看護師の悩みを解消するコラム記事

増える男性看護師の需要!病院内で求められる男性看護師

増える男性看護師の需要!病院内で求められる男性看護師

「女性の世界」という印象も強い看護師のお仕事ですが、最近では男性の看護師が増えてきているのを実感する人も多いでしょう。

2012年に厚生労働省が行った調査によると、女性の看護師約95万2400人に対し、男性看護師は約6万3300人います。全体の約6%と少数ですが、その数は5年で約2.5倍も増加しているんです。

実際の現場でも男性看護師を求める声も多く、今後も需要は拡大していくようです。

なぜ男性看護師の需要が増えているのか?女性の看護師とは仕事や待遇が違うのか?今回は男性看護師の実態について紹介したいと思います。

増え続ける男性看護師!最大の理由は経済的安定

看護師は需要が高く経済的に安定しているため、男性看護師の数は5年で2.5倍も増加しました。看護師が働く場所は病院だけでなく高齢者施設や保育園など多岐に渡り、高齢化が進む中で需要はさらに高まるとみられます。

女性とって深夜や休日に出勤して働くのは、体力的にきついうえ家庭があるとより一層厳しいもの。しかし体力的・精神的にタフな男性であれば深夜手当や休日手当で700万円以上稼ぐことも可能です。

男性看護師の増加や仕事場の種類、給与を詳しく見ていきましょう。

安定した職種で需要も大きく転職組も多い

1985年に成立した男女雇用機会均等法をきっかけに男性看護師は増加しました。

さらに4年制の看護大学や看護学部が多く新設され、最近では雇用情勢の悪化や東日本大震災を機に医療関係の仕事への関心が高まり、看護師を目指す男性は増加しています。
男性看護師数
資格職なので経済的にも安定しており、なおかつ人の役に立てる仕事として志望する男性が多いです。

三重県立看護大学准教授・前田貴彦他の調査「男性看護師のキャリアおよびキャリア志向に関する認識と実際」によると、看護師への志望動機(複数回答)では「経済的安定」が約35%、「誰かの役に立ちたい」が約30%となりました。

高齢者が増加し看護師は売り手市場

看護師の職場は病院だけではなく、介護福祉施設や高齢者施設、保育園など様々です。

保育園や高齢者施設の不足が叫ばれる現在の日本では、看護師の需要が非常に高く、就職先を見つけるのは容易でどこにすべきか迷ってしまうほど。

今後ますます高齢化が進むと予測されているため、今後も病院や高齢者施設での需要は高まると見られています。

看護師の仕事の種類

  • 病院関連・・・病院・クリニック・検診センター
  • 公共機関・学校関連・・・公共機関・大学医務室・保育園・幼稚園
  • 介護・福祉関連・・・有料老人ホーム・デイサービス・訪問介護・訪問入浴
  • 企業関連・・・企業内医務室・治験、製薬関連
  • その他・・・コールセンター・ツアーナース・シップナース
社会人から看護の専門学校や短大、大学の看護学部などに再入学して看護師に転身した人も最近増えています。三重県立看護大学の調査によると、男性看護師には異業種からの転職も多く「社会人経験あり」は約30%にものぼりました。

給与は女性看護師と同じだが深夜・休日手当で大きく増える

厚生労働省の「平成27年賃金構造基本統計調査」によると、男性看護師の所定内給与額は正看護師の場合、企業規模10人以上の企業で200万円台が約50%、300万円台が約40%、400万円以上が約8%となりました。

看護師の所定内給与額

企業規模10人以上(千円) 男性看護師 女性看護師
~199.9 約3% 約3%
200.0~299.9 約50% 約55%
300.0~399.9 約38% 約35%
400.0~499.9 約7% 約6%
500.0~ 約1% 1%未満

ただしこれには残業代や休日出勤手当、深夜・早朝手当、ボーナスなどは含まれておらず、年収ラボによると、それらを含めた男性看護師の平均年収は486万円となっています。

この数値は女性看護師の平均年収である477万円よりも高く、男性は夜勤や早朝のシフトに積極的に入ることで所得を増やすことができるといえます。

男性看護師が病院勤務で有利な点は多い

病気は24時間いつでも起こりうることであり、患者によっては自力で動けない場合もあるため、夜勤や力仕事を行う看護師が必要です。

特に手術室や救急外来、集中治療室など夜勤や時間外労働、休日出勤が多い部署は体力的・精神的にタフであることが求められますが、手当が多く給与も平均より高くなります。

患者には男性も多いため、特に入浴介助など羞恥心を伴う看護を受ける男性や思春期の男子患者の中には男性看護師を求めている患者も多く存在します。

また男性看護師は離職率も低くキャリアアップが女性に比べ有利なのです。

男性看護師が有利な点を詳しく見ていきましょう。

夜勤や寝たきり患者の移動などの力仕事で重宝される

男性看護師は特に体力的・精神的に負担が大きかったり、力が必要である部署で需要が高いです。

三重県立看護大学准教授・前田貴彦他が男性看護師に行った調査「男性看護師の就業環境に関する認識と実際」によると、適していると思う病棟・部署(複数回答)は「精神科」約72%、「手術室」約63%、「救急外来」約60%「集中治療室」約50%、「整形外科病棟」約48%となりました。

夜勤や緊急の判断が必要で、体力・精神力が重要な部署で特に男性看護師が求められています。

男性看護師が適している現場とその理由

  • 精神科・・・大きな声を上げたりものを投げるなど不安定な患者を抑える場面があるため
  • 手術室・・・長いときは12時間近くかかる手術や緊急手術もあるため体力が必要だから
  • 救急外来・・・体力・精神力と男性ならではの理論的思考や冷静な判断が必要だから
  • 集中治療室・・・夜勤が多く家族への対応もあるため体力・精神力が必要だから
  • 整形外科・泌尿器科・・・自力で動けない患者が多いため、ベットや車椅子に移動するときに力が必要だから

男性患者からのニーズが大きい

女性看護師が多い中、男性患者の中には女性看護師に体を拭いてもらったりシャワーの介助をしてもらう場面などで羞恥心を伴うこともあるため、そのような場面で男性看護師がとても歓迎されます。

また思春期の男子にとっては女性の看護師のケアや相談は恥ずかしく、男性看護師が引き受けたこともあるという体験談もあり、男性患者にとっては男性看護師だからこそ頼れるという場面もあるのです。

また男性患者だけでなく中年の女性から「元気がある」など好意的な言葉をかけられることもあるという、男性看護師の体験談もありました。

出産・育児に左右されにくいのでキャリアアップが有利

女性は結婚や出産を機に離職をすることが少なくありませんし、一旦離職してしまうと再就職したときに給与やキャリアで男性と差がついてしまいます。

男性看護師は出産・結婚で離職することが少ないため、離職率は女性看護師に比べ低いです。1箇所の職場でブランクもなく長く働きやすいため、キャリアアップが女性に比べ有利です。

中には看護大学の教授や管理職になった人もいるんですよ。

夜勤や休日出勤、時間外労働には手当がそれぞれ出るので、より給料アップを目指したい人には手術室や救急外来、集中治療室や病棟の夜勤勤務がおすすめで、実際の年収も平均より高いです。

男性看護師であるがゆえの悩みも多い

男性看護師は現場ではまだまだ少数なため、女性看護師との関係づくりや力仕事の集中で悩むこともあります。

また男性患者が男性看護師への看護を求める場面があるのと同様に、入浴介助などの場面で男性看護師が女性患者から看護の拒否をされてしまうこともあるんです。

男性看護師であるがゆえの悩みを詳しく見ていきましょう。

女性看護師が多いなか職場関係で苦労することもある

男性看護師が増えてきたとはいえ、まだまだ男女比率は女性の方が圧倒的に高いため、男性看護師が職場関係で苦労することもあります。

三重県立看護大学准教授・前田貴彦他が男性看護師に行った調査「女性患者と女性看護師への関わりに対する男性看護師の実態」では、男性看護師であるため、病院や病棟内の女性看護師と仕事上の関係づくりにおいて苦慮した経験が「ある」42.8%、「ない」57.2%となりました。

女性看護師が多いなか職場関係で苦労する点

  • 女性の話題に入れない
  • 女性と男性の考えの違いから意見が合わない
  • 休憩中に居場所がない
  • 指導がセクシュアルハラスメントととられないか気を遣う

ただし実力と経験がついてくると、男性目線の意見をはっきり述べることが求められることもありますし、男性看護師が増える中で男性看護師同士のコミュニティを形成するなどの変化も見られています。

力仕事ばかりが集中して疲れてしまうこともある

一般的に女性に比べ男性の方が身長が高く力も強い傾向があるため、高いところの物を取ったり力が必要な場面で重宝されたりする場面も多くあります。

しかし重宝されるがゆえに異動をさせづらく、力仕事ばかりで疲れてしまうという男性看護師もいます。

女性の仕事という偏見があり患者から敬遠される場合もある

「看護師は女性の仕事」という偏見は特に高齢者に未だに存在し、「看護婦と看護師は仕事内容が違う」などと思い込んでいる患者もいます。

また女性患者の身体を拭いたり入浴介助を行う場面で、女性患者が羞恥心から男性より女性看護師を求め男性看護師による看護を拒否することもありますし、排泄の世話をされるのが嫌で水分の摂取を拒んでいた例もあるのです。

三重県立看護大学の「女性患者と女性看護師への関わりに対する男性看護師の実態」では、女性患者から羞恥心を伴う看護(処置を含む)を拒否された経験が「よくある」16.1%、「時々ある」62.6%と、実に約8割の男性看護師が男性だからと看護を拒否された経験がありました。

男性患者も同様に羞恥心を伴う看護では男性看護師を求めることもあるため、うまく女性看護師と連携を図り仕事を分担できればスムーズに看護をすることが可能です。

男性看護師の需要は高い!給料アップも目指せる

男性看護師の現状をご紹介してきましたが、いかがでしたか。経済的に安定し人の役に立つこともできる男性看護師は、高齢化が進む中でますます需要が高まる魅力的なお仕事です。

男性看護師は男性ならではの体力や冷静な判断力を活かして働くことができますし、深夜・休日手当などで給料アップを目指すことも可能です。

まだまだ女性が多い職場なので男性看護師の悩みも多いですが、男性看護師の看護を求める患者もいるため、男性であることを活かして活躍することができます。