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骨髄移植や救命救急に力を入れる!神奈川県の病院を紹介

骨髄移植や救命救急に力を入れる!神奈川県の病院を紹介

神奈川県には最先端治療を行う病院や、救命救急に力を入れる病院があります。

東海大学医学部付属病院は、厚生労働省から「造血幹細胞移植推進拠点病院」の指定を受けました。より質の高い移植医療を提供するため、チームで造血器疾患に対しての治療を行っています。

済生会横浜市東部病院は全国で初めて、救急搬送体制と連携した重症外傷センターを設置。24時間365日いつでも、最重症患者に対応できる救急医療体制を整えているのです。

この記事では、東海大学医学部附属病院と済生会横浜市東部病院を紹介します。

造血器疾患に対して最先端の治療を行う!東海大学医学部付属病院

東海大学医学部付属病院は、造血器疾患に対して最先端の造血幹細胞移植療法※を実施しています。

造血幹細胞移植療法とは

薬物療法では完治が困難な造血器疾患に対して、唯一治癒可能な治療法。対象疾患は白血病や先天性免疫不全、腫瘍性疾患などです。

東海大学医学部付属病院は、造血幹細胞移植推進拠点病院の指定を厚生労働省から受けました。この指定を受けているのは、全国で9施設しかありません。

東海大学医学部付属病院が提供する、造血幹細胞移植療法について詳しく見ていきましょう。

患者さんだけでなくドナーもサポート!チームで医療提供を行う

東海大学医学部付属病院の造血幹細胞移植療法は、他職種の部門で構成されたチームで成り立っています。チームを構成する各部門は次のとおり。

造血幹細胞移植療法チーム
部門 内容
血液腫瘍内科 ・骨髄バンクのドナー確認検査
・最終同意面談
・骨髄採取
小児科 ・小児への幹細胞移植
リハビリテーションセンター ・診察時から退院までのリハビリテーション
放射線治療科 ・全身照射
・臓器の遮蔽(しゃへい)
歯科口腔外科 ・移植前の口腔内診察
・口腔内衛生指導
栄養科 ・食事内容の調整
・栄養補給方法の提案
輸血室 ・移植関連検査
・血液製剤の入出庫保管、管理
・移植細胞の凍結保存、解凍
薬剤科 ・服薬指導
・薬物血中濃度解析
・薬剤の副作用モニタリング
・抗がん剤や高カロリー輸液の混合調整
看護部
・移植の療養環境を提供
・患者さんの心理面をサポート
移植コーディネート室 ・患者さんとドナーのサポート

チームでの医療提供は、造血幹細胞移植療法の質の向上や人材育成、造血幹細胞の早期採取などが目的です。チーム内の各職種が連携をとって、患者さんの治療に取り組んでいます。

さらに移植コーディネート室には、3人の造血幹細胞移植コーディネーター(Hematopoietic Cell Transplant Coordinator)※を配置。

造血幹細胞移植コーディネーター(HCTC)とは

移植が円滑に行われるよう患者さんを中心に、その家族やドナーをサポートする専門職のことです。院内外の医療関係者に連絡・調整を行い、円滑な造血幹細胞移植医療が提供できるよう取り組みます。

東海大学医学部付属病院では患者さんやその家族、ドナーにもしっかり支援を行う体制が整っているのです。

東海大学医学部付属病院の基本情報
住所 神奈川県伊勢原市下糟屋143
最寄り停留所 バス停「東海大学病院」
病院HP 東海大学医学部付属病院
病床数 約804床

東海大学医学部付属病院では、造血幹細胞移植推進拠点病院の事業として実地研修・見学を行っています。移植医療やHCTCに興味がある人は参加してみるのも良いですね。詳しくは、東海大学医学部付属病院の公式サイトを確認してください。

重症外傷患者を治療する済生会横浜市東部病院

済生会横浜市東部病院は、神奈川県病院が担ってきた急性期医療の機能が移行され、同時に蓄積された外傷診療技術も引き継ぎました。

神奈川病院は済生会の病院の中でも、第1号病院として大正3年に設立された歴史ある病院なんですよ。

神奈川県病院から急性期医療の機能を引き継いだ済生会横浜市東部病院は、救命救急センターを設立し、重症外傷センターとして24時間365日救急医療体制を整えています。

重症外傷センターについて詳しく見ていきましょう。

受け入れ拒否された救急車を必ず受け入れる!重症外傷センター

済生会横浜市東部病院の重症外傷センターは、横浜市主導で設立されました。重症外傷センターでは24時間365日、重症傷病者の受け入れを行っています。

救命救急センターは横浜市内の8カ所にありますが、大量出血によるショック症状を伴う重症外傷などについては、搬送を受け入れていません。その場合より受け入れ体制の整った、横浜市東部病院の重症外傷センターに搬送されるのです。

横浜市では救命救急センターと重症外傷センターが連携して、患者さんの搬送・治療を行うことで、救命率の向上を図っています。

また横浜市鶴見区では、地域独自の「鶴見区ルール」を導入しました。これは患者さんのたらい回しを防ぐために実施されている、救急医療体制です。ほかの医療機関で対応できない重篤な救急患者さんを、スムーズに受け入れることができます。

鶴見区ルールの詳しい内容は次のとおりです。

鶴見区ルール
救急搬送の受け入れを4カ所の病院から拒否された患者さんは、横浜市東部病院の重症外傷センターが必ず受け⼊れます。重症外傷センターで急性期の治療を行った後、患者さんは鶴見区内のほかの病院に転院。鶴見区内の6病院が順番で転院を受け入れます。

鶴見区ルールが適用されるのは、平日夜間と土日祝日のみ。ほかの医療機関が救急搬送を受け入れにくい時間帯は、横浜市東部病院の重症外傷センターが率先して救急患者さんを受け入れます。

このルールにより重症外傷センターは、治療した患者さんの転院要請を受け入れられやすくなりました。転院がスムーズに行われ空きベッドを確保しやすくなったため、重症外傷センターではより多くの重症患者を受け入れることが可能になったんです。

横浜市東部病院は「横浜市東部地域の最後の砦」としての使命を果たすべく、鶴見区ルールのもとで24時間365日救急医療を提供しています。

済生会横浜市東部病院の基本情報
住所 神奈川県横浜市鶴見区下末吉3-6-1
最寄り停留所 バス停「東部病院」
病院HP 済生会横浜市東部病院
病床数 約560床

重症外傷センターが行政主導で設置されたのは、全国初の試みです。済生会横浜市東部病院
では外傷専用の手術室を設置することにより、緊急手術の迅速な実施を可能にしています。

独自の取り組みを行う神奈川県の病院を探してみましょう!

この記事では、特徴的な神奈川県の病院を紹介しました。

東海大学医学部付属病院は造血幹細胞移植推進拠点病院として、造血幹細胞移植療法を行っています。チームで行う医療提供は患者さんだけでなく、その家族やドナーもサポートしているのです。

済生会横浜市東部病院は、ほかの病院から受け入れ拒否された救急車を必ず受け入れます。救急搬送の受け入れ拒否によるたらい回しを防ぐことで、患者さんの救命率が向上。横浜市にとって欠かせない存在です。

神奈川県には、ほかにも独自性のある取り組みをしている病院がたくさんあります。

患者さんへの医療提供のためにどんな工夫をしているのか、独自の取り組みを行う神奈川県の病院を探してみるのはいかがでしょうか。