自衛隊看護師になる方法と待遇、給与、仕事内容を紹介

自衛隊看護師になるには「自衛隊の学校に入る」「看護師の資格を取ってから自衛隊に入隊する」「自衛隊に入隊してから資格を取る」という3つの方法があります。
看護師の資格を持っていないのであれば、防衛医科大学校看護学科を受験して自衛隊に入隊するのが一般的です。
看護師の資格を取ってから予備自衛官として自衛隊に入隊し、非常勤で働くこともできます。
また一般曹候補生として自衛隊に入隊してから、准看護師資格を取得することも可能です。
自衛隊看護師は国内だけでなく、世界でも活躍することができる仕事。国際的な人命救助活動に興味がある、世界中の困っている人たちを助けたいという方におすすめです。
そんな自衛隊看護師になるにはどうすればいいのか、待遇はどうか、仕事内容にはどのようなものがあるのかについても紹介していきます。
自衛隊看護師の受験方法や試験内容、入隊までの流れ
自衛隊看護師になるには3つの方法があります。
- 防衛医科大学校看護学科に入学する
- 看護師資格を取得後、自衛隊に入隊する
- 自衛隊に入隊後、准看護師資格を取る
これらの方法には、それぞれ応募資格や給料などに違いがあります。詳しくは後ほど「自衛隊看護師の給料や手当など、待遇の違いについて」の章で紹介します。
まずは自衛隊看護師になるための具体的な流れを見ていきましょう。
防衛医科大学校看護学科に入校した後、自衛隊に入隊
防衛医科大学校看護学科に入学できるのは18歳以上21歳未満の、高卒者または高専3年次終了者です。
防衛医科大学校卒業後は幹部候補生を経て、幹部自衛官として働くことになります。
1、志願票を提出
9月に募集があります。志願票は最寄りの地方協力本部へ提出してください。
2、受験
防衛医科大学校看護学科の受験には、一次試験で筆記試験、二次試験で口述試験と身体検査があります。詳しい内容は次のとおり。
内容 | |
---|---|
筆記試験 | ・国語 ・数学 ・理科 ・英語 ・作文(※1) |
口述試験 | ・個別面接(※2) |
身体検査 | ・身長 ・体重 ・肺活量 ・視力 ・色覚 ・聴力 ・歯 ・その他 |
※2:言葉遣いや態度、志望動機についての確認
3、防衛医科大学校看護学科に入校
防衛医科大学校では、4年制の看護師養成課程にて学ぶことになります。一般の教養科目はもちろん、自衛隊看護師として必須の防衛看護学など特色ある教育を受けることができるのです。
また在学中には部隊実習や基本教練といった訓練もこなすことになります。
防衛医科大学校を卒業後は、各自衛隊の幹部候補生学校で約6週間の教育訓練があるのです。
さらに幹部候補生学校を卒業し、自衛隊病院や衛生科部隊で勤務になってからは、新人看護職員研修を受けることになります。
看護師資格を取ってから自衛隊に入隊後、予備自衛官になる
看護師資格を取ってから自衛隊に入隊する場合、応募資格は18歳以上53歳未満です。
社会人になってからでも、看護師資格を取ることができます。詳しくは「社会人から看護師になる方法やその理由は?働きながら資格は取れる?」を参考にしてください。
試験後は予備自衛官補として採用され、教育訓練終了後に予備自衛官になることができます。予備自衛官は非常勤の特別職国家公務員の扱いです。特別職国家公務員は他に、内閣総理大臣、裁判所職員、防衛省職員などがあります。
1、志願票を提出
12月と7月に募集があります。志願票は最寄りの地方協力本部への提出です。
2、受験
内容 | |
---|---|
筆記試験 | ・小論文 |
口述試験 | ・個別面接※ |
適性検査 | ・予備自衛官補としての適性を判定する |
身体検査 | ・身長 ・体重 ・肺活量 ・視力 ・色覚 ・聴力 ・歯 ・その他 |
3、入隊
自衛隊に入隊後、技能コースで教育訓練を受けることになります。予備自衛官補の教育訓練は2年以内に10日間、80時間の履修が必要です。
自衛隊へ入隊後に准看護師資格を取る場合は一般曹候補生
一般曹候補生として自衛隊に入隊し、准看護師の資格を取得する場合、応募資格は18歳以上27歳未満の者です。
1、志願票を提出
4月と7月に募集があります。志願票は最寄りの地方協力本部への提出です。
2、受験
一般曹候補生試験の受験には、一次試験で筆記試験と適性検査、二次試験で口述試験と身体検査があります。詳しい内容は次のとおり。
内容 | |
