
「女性医師看護師キャリアップ支援システム」について、詳しく見ていきましょう。
個別の研修プログラムを設定!復職の手助けをする支援サービス
「女性医師看護師キャリアアップ支援システム」の主な支援サービスは、次の3つです。
- 診療/看護の実践・研修コーディネート
- キャリアカウンセリング
- 環境整備
それぞれの内容を詳しく見てみましょう。
復職のための支援サービスを希望する人は、まず「女性医師看護師キャリアアップ支援システム」に登録する必要があります。面談や採用試験を受け、登録者として採用された後に受講することができるのが、スキルアップセミナーや個別研修です。
登録者はコーディネーターと相談し、子どもの年齢や家庭環境、経験年数、ブランク年数などを考慮した個別の研修プログラムを設定します。人によって受ける研修やその期間はさまざま。
院内での研修中、子どもへ授乳するための保育時間を設けることも可能です。
研修プログラムを実施中は、コーディネーターと登録者で個人面談を実施。面談では研修のフィードバックや目標の設定、そのほか必要に応じた支援を行います。
面談は研修に関するものだけでなく、仕事と家庭の両立・今後のキャリアについても相談可能。
「子どもの送り迎えがあるので18時までには帰りたい」「専門的な勉強をしたいので、特定の診療科で働きたい」などの希望に沿った働き方ができるよう、相談できる機会が設けられているのです。
筑波大学附属病院では、小学校3年生までの子どもを持つ人を対象とした「パートタイム常勤制度」を導入しています。
この制度により、常勤職員でありながら週20~30時間の勤務時間で働くことが可能です。
また筑波大学構内にある、職員用保育所を利用することもできます。保育所では病院スタッフの多様な勤務形態に対応できるよう、保育時間は朝7時半~夜22時。土日も保育可能です。
さらに保育所内に、病児保育用の保健室を設置。子どもの体調不良時には小児科医による診察もしてもらえるんですよ。
筑波大学附属病院で働く専門看護師・認定看護師の仕事内容を紹介
看護師のキャリアアップに力を入れている筑波大学附属病院では、多くの専門看護師(※1)や認定看護師(※2)が働いています。
患者さんへのサポートや専門知識の実践、看護師の教育などを実施する看護師のこと。
看護系大学院修士課程修了者で、実務経験が通算5年以上(そのうち専門看護分野の実務研修は3年以上)あれば認定審査を受けることができます。
特定の看護分野において、熟練した看護技術と知識を持っている看護師のこと。
認定看護師教育機関課程修了者で、実務経験が通算5年以上(そのうち認定看護分野の実務研修は3年以上)あれば認定審査を受けることができます。
ここでは、実際に筑波大学附属病院で働いている専門看護師・認定看護師のうち「がん看護専門看護師」「救急看護認定看護師」「新生児集中ケア認定看護師」の仕事内容や勤務場所を紹介します。
がん看護専門看護師の主な役割は、がん患者とその家族をサポートすることです。
勤務場所は、消化器内科やがんセンター、急性期病棟などさまざま。がん看護専門看護師の仕事は、がん治療による副作用の緩和や、がん患者と医療従事者との話し合いの調整、がん患者の心理的苦痛に対するケアの相談など、多岐にわたります。
救急看護認定看護師の主な役割は、救急医療現場において迅速で確実な救命技術・救急看護技術を実践することです。
主に病院内の救急部や救命救急センター、災害現場などで活躍。患者さんへのトリアージ※や、状況に即した看護の展開、患者さんの心理的ケアを行います。
患者の重症度に応じて治療の優先順位を判断すること。順位は4段階あり、それぞれ色分けされています。
赤:最優先治療群(重症)
黄:非緊急治療群(中等症)
緑:軽処置群(軽症)
黒:不処置群(死亡もしくは、助かる見込みが極めて低い)
さらにほかの医療従事者への救命技術指導を行うことも、救急看護認定看護師としての役割の1つです。
新生児集中ケア認定看護師の主な役割は、ハイリスク新生児のケアを行うこと。
新生児集中ケア認定看護師の勤務先には、産婦人科やNICU※、周産期母子医療センターなどがあります。
新生児専用の集中治療室(ICU)のこと。低出生体重児や早産児など、新生児特有の専門的な治療を必要とする赤ちゃんが入室します。
新生児集中ケア認定看護師は赤ちゃんのサインや反応を見逃さず、一人ひとりの赤ちゃんに適した看護を実践。赤ちゃんの療養環境や薬剤使用状況の確認を行い、親子関係の育成援助も行っているのです。
所在地 | 茨城県つくば市天久保2-1-1 |
---|---|
最寄り停留所 | バス停「筑波大学病院」 |
病院HP | 筑波大学附属病院 |
病床数 | 800床 |
福利厚生 | ・看護師宿舎 ・職員専用保育所 |
子どもが安心して治療を受けられるようサポート!茨城県立こども病院
茨城県立こども病院は「子どもたちを守る」を合言葉に、県内最大の小児医療施設として小児医療の一端を担っています。
県内から多くの家族が訪れるこども病院では「成育在宅支援室」を設置。治療中の子どもの遊びや自己表現を促し、子どもらしい生活を送るためのサポートをしているんですよ。
成育在宅支援室では、次のような人たちが働いています。
- 看護師
- 保育士
- 臨床心理士
- 医療ソーシャルワーカー
- ボランティアコーディネーター
- 司書・ボランティア
- チャイルド・ライフ・スペシャリスト
子どもたちのために活動する専門スタッフの中で、特に注目したいのが「チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)」の存在。
茨城県立こども病院は、茨城県で唯一CLSを配置している病院なんですよ。
「チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)」について、詳しく見ていきましょう。
子どもための専門知識を持って働く!茨城県内で唯一のCLS
チャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)とは、医療環境にある子どもやその家族に、心理社会的支援を提供する専門職のことです。
CLSは子どもとその家族が抱えている精神的負担を軽減して、積極的に治療に臨めるよう支援し「子ども・家族中心医療」を目指しています。
CLSの主な仕事内容は次のとおりです。
- メディカル・プレイ(※1)の提供
- 日常的な遊びやアクティビティー、季節行事の提供
- プレパレーション(※2)
- 処置・検査中のサポート
- 診断や病名告知、説明に伴う心理社会的支援
- きょうだい支援
- 退院準備、復学に向けた支援と連携
- グリーフケア(※3)
- 子どもに優しい医療環境づくり
- 病気を患う親の子どもへの心理社会的支援
人形やおもちゃ、実際の医療資材などを使用した医療遊びのこと。子どもが病気や医療行為などについての理解度を高め、誤解があればCLSが遊びの中で修正します。
子どもの年齢や発達段階、理解度、個別性に合わせた方法で、子どもに検査・処置・手術などの説明をすること。子ども自身の心の準備と医療体験のリハーサルを行うことで、子どもの不安や恐怖を軽減します。
患者さんと死別した家族に、身体的・精神的なサポートをすること。治療中も家族が穏やかな時間を過ごせるよう、多職種と連携しながら支援を行います。
CLSの仕事内容は、働く施設や配属先のニーズによってさまざま。治療中の子ども自身の支援から、その兄弟への支援、死別後のサポートまで多岐にわたります。
病気や入院、大切な人の死など予期せぬ出来事は、大人にとっても大きなストレス。特に発達途中である子どもは、大人とは異なる方法で物事を理解し受け止めています。
子どもが病気や死について理解し乗り越えるためには、CLSのような専門知識を持った専門家のサポートが必要なのです。
ホスピタル・クラウンやファシリティドッグ!子どもを支える仕事
茨城県立こども病院では、入院中の子どもを支えるチャイルド・ライフ・スペシャリスト(CLS)が活躍していました。
CLS以外にも、多くのこども病院で活躍する職業があるのをご存知でしょうか。ここでは、子どもたちのために活動する「ホスピタル・クラウン」と「ファシリティドッグ」を紹介します。
ホスピタル・クラウンとは、子どもたちが入院する病院で活動する道化師(クラウン)のことです。日本で特に親しまれている「ピエロ」のような、赤い鼻でカラフルな衣装を身に着けています。
ホスピタル・クラウンの主な活動は、入院中の子どもたちに対してパフォーマンスをすること。
ホスピタル・クラウンは、日本全国83の病院で定期的に活動しています(2017年3月現在)。辛い入院生活を送る子どもたちに笑顔を届け、キラキラした瞳を取り戻すお手伝いをしているんですよ。
ファシリティドッグとは、ストレスを抱えた人々に、愛情と安らぎを与えるよう専門的なトレーニングを積んだ犬のことです。国内では「静岡県立こども病院」と「神奈川県立こども医療センター」の2カ所で活躍しています。
ファシリティドッグの主な活動内容は、子どもたちと一緒に遊んだり、検査や処置に一緒に行ったりすること。
ファシリティドッグの存在は子どもたちに勇気と希望を与え、子どもたちのストレスを軽減し元気づけているのです。
ファシリティドッグが活躍する「静岡県立こども病院」については、次の記事でも詳しく紹介しています。
所在地 | 茨城県水戸市双葉台3-3-1 |
---|---|
最寄り停留所 | バス停「済生会病院」 |
病院HP | 茨城県立こども病院 |
病床数 | 115床 |
福利厚生 | ・女性職員宿舎 ・院内託児所(24時間保育) |
県民の健康づくり計画を進める茨城県の病院に注目!
筑波大学附属病院では、看護師特定行為研修を実施。医師が行っていた行為の一部を看護師が実施するため、知識や技術習得の研修を開催しているんですよ。
茨城県立こども病院は、小児救急拠点病院として24時間365日救急車を受け入れています。「将来を担うこどもの生命をまもり、心身ともに健やかに育てる」という理念をもとに、小児救急医療の一端を担っているのです。
茨城県では県民の健康づくり推進のため、「健康いばらき21プラン」を計画しています。
茨城県の病院が健康づくりのためにどんな取り組みをしているのか、近くの病院を覗いてみると新しい発見があるかもしれませんね。