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看護師のお礼奉公には落とし穴も!期間中は辞められないって本当?

看護師のお礼奉公には落とし穴も!期間中は辞められないって本当?

お礼奉公とは、看護師が看護学校の授業料の支払いを肩代わりしてくれた病院で一定期間働くと、返済する必要がなくなるシステムです。

病院側は看護学生に奨学金を支払うことによって看護師の人員を確保でき、学生は病院に奨学金を負担してもらえるだけでなく、卒業後その病院に就職できるというメリットがあります。

しかし労働条件への不満や上司・同僚とのトラブルなどの理由で、約3年のお礼奉公が終わっていないうちに退職を希望する看護師もいるんです。

お礼奉公は期間中に転職や退職をしてしまうと、奨学金の返済義務が生じます。

働いた期間によって減額はされるものの、病院が肩代わりしてくれる奨学金は100万円以上と高額。しかも基本的には一括返済を求められるため、看護師が奨学金を返せず病院を辞められなかったり、看護師と病院側で揉めて裁判にまで発展することもあります。

でも、転職すれば看護師の代わりに奨学金を一括返済してくれる病院もあるんですよ。この記事ではお礼奉公のメリットや、期間中でも退職できる方法をご紹介します。

病院で一定期間働くことで奨学金の返済が免除されるお礼奉公

まずお礼奉公とはどういうものなのか説明します。

看護学校に通う学生が何らかの理由により学費を払うことができない場合に、支払いを肩代わりしてくれる病院があります。そして学生が看護学校を卒業後、看護師としてその病院で決められた期間働くと奨学金の返済義務はなくなります。

お礼奉公の期間はだいたい3年で、育児休暇や産前産後休暇を除いた期間に定められているのが一般的です。奨学金の総額は多くの場合100万円以上ですが、病院によっては300万円を超えることも。

お礼奉公のメリットは主に次の4つです。

  • 病院は奨学金を貸した看護師に長く働いてもらうことで人員を確保できる。
  • 看護学校へ通う生徒を増やすことができる。
  • 学生は奨学金の受給の契約と同時に、看護学校を卒業した後の就職先が決まる。
  • 一定の期間働けば学費の返済をする必要がない
お礼奉公の制度には年齢制限を設けられていることもあります。急性期病院での奨学金の受給は20代に限定されている場合もあるんです。それに対し慢性期病院は年齢制限がないところが多いのが特徴です。

返済する奨学金は全額?国家試験に落ちたらどうなる?お礼奉公の疑問

看護師がお礼奉公中に退職するとき、多くの場合は病院に奨学金の一括返済を求められます。

しかも返済する奨学金は一括で返済できるような金額ではないので、お礼奉公中になかなか退職できず悩んでいる看護師もいます。実際、看護師の短期間での退職を防ぐために、分割での返済を不可としている病院も多いんです。

ではお礼奉公中の退職でもある程度の期間勤務していた場合や、自主的な退職ではなく懲戒解雇になってしまった場合はどうなるのでしょうか?それぞれの病院側の対応を説明します。

働いた期間を考慮して奨学金の返済額は減額される

お礼奉公の期間中に退職する場合の奨学金の返済については、病院によって対応が違ってきます。

働いた期間を考慮して、年または月単位で返済額を減らしてくれる病院もあれば、働いた期間があっても、退職時には奨学金の全額返済を義務付けている病院もあります。さらに支給した奨学金に上乗せして違約金を請求する場合もあるんです。

懲戒解雇になった場合も奨学金の返済は義務づけられる

懲戒解雇は病院側ではなく、看護師に問題がある場合に生じます。そのためお礼奉公の期間中に懲戒解雇になった場合は、病院に奨学金の返済を求められます。

しかし病院の経営状況で辞めさせられるなど、解雇の理由が看護師にない場合は返済額が減ったり、返済しなくてよくなることもあります。

国家試験に落ちたらどうなる?病院によって異なる対応

懲戒解雇になった場合と同様、国家試験に落ちたときも奨学金の返済義務が生じる可能性が高いです。国家試験に落ちると病院への就職も白紙になってしまいますが、看護助手として1年働いてから、翌年国家試験に再挑戦するという形で対応してくれる場合もあります。

病院や状況によって対応は異なります。奨学金の受給を決める前に契約内容を確認することはもちろん重要ですが、契約内容に記載されていない事項で気になることは病院に聞いておきましょう。

お礼奉公中でも転職できる!奨学金の返済を肩代わりしてくれる病院

「お礼奉公中だけど退職したい。でも奨学金を一括返済できないから辞められない・・・」

そんな人は、奨学金の返済を肩代わりしてくれる病院への転職を考えてみてはいかがでしょうか?実は、お礼奉公中の看護師の代わりに奨学金を立て替えて一括返済してくれる病院があるんです。

このような病院は表立って看護師を募集していることはありません。お礼奉公中の退職を勧めていることになり、病院同士の関係が悪くなってしまうからです。

奨学金を代わりに一括返済してくれる病院を探す場合は、まず看護師求人サイトに登録しましょう。

サイトに登録すると非公開求人から、奨学金の立て替えを行ってくれる病院を見つけることができます。

また看護師求人サイトに登録すると、無料で専属のコンサルタントが付いてくれて、自分の希望に合った病院を探してくれたり、転職に関する悩みを聞いてくれたりします。お礼奉公中であることをコンサルタントに伝えた上で、転職先を探してもらってください。

転職先の病院では、立て替えてもらった奨学金を給料から天引きする形で返すことになります。返済する金額と給与額を確認し、無理なく返済できるかどうか考えてから転職しましょう。

お礼奉公で病院ともめる場合も・・・トラブルの事例を紹介

お礼奉公に関して、次の事例をはじめとした様々なトラブルが報告されています。

お礼奉公に関するトラブル事例

・契約書には「お礼奉公の期間中に退職する場合、奨学金の返済は分割でも可能」と書いてあったのに、実際に退職を申し出たら「一括でなければ辞めさせることはできない」と言われた。

・正看護師の資格を取得するため学校に通いながら准看護師としてお礼奉公をしていた。しかしお礼奉公があと数ヶ月で終わるという時期に入って、病院に「やっぱり正看護師の資格を取った後5年間をお礼奉公の期間にする」と口頭で言われた。

この事例のように契約内容を変更するのは違法です。労働契約の期間については、口頭ではなく書面での明示が義務づけられています。さらに労働基準法では有期労働契約期間の上限は3年と定められているため、それ以上の労働期間を定めることも禁止されています。

このようなトラブルが起きた場合、自分と病院だけで話しても解決するのは難しいので、労働基準監督署や弁護士に相談しましょう。

労働基準監督署では残業代未払いや上司とのトラブルなど、幅広い問題に対応してもらえます。お礼奉公に関することの他にも、困ったことがあったら相談してみるといいでしょう。

お礼奉公は法的に問題あり?病院の対応によっては違法な制度になる

多くの病院で行われているお礼奉公ですが、実は法的に問題があるのではとも言われています。

それは、憲法第22条(職業選択の自由)と労働基準法第16条(賠償予定等の禁止)それから労働基準法第137条(契約期間の経過措置)に違反していると考えられるからなんです。

まずお礼奉公は看護師に対して、奨学金を肩代わりしてくれた病院で勤務することを強制しています。そのため、憲法第22条により定められている「職業選択の自由」が保障されていないと考えられます。

しかし看護師はその条件を受け入れた上で契約をしているので、自分でその病院に就職することを決めているという見方もできます。

次に労働基準法第16条では、次の2つのことが定められています。

  • 労働契約の不履行に対する違約金を定めてはいけない。
  • 損害賠償額の予定を決める内容の契約をしてはいけない。

お礼奉公は、看護師が期間中に退職する場合には奨学金の一括返済を求められる場合が多いため、これが「労働契約の不履行に対する違約金」になるのではないかという意見もあります。

また労働基準法第137条によると、労働期間は最長3年まで定めることができますが、勤務して1年を過ぎたら労働者は退職することができます。

しかしお礼奉公の期間は一般的には3年なので、1年以上の労働を義務付けているとも考えられます。しかもこの期間内での退職には高額の奨学金を一括返済しなければならず、看護師が退職したくてもできない場合もあるため違法なのではとも言われています。

看護師は契約内容を承諾した上で奨学金を受給しているので、お礼奉公自体には問題がないように思えます。しかし退職を申し出てもお礼奉公を理由に辞めさせてもらえないなど、病院の対応によっては確実に違法になることもあります。

お礼奉公は信頼できる病院で!期間中の転職は看護師求人サイトを活用

お礼奉公には、病院側は看護師の人員確保ができ、看護師は決められた期間働くことで奨学金の返済が免除されるというメリットがあります。

でもお礼奉公の期間中に退職をする場合には奨学金の一括返済を求められる場合が多く、その金額を支払うことが難しく辞められない看護師もいるんです。

病院から奨学金を受給するときには契約内容をよく確認し、お礼奉公をする病院についてもよく調べてから契約しましょう。

奨学金の一括返済が難しいときは、看護師求人サイトに登録すると見られる非公開求人から、奨学金の一括返済を肩代わりしてくれる病院を探して転職することをおすすめします。

また病院によって契約内容は違い、契約書とは異なる対応をされるなどのトラブルも報告されています。もし病院とのあいだで問題が起きた場合はひとりで抱え込まずに、労働基準監督署や弁護士に相談してくださいね。