---|---|
筆記試験 | ・国語 ・数学 ・英語 ・作文(※1) |
適性検査 | ・一般曹候補生としての適性を判定する |
口述試験 | ・個別面接(※2) |
身体検査 | ・身長 ・体重 ・肺活量 ・視力 ・色覚 ・聴力 ・歯 ・その他 |
※2:言葉遣いや態度、志望動機についての確認
3、入隊
自衛隊に入隊後は教育部隊などで基礎教育を受けた後、各地域の部隊へ配置されます。
一般曹候補生は、自衛隊へ入隊後に取得機会のある資格の一つとして、准看護師資格を取得することが可能です。
ただ准看護師は看護師と比べて、できる仕事の範囲が狭まります。自衛隊看護師を目指しているのであれば、防衛医科大学校看護学科に入校するほうがおすすめです。
自衛隊看護師の給料や手当など、待遇の違いについて
自衛隊看護師になるには3つの方法がありましたね。それぞれ自衛隊への入隊方法が違えば、その後の給料や手当などにも違いが出ます。
自衛隊入隊方法 | 特徴 |
---|---|
大学卒業後に入隊 | ・月給222,000円 ・賞与あり ・入学金、授業料無料 ・学生手当113,300円/月 |
予備自衛官として入隊 | ・月給4,000円 ・訓練招集手当8,100円/日 |
一般曹候補生として入隊 | ・月給166,500円 ・賞与あり |
自衛隊基地などで生活する場合は、家賃や水道・光熱費、食費なども無料です。
それぞれ詳しく見ていきましょう。
防衛医科大学校看護学科を卒業後、自衛隊に入った場合
防衛医科大学校看護学科を卒業後に幹部自衛官となった場合、月給は222,000円。賞与もあります。
看護師資格を取ってから自衛隊に入隊し、予備自衛官として働いた場合
採用時は予備自衛官補として、教育訓練中は日給7,900円。予備自衛官となれば、訓練招集に応じると日給8,100円です。
他に諸手当もあるため、給与額については一概には言えません。各自衛隊の募集要項で確認しておきましょう。
具体例として陸上自衛隊では「災害補償」「訓練招集旅費」「被覆・食事」などの手当があります。
自衛隊へ一般曹候補生として入隊し、准看護師資格を取った場合
一般曹候補生の月給は166,500円で賞与もあります。
一般曹候補生から3等陸・海・空曹に昇任した後、幹部候補生試験に合格すれば、幹部に昇任することも可能です。
国内外を問わず活躍できる!自衛隊看護師の仕事内容
自衛隊看護師の仕事は大きく分けて4つです。
- 隊員の健康管理
- 大震災などの各種事態への対応
- 国際的な安全保障環境の改善のための活動
- 人道的な貢献※
自衛隊病院で働くだけではなく、災害時の被災者支援やPKO(国際平和維持活動)など、様々な国の平和維持活動もあります。
自衛隊看護師は国内だけでなく、世界で活躍できる仕事なのです。
自衛隊病院で隊員の健康管理をする
自衛隊病院は全国に16カ所。自衛隊病院のほとんどが総合病院で、外科や内科などがあるため医療設備もしっかり揃っています。
自衛隊病院を利用する患者さんの多くが、自衛官かその家族です。隊員の健康管理が主な任務になります。
衛生科部隊の医務室で医療提供をする、負傷者を搬送する
衛生科部隊の仕事は、主に部隊の医務室における医療の提供です。
また負傷者を第一線から搬送する「後送」や伝染病等の予防をする「防疫」のほか、衛生業務も担当することになります。
予備自衛官として招集を受けて出頭し、任務に応じる
予備自衛官は有事の際だけでなく平時でも、必要に応じて出頭し自衛官として活動します。
主に「防衛招集」「災害招集」「訓練招集」などの命令により招集され、出頭した日から自衛官となるのです。
招集命令 | 内容 |
---|---|
防衛招集 | 陣地等の防衛施設の構築など |
災害招集 | 災害救助活動など |
訓練招集 | 予備自衛官として必要な知識・技能を維持する訓練 |
世界で活躍する自衛隊看護師になるために
自衛隊看護師としての使命を果たせるよう知識や技術をしっかり身につけ、訓練を重ねていくことが必要と言えます。
自衛隊看護師になるには3つの方法がありました。それぞれ応募資格や待遇、働き方が異なり、自分に合ったものを選ぶことができます。
自衛隊看護師は一般の看護師と比べて、特殊な教育もあり、厳しい訓練もこなしていかなければなりません。ですが国内外を問わず被災者を救援できる、やりがいのある仕事でもあります。
ぜひ参考にしてください。