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患者さんを癒やすアートや質の高いがん治療の実施!香川県の病院

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この記事で紹介するのは、香川県にある「香川大学医学部附属病院」と「独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター」の2つの病院です。

香川大学医学部附属病院は、香川県で唯一の「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定されています。地域の病院と連携して、患者さんに質の高いがん治療を提供できるよう取り組んでいるんですよ。

四国こどもとおとなの医療センターには、院内外にホスピタルアートがたくさんあります。患者さんだけでなく病院スタッフの緊張もほぐれる環境づくりは、多くのメディアで取り上げられました。

それでは、香川大学医学部附属病院から見ていきましょう。

患者さんに安心してがん治療を受けてもらう!香川大学医学部附属病院

香川大学医学部附属病院は、香川県で唯一「都道府県がん診療連携拠点病院」に指定されています。

患者さんが香川県内で安心してがん治療を受けられるよう、地域と連携した取り組みを行っているんですよ。香川大学医学部附属病院の主な取り組みは次のとおりです。

香川大学医学部附属病院の取り組み
  • 地域連携クリティカルパスの活用
  • 香川県在宅緩和ケア地域連携パスの作成

それぞれ詳しく見ていきましょう。

どの病院でも同じ治療を受けることができる地域連携クリティカルパス

香川大学医学部附属病院が活用している「地域連携クリティカルパス」とは、患者さんの治療の概要や記録が書かれた計画書のことです。

「地域連携クリティカルパス」は、次の3つの書類で構成されます。

「地域連携クリティカルパス」の構成
書類 内容
地域連携診療計画書 医師が患者さんに治療の概要を説明するときに利用する
治療記録シート かかりつけ医と基幹病院の主治医が、患者さんの治療に関する情報を共有する
自己チェックシート 患者さんが自分の病態を記録し、医師に自分の症状を伝える
クリティカルパスの3つの書類は、患者さんが常に持ち歩きます。かかりつけの病院では、日々の診察や薬の処方についてを記録。基幹病院では精密検査・診察などの情報を記録し、2つの病院が患者さんのカルテを共同利用しているのです。

がん患者の在宅療養をサポート!香川県在宅緩和ケア地域連携パス

香川県在宅緩和ケア地域連携パスとは、がん患者の在宅療養を支援するための書類のことです。

香川県在宅緩和ケア地域連携パスを構成する書類は次の2つ。

「香川県在宅緩和ケア地域連携パス」の構成
  • 在宅緩和ケア地域連携パス
  • わたしのカルテ

「在宅緩和ケア地域連携パス」は、患者さんが退院する病院から、受け入れ医療機関へ患者さんの情報を伝えるために作成するものです。記入される情報は、次のようなものがあります。

在宅緩和ケア地域連携パスの記入内容(一例)
  • 病状
  • 家族構成
  • 服薬情報
  • 食事の摂取方法
  • 代理意思決定者
  • 患者さん・家族への病状説明方法

記入される患者さんの情報は、名前や年齢などの基本的なものから心肺蘇生処置の可否など、さまざまです。「在宅緩和ケア地域連携パス」は医師だけでなく看護師も記入します。

「わたしのカルテ」は、在宅療養中の患者さんが意思表示ツール・療養記録として使用。

患者さんが生活するうえで何を大切にしたいか、今後の病状についてどこまで知りたいかなどが記載されているんですよ。

香川大学医学部附属病院の腫瘍センターには、緩和ケアチームがいます。緩和ケアチームは入院患者さんの緩和ケアだけでなく、在宅療養の患者さんのサポートも実施。チーム内のソーシャルワーカーが、在宅医療に向けての調整や制度の説明を行います。
香川大学医学部附属病院の基本情報
住所 香川県木田郡三木町池戸1750-1
最寄り停留所 バス停「大学病院」
病院HP 香川大学医学部付属病院
病床数 613床
福利厚生 ・看護師宿舎
・院内保育所

香川大学医学部附属病院では、外来廊下に絵画を設置しています。飾られているのは「志度寺縁起図」という、香川で重病人が蘇ったという話が描かれた絵画。地方の誇るべき文化遺産であり、病院の姿勢を現すのに適していると考えられているんですよ。

ホスピタルアートに注力!四国こどもとおとなの医療センター

「独立行政法人国立病院機構四国こどもとおとなの医療センター」は、患者さんや病院スタッフを癒やすためのホスピタルアートで有名な病院です。

ホスピタルアートのコンセプトは「MAMA ENE HOSPITAL(母なる自然エネルギーに包まれた病院)」。

院内にはホスピタルアートディレクターやアートサイコセラピストが在籍しており、アート制作や芸術療法も行っています。

まずは「四国こどもとおとなの医療センター」のホスピタルアートから見ていきましょう。

病院スタッフから患者さんへの思いを形にしたホスピタルアート

四国こどもとおとなの医療センターのホスピタルアートのデザインは、5つに分類されます。それぞれのデザインとテーマは次のとおりです。

ホスピタルアートのデザイン
分類 テーマ
自然をお手本に
命の始まりの場(羊水)
観る人の心に「ぽっ」と火を灯す
穏やかな風のように、心地よい空間
空に向かってゆっくり深呼吸できる
四国こどもとおとなの医療センターのホスピタルアートは、辛い治療中であっても「自然の持つエネルギーに触れてほしい」という思いから作られました。病院スタッフの目に見えない思いを、アートという形で表現しているんですよ。

アート専門で活動する!アートディレクターやアートサイコセラピスト

四国こどもとおとなの医療センターには、ホスピタルアートディレクターとアートサイコセラピストが在籍しています。

それぞれの主な活動内容は次のとおりです。

ホスピタルアートディレクターとアートサイコセラピストの活動内容
活動内容
ホスピタルアートディレクター ・建築家・デザイナーと打ち合わせ
・広報物・ノベルティーグッズをデザイン
・退院後の患者さんをサポート
・患者さんの作品を製品化
アートサイコセラピスト ・アートサイコセラピーの実施

ホスピタルアートディレクターの主な活動は、病院スタッフと患者さんに優しい環境を作るアイディアを提案すること。患者さんの社会参加のきっかけを作るプロジェクトや、美術館・福祉施設との協働プロジェクトも企画しています。

アートサイコセラピストが実施する「アートサイコセラピー」は、芸術と精神療法の2つの要素を持った治療方法です。

アートサイコセラピストは、描かれた絵を見て患者さんの悩みを分析するわけではなく、患者さんに「言葉以外の方法で表現する機会」を与えているんですよ。

自分を自由に表現する空間と時間を与えられた患者さんは、絵だけでなく造形物や字や言葉など、好きなものを好きなように表現します。その表現のプロセスを振り返り、出来上がった作品について話してもらよう促すのが、アートサイコセラピストの役割なのです。

アートサイコセラピストの資格は、海外の大学や大学院で資格を取得することができますが、日本では公的に認められていない資格です。アートサイコセラピストとして働きたい場合は、受け入れてくれる施設を自分で探す必要があります。
四国こどもとおとなの医療センターの基本情報
住所 香川県善通寺市仙遊町2-1-1
最寄り駅
(所要時間)
JR善通寺駅
(タクシーで約5分)
病院HP 独立行政法人国立病院機構 四国こどもとおとなの医療センター
病床数 689床
福利厚生 ・看護師宿舎
・院内保育園(病児保育・夜間保育)

四国こどもとおとなの医療センターのアートホスピタルは、新聞やテレビなど多くのメディアで取り上げられています。院内の様子はもちろん、ホスピタルアートディレクターやアートサイコセラピストの存在についても注目されているんですよ。

患者さんや病院スタッフの心も安らぐ!ホスピタルアートの効果

「四国こどもとおとなの医療センター」ではホスピタルアートに力を入れていることを紹介しました。「香川大学付属病院」でも外来廊下に絵画を展示しており、多くの人に絵画作品を見てもらう機会を作っています。

芸術作品を飾っている病院は、ここだけではありません。ほかの病院でも絵画や造形物など、芸術作品を見たことがあるという人は多いのではないでしょうか。

では、なぜ病院には芸術作品が飾られているのか知っていますか?

まずは病院におけるアートがもたらしてくれる効果を、四国こどもとおとなの医療センターの作品を例に挙げて紹介します。

ホスピタルアートで患者さんの不安な気持ちを緩和!

病院にある芸術作品がもたらす主な効果は、次の2つです。

芸術作品がもたらす効果
  • 患者さんの不安を減らす
  • 病院スタッフの心にゆとりを作る

患者さんは手術前や検査待ちの間に、不安や恐怖などで物事を悪い方向に考えてしまいがち。

そんな患者さんのマイナスな気持ちを緩和するのが、待合室にある壁画です。

四国こどもとおとなの医療センターの手術室前の壁には、オリーブの木とミカンの木、讃岐富士が描かれています。病院スタッフの「患者さんやその家族が、香川の風景を見ることで少しでも不安から開放されてほしい」という思いから制作されたんですよ。

また病院中に散りばめられたアートは、病院スタッフが気持ちよく働ける環境を作り上げました。

病院スタッフが心の余裕を持てるようにすることで、医療・コミュニケーションの質の向上をはかったのです。

四国こどもとおとなの医療センターのスタッフ皆で作ったアート作品が院内にあり、「あれを作ったんだよ」と患者さんとコミュニケーションをとるきっかけにもなっています。

院内にあるアートは患者さんと病院スタッフどちらにも、より良い効果をもたらしました。院内アートは、病院スタッフの気持ちが形となって現れたもの。これからもアート作品を飾る病院が増えることに期待したいですね。

地元の景色や自然が描かれたアートが患者さんを癒やす!

病院内のアートで、患者さんを癒やす取り組みをしている病院はほかにも多くあります。

静岡県の「静岡県立静岡がんセンター」では、院内の柿田川ホールに清流をイメージした青色の流線を描きました。外の中庭から流れてくる清流を、院内でも感じてもらう工夫をしているんですよ。

詳しくは次の記事で紹介しています。

愛媛県にある「社会医療法人同心会西条中央病院」では、なんと52枚の絵画作品を展示。

飾られている絵画は主に愛媛県出身の郷土作家が描いたもので、患者さんや地域の人々の興味をよりいっそう強めています。詳しくは次の記事を参考にしてください。

2つの病院の共通点は、地元に関係したアートを病院に取り入れていることです。

香川県の「四国こどもとおとなの医療センター」でも、地元と関わりの深いオリーブの木や讃岐富士が院内に描かれているんですよ。

患者さんが見慣れた地元の景色や自然を取り入れることで、アートに対する患者さんの興味はよりいっそう強くなります。普段は病室で過ごすことの多い患者さんにとって、馴染み深い景色が描かれたアート作品は、入院生活での癒やしとなりそうですね。

患者さんを癒やすために取り組む!香川県の病院に注目

この記事では「香川大学医学部附属病院」と「四国こどもとおとなの医療センター」を紹介しました。

香川大学医学部附属病院では看護師の海外研修を実施。タイのチェンマイ大学で行われたシンポジウムに参加し、大学病院の見学も行ったんですよ。

四国こどもとおとなの医療センターでは、院内イベント「ゆめ水族館」を開催。プロジェクターを利用して院内のホールの壁や天井に、水族館の生き物たちの映像を映しました。動けない患者さんの病室にも回り、多くの入院患者さんが楽しめる空間を作ったのです。

香川県には、患者さんを癒すための取り組みをする病院がたくさんあります。

「患者さんの心を癒したい」という人は、香川県の病院を検討してみてはいかがでしょうか